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つくばの異次元タイ料理店

※本コンテンツは有料メルマガ「むしマガ」で連載していたものです


大学院博士後期課程1年目の夏から移り住んだ科学未来学園都市、つくば。


つくばにいる時は、1日の大半を研究所で過ごしていたため、夜の外食タイムは唯一の楽しみだった。ちなみに、僕らは研究所の中でも数少ない学生ということで、ポスドクの先輩方には頻繁に夕食を奢ってもらったりしていた。特にNさんとMさん、いつも有り難うございました。


さて、意外かもしれないが、つくばの外食産業のレベルはきわめて高い。つくばには外国人が多く住んでいるため、本場の多国籍料理の味を楽しむことができることが、その一因だ。特にインド料理、中華料理、韓国料理、タイ料理はレベルの高い店が多い。


僕がつくばで、いや、日本で一番お気に入りだった伝説のタイ料理店がある。店の名前は「居酒屋礼子」。タイ料理店なのに「居酒屋礼子」。台湾人なのに名前が「インリン・オブ・ジョイトイ」なのと同じくらいインパクトファクターの高いネーミングである。


しかしこのタイ料理店、外観はネーミングの通り完璧な純和風の居酒屋である。築年数が数十年になろうかという木造家屋に「れい子」と書かれた赤提灯が軒下にぶら下がる。畑に囲まれた場所にぽつんと3軒建つお店の1軒だ。ちなみに他の2軒は「スナックあい」と「マッサージ・ナンパオ」である。


居酒屋礼子は、内装も純和風居酒屋だ。店内は、畳の座敷とカウンターで別れている。しかし、そこで働いているのはすべて、30歳前後のプチ・ホステス風のタイ人女性である。「スナックあい」と「マッサージ・ナンパオ」の店員もしばしば居酒屋礼子を訪れていたが、彼ら彼女らも全てタイ人であった。ここでは、つくばのタイ人コミュニティが形成されているのだ。この場にいると、日本でもタイでもない、どこか異次元の世界に来たような錯覚に陥ってしまう。

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