真面目なだけじゃ、伝わらないし変えられない

アカデミア業界で「ループしながら話題になる三大トピック」のうちの一つに若手研究者の雇用問題があります。国からの大学運営費交付金が縮小するので、人件費の財源が確保できないわけです。

2016年のノーベル生理学医学賞を受賞された大隈良典さんも、この問題について声を大にして訴えました。過去の日本人ノーベル賞受賞者も、同じようなことを何度も叫んできました。この問題については、僕も経済誌のハーバービジネスオンラインに寄稿しています。

研究費供給問題を解決しなければ、日本人のノーベル賞受賞は打ち止めになる

大隈さんの声明が出たところで、こんどは国立大学法人理学部長会議が声明を発表しました。

-----
大学運営費交付金が削減され、人を減らさざるを得ないという状況に追い込まれている。どのようにして人を減らすかというと、定年退職した教員の後を埋めないという方法。これでは、若い人たちが雇用される機会が失われてしまう。

国立大学法人理学部長会議、基礎科学の推進に関する声明を発表:マイナビニュース
-----

本当にその通りで100パーセント同意します。何とかしなければなりません。

でも、間違いなく何ともならない。これまでにもさんざん同じようなメッセージが発せられてきましたが、そう簡単に国は動きません。税金の配分先は無数にあり、どれらすべてに権益があるわけで。

そう、まずは納税者のマインドセットを変える必要があるのです。なぜ今回のような声明が出ても国が変わらないか断言できるかというと、こういう声明が全然納税者の心に響かないからなんです。

ここから先は

1,710字

¥ 150

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?