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炭鉱

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昭和30年代まで長崎県内に無数にあり、地域の発展を支えた炭鉱のこと
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2021年6月の記事一覧

炭鉱町に住んだ人々~隣人との付き合い(2)

ある土地で人が生活をする場合、非常に苦慮する要因のひとつが、その土地の出身者か否か・・という「排他性」でしょう。 「よそ者」という呼称はポピュラーな言葉ですし、我が県においても、「居つき」「旅のもの」・・・など、他地区からの転入者を差別する言葉は、身近な場所にすら転がっているのが現実なのです。 また、そのほんの狭い地区。例えば小さな島の中でも、やれ海に近い所で生まれたか、山に近いか・・などで細かく差別し合い、争い合っているという場所もめずらしくありません。 日本の僻地を

軍艦島になり損ねた島 ~ 中ノ島

軍艦島ツアーガイドをしていた時、軍艦島のすぐ横にある島(岩礁)、中ノ島について説明する際、「軍艦島の埋め立て前は、あの中ノ島よりも少し小さな島だった」と言うと、けっこう驚く人がいました・・・ ツアーでは、軍艦島の手前にあるので、中ノ島について説明を始めますが、ゲストの皆さんは、見えてきた軍艦島の姿に釘付けで、おそらく説明も耳に入っていません・・・ 関西や関東など、遠くから来た人も多かったので、それは無理からぬことですが・・・ これは、炭鉱があった頃の中ノ島の姿です。おそ

炭鉱町に住んだ人々 ~ リリー・フランキー著「東京タワー」より

扶桑社刊、リリー・フランキー著の「東京タワー」はお気に入りの一冊ですが、その中でも最も好きな部分は、著者炭鉱町に育った頃のエピソードなので、少し紹介したいと思います。それが、このテーマのイントロとしてふさわしいと思いますので・・・。 (↓映画「東京タワー」より。CGですが、ボタ山の角度が、いくらなんでも急すぎますね。これだと炭車を引き上げるのが無理ですし、作業上も危険すぎます・・・・) 福岡県・小倉に産まれた中川氏(リリー・フランキー)は家庭の事情により、4才の頃、母と共