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令和2年度 東京大学学位記授与式 総長告辞

こちらより全文みれます。気になった箇所をメモしました!


コロナ禍で明らかになったサイバー空間の重要性

この1年間の感染症対応において、さまざまな場面でデジタル革新に助けられたと感じています。

こちらが思い浮かびました。
V-RESAS | 新型コロナウイルス感染症が地域経済に与える影響の可視化
https://v-resas.go.jp/

サイバー空間における身体性の喪失と復権

人間がコミュニケーションに用いる言語のルーツは互いの毛繕いだったということを昨年度の卒業式で紹介しました。未来の情報メディアに、手触りや温もりといった身体感覚をどのように取り込んでいくか、それは学問的にも大変魅力的な挑戦課題

これは興味深い!です。

共感をもたらすエモグラフとしてのemoji

イギリスの哲学者アンディ・クラークは、「言語が登場して以来、我々はある意味サイボーグだった」と述べています。リアルな身体とバーチャルな言語は複雑に絡み合っているのです。
皆さんはスマホでの日常のやりとりで、「emoji」を使いこなしているのではないでしょうか。私自身はあまり使いませんが、このemojiが切り開く新たな可能性には注目しています。微妙なニュアンスを伝えるのにも便利なこの新しい文字は、1999年に日本で開発され、世界各国でも用いられ、2016年にはニューヨーク近代美術館に永久収蔵されています。その総数は3000字以上と言われ、常用漢字を超えています。言語学や情報学の真面目な研究対象にもなっています。
サイバー空間では生の感情がぶつかり合う炎上や、姿も顔も見せないままでのヘイトスピーチや排除の暴力が目立っています。そのようななかでemojiはいわば感情を表現する「表感文字」であり、現代の情報技術を使いこなして、情動と身体性を備えた新しい文字を生みだす工夫

顔文字使っていきます😊😊😊

サイバー空間のコモンズを含めたグローバルコモンズを守り育てることなど、より良い未来の実現に向けた大学の役割

いま何をなすべきなのでしょうか。私は、新しい知恵をどうやって無から生み出すのかが問われているのだ、と思っています。
研究が言葉として結晶化し論文にまとまる前の段階でゆれ動き、さまざまな悩みと向かいあってきたのではないでしょうか。
それは新しい知を生み出すために不可欠のプロセスなのです。
プリンストン高等研究所の初代所長のエイブラハム・フレクスナーは「科学の歴史を通して、後に人類にとって有益だと判明する真に重大な発見のほとんどは、有用性を追う人々ではなく、単に自らの好奇心を満たそうとした人々によってなされた」と述べ、教育機関は好奇心の育成に努めるべきだと主張しています。

多様なゼロを揃えておくことの重要性

現代は予測困難な課題が次々と生まれる変化の時代です。課題が浮かびあがってきてから、これまで通りの対応をしても慌てるだけです。研究者の好奇心のエネルギーを秘めた「多様なゼロ」をたくさんそろえておくことが、なにより重要なのです。つまり勝負どころは「ゼロから1」をさまざまな領域で創出する豊かな苗床と機動力なのです。
「いつか1に変わりうるゼロ」であり、新しい知の源泉です。しかし無造作にぼうっとしていると見逃してしまうかもしれません。見逃さないためには、自分の考えや興味関心とは異なることでもその場で切り捨てず、対話を続ける、その大切さも学びました。あることに人生をかけ熱心にやっている方は、そこに必ず面白さを感じています。それこそがゼロの力であり、それを主体的に育むことが大切なのです。そのためには、いつか1に変わりうるゼロの兆しを見極め、ワクワクしながら飛びつく好奇心と、そのゼロの力をまわりでも支え続けるコミュニティの共感力が必要です。他者が感じている面白さを、対話を通して自分事としてとらえること、つまり好奇心と共感性が大学における創造の基盤なのです。

メッセージ:卓越性と多様性の相互連環により、サステナブルでインクルーシブな未来社会の実現に貢献する

まだ見ぬ未来を皆さんがより良くするためには、さまざまなチャレンジが必要です。
世の中をより良い社会とするための道筋は、決して楽に歩めるものではありません。コロナ禍で加速したデジタル革新は、一歩道を誤ると一部の企業や国家がデータを独占し、データを持つ者と持たざる者に決定的な断絶や格差が生まれる「デジタル独占社会」に転落してしまいます。他人事を自分事として捉えることは簡単ではないからです。
多様性を真に尊重するということは、言葉で言うほどたやすいことではなく、自らしっかり意識し常に努力して行動しなくては、育たないものだと痛感しました。しかし、自分と離れた立場からも見ることができ、多様な人びとと対話することができる場を持つことは、かけがえのない財産となるものだと確信しています。

・・・心を打たれます。

皆さん自身の人生の脚本家となり、自分の活動領域を超えた高さから俯瞰する力、他人事を自分事としてとらえる力、そして現在だけでなく、過去から未来への流れをとらえる力を大切にし、社会のなかでより良い未来に向けた変革を、先導してほしいと強く願っています。そして好奇心を充電し、さらに磨いてみたくなった時には、いつでも東京大学を訪れてください。

ホームグラウンド、帰れる場所、そんな存在。

折に読み返します。

みなさん、卒業おめでとうございます。社会人はとっても楽しいですよ

なにか力お貸しできることがあれば、ご遠慮無くコメントや連絡いただけると幸いです。



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