尾に第三の眼をもつオタマジャクシ
眼や耳や鼻などの感覚器は、顔の定まった場所に位置している。これらの感覚器が背中や足に現れることはない。これは、遺伝子によるプログラムによって感覚器が生じる部位が厳密に制御されているからだ。
だがもしも、本来ありえない場所に感覚器が外部から移植されたとしたら、その感覚器は果たしてその機能を果たすのだろうか。
もしも手のひらに第三の眼を埋め込み、これが機能することができれば、自動販売機の下に落としてしまった100円玉を苦もせず探し出し容易に拾うことができる。足フェチの人なら、鼻を足の裏に埋め込むことで、自分の足の匂いを24時間楽しむことができるようになるだろう。
ところで、寄生獣という漫画をご存知だろうか。寄生獣は、宇宙からやってきた寄生生命体だ。寄生獣が人間に寄生すると、体の一部に感覚器を含んだパーツが出来上がる。下の図は、人間の右手に寄生した寄生獣の姿である。
☆【画像】人間の右手に寄生した寄生獣
http://goo.gl/SZ85M
寄生獣に寄生された場合、一人の人間が本来持っている感覚器に加え、寄生獣のパーツからも外界の様々な情報を入力することが可能だ。つまり、寄生獣に寄生されると、感覚器を増えることでより多くの情報を取込むことができる超人となるのだ。
今回、研究者らはオタマジャクシの尾に別個体に由来する第三の眼を埋め込み、この眼が機能することを証明した。下の画像は、尾に第三の眼が埋め込まれたオタマジャクシの姿である。どこかしら、寄生獣に寄生された人間の姿と似ている。
☆【画像】尾に第三の眼(右側)を移植されたオタマジャクシ
http://goo.gl/WeUNn
研究者らはアフリカツメガエルの幼生であるオタマジャクシを実験に用いた。アフリカツメガエルは、再生や発生の研究分野をはじめとして頻繁に利用されるモデル生物である。
第三の眼は、オタマジャクシの胚にできた眼を切除し、宿主となる別のオタマジャクシ胚の背側に移植することでつくられた。移植された第三の眼は宿主の尾に定着し、成長とともに本来もっている眼と同様に発達していった。この眼からは神経が伸びていくのが確認された。伸びた神経は、脊髄に帰結する場合と胃に帰結する場合があることが観察されている。
この第三の眼がきちんと見えているかどうかを調べるため、研究者らは視覚を必要とする学習テストを実施した。
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