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私が対州馬を絶滅から救いたいと思う理由 その142

娘と対州馬ひん太 ⑦


 
娘と一緒に、ひん太のところに行くと、ひん太はそわそわします。
車のエンジンが音が聞こえてきた時から、おそらく我々が来たことを察知しています。
現地に着くと、まず私は飼い桶(セメント用の舟)を柵内に置き、乾草と水の用意をします。
その間、娘は柵内に入り、置かれた飼い桶の中に、持ってきたフスマとニンジンを白湯で溶いた「前菜」を入れます。
これは消化の悪い乾燥を食べる前に、消化を促す大事な意味があります。
その間私が乾草の準備を整え、前菜を食べ終わった頃、乾草の入った飼い桶を柵内に運ぶのですが、いつもこの作業に手間取り、ひん太は前菜を食べ終わってしまいます。
それで、いつもひん太は傍らにいる娘の方に寄っていきます。
すると娘はさすがにまだ小学生なので、馬に迫って来られると引いてしまい、離れようとあるきだします。
そうすると、余計にひん太は娘の後をついて歩きます。
馬にとって娘のとった行動は、「私について来なさい!」という馬語だからです。
ひん太がどこまでもついてくるもので、いつも娘はひん太が登って来れないような崖の斜面を手すりを使ってよじ登りました。
ひん太は、そのすぐ下に立って娘の方を見上げていました。
私はすっかり飼い桶の準備をして待っているのですが、そんな二人の姿が可笑しくもあり、微笑ましい思いでした。



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