子どもをアルコール漬けにする親

父「おまえ、いい加減酒飲むのやめろよ!医者も言ってたろう!死んじまったらどうすんだ!」

母「うっせー!あたしの体は自分が一番よ~く分かってんだ、バーロー!」

父「薬も飲まないし・・・家事も全部俺まかせで・・・おまえ、太郎への影とか考えたことあるのか?」

太郎「・・・」

母「あっ、くそう。また外した。あと何万円使えばゲットできんだよ・・・」

父「ガチャやってんじゃねーよ!俺の話聞いてんのか?!酒やめろって言ってんだよ!」

母「酒はなぁ、薬なんだよ薬!体ん中がアルコール消毒されて健康になんだよ!!ほら太郎、おまえも飲め!!」

太郎「やめてよお母さんー!ごほっごほっ・・!」

父「何やってんだお前!!正気か!!!」



 我が子をアルコール漬けにして身を守らせる。ショウジョウバエは、このようなユニークな行動をとる。

 寄生蜂はショウジョウバエの天敵だ。寄生蜂はショウジョウバエの幼虫、ウジ虫の体に卵を産みつける。産みつけられたハチの卵は孵化するとウジ虫の体を食べて成長する。もちろん、食べられたウジ虫は最終的に死ぬ。

 ショウジョウバエのメスは寄生蜂がいる状況では、あえてアルコール分が豊富な食物に卵を産みつける。自分の子どもにアルコールを過剰に摂取させることで、体に寄生蜂の卵を産みつけられるのを防ぐのだ。また、仮に体に卵を産みつけられても、孵化したハチの幼虫は過度のアルコールによって死ぬ。

 研究者らによる実験で、ショウジョウバエのメスを箱に入れ、アルコールを含まない食料と6%アルコール濃度の食物を自由に選べるようにした。寄生蜂がいない場合、ショウジョウバエ全体の40%がアルコール無しの食物に卵を産んだが、寄生蜂がいる場合は90%のショウジョウバエがアルコール入り食物に卵を産んだ。

 様々な濃度のアルコールを含んだ食物を選べるようにしておくと、寄生蜂がいない場合はアルコール濃度の低い食物に卵を産みつけられる割合が最も高かった。しかし寄生蜂がいる場合はこれよりも高い12%から15%のアルコール濃度の食物に多くの卵を産みつけた。これは自然界の発酵食料にみられる最も高いレベルのアルコール濃度だ。

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