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模擬授業7「分母の有理化」

2003年3月8日(土)、TOSS中高東京サークル第3回例会での、模擬授業5分。

東京書籍『数学Ⅰ』p33、例題2


模擬授業


1.問題把握

指示1 33頁、例題2。みんなで読みます。「√5+√2分の√5の」、さんはい。

「√5+√2分の√5の分母を有理化せよ。」

発問1 何の分母を有理化するのですか。式をノートに書きなさい。

日付、頁数、問題番号、式を板書。

発問2 分母は何ですか。

3人指名。「√5+√2です。」


2.教科書の先読み

発問3 分母が平方根の和や差で表されるとき、何を利用して有理化するのですか。

「この質問はとっても簡単です。なぜですか。」「教科書に書いてあるからです。」
3人指名。「(A+B)(A-B)=A^2-b^2です。」

発問4 どのようなときに、(A+B)(A-B)=A^2-b^2を利用して有理化するのですか。

3人指名「分母が平方根の和や差で表されるときです。」

発問5 したがって、ここでは何をすればよいのですか。

みんなで言います。「√5-√2を分母・分子に掛ければよい。」

発問6 式の続きを書きなさい。念のため、何を分母・分子に掛けました。赤四角で囲みます。

みんなでかっこから言います。「(√5-√2)です。」

指示2 続きを計算しなさい。できた人は見せにきます。

早くできた生徒から板書。

3.説明練習

指示3 できた人は、説明練習。私の後について言います。

「分母の有理化。分母√5+√2。分母が平方根の和。(A+B)(A-B)=A^2-B^2を利用。√5-√2を分母・分子に掛ける。」
説明練習。1回目できた人。2回目全員。


4.変化のある繰り返し

指示3 問16。みんなで読みます。「次の式の」、さんはい。

「次の式の分母を有理化せよ。」

発問7 分母√6-√3は平方根の和ですか差ですか。

「差です。」

発問8 何を利用するのですか。

「(A+B)(A-B)=A^2-B^2です。」

発問9 何を分母・分子に掛ければよいのですか。

「√6+√3です。」

(2)、(3)で変化のある繰り返し。


4.問題演習

指示4 問16。(1)ができた人は見せにきなさい。

(1)、(3)でノートチェック。(3)が早くできた生徒から板書。

テープおこし


33頁、例題2。「√5+√2分の√5の分母を有理化せよ。」

教師が範読。準備が遅い人のための時間調整。
範読が終わっても、どこをやっているかわかってない人が2人いた。

みんなで読みます。「√5+√2分の√5の」、さん、はい。

「√5+√2分」声がそろっていない。

声はよく、出ているのですけれど、そろってないので、もう一度読みます。「√5+√2分の√5の」、さん、はい。

分数の式が言いづらいと考え、ゆっくり言った。さんはいも、タイミングを取りやすいようにしたつもりだった。
しかし、それがテンポを遅くし、リズムを崩した。

何の分母を有理化するのですか。ノートに式を書きなさい。

半分しか式を書きはじめていない。

書けた人は・・・書けましたと言います。

「書けました。」
「書けた人は」だけで「書けました」と言ってほしかったが失敗。初めての人にはわからない、隠れ指示になってしまった。
式を板書。

はい、いいですね。はい、後ろの人は見えるかな。こう書けていれば、正解です。

「はい」が多い。言葉が削れていない。しつこい。

分母は何ですか。分母を赤丸で囲みます。

「分母を」がはっきり言えてない。

みんなで言います。さんはい。

「√5+√2です。」

はい、いいですねぇ。

ほめ方がしつこい。まどろっこしい。「そうだ。すごい。」と短くほめた方がよい。

分母が平方根の和や差で表されるとき、何を利用して有理化するのですか。

この質問はとっても簡単なんです。それはなぜですか。中川さん。

「教科書に書いてあるからです。」

はい、そうですね、はい、その通り、すばらしいです。

ほめ方がしつこいくどい。「そうだ。」がよい。

それでは、何を利用して有理化するのですか。山本さん。

「(A+B)(A-B)=A^2-b^2です。」

次は、どうすれすればよいのですか。先生、はい。

教科書通りの言葉ではない。2人指名するが答えが出ず。

もう一度言いますよ。したがって、ここでは何をすればよいのですか。

1人指名。「√5-√2を分母と分子に掛ければよいです。」

う~ん、95点。

1人指名。「√5-√2を分母・分子に掛ければよいです。」

はい、それでは、式の続きを書きなさい。はい、念のため、何を分母・分子に掛けましたか。

はい、書けた人は書けましたと言うんですよ。

「書けました。」

みんなでかっこから言います。さんはい。

「(√5-√2)です。」

はい、声が揃ってないけど、はい、いいでしょう。そうかけていれば正解です。

「はい」がいらない。声が揃ってなければやり直し。「そうかけていれば」が「掛ける」か「書ける」のどちらなのか分からない。
板書。

はい、掛けたものに赤四角で囲みなさい。はい、前を見て確認します。

みんなでかっこから言います。「(√5-√2)です。」

続きを計算してごらん。できた人はノートを前に見せにきます。

5人が作業に取り掛かる。残りの生徒がとりかからなかったので不安になる。

わからなかったら、教科書を見ればいいんですよ。

1人目がノートを持ってくる。

はい、早い。ああ、ていねいに書いてあるね。

板書をさせるのを忘れた。早くできた生徒に空白を作ってしまった。

わからなかったら教科書を見てごらん。

ていねいに定規を使ってやっていますね。素晴らしいですね。このクラスは。

遅い原因の一つは定規をていねいに使っているからだということがわかる。

ノートの見せ方がとてもいいですね。はい合格です。

検討

模擬授業評価表への記入。

山本雅博氏

合計9
1.さんはいのさんが深い(長い)すぎる。間のびする。
2.音読は、先生も読み出しを一緒に読んでテンポを示す。そうすれば全体のテンポが上がる。

石堂美宙氏

合計11
1.「かけたものに赤四角で囲みなさい」という指示が、わかりにくかったのが残念です。
2.教科書の「考え方」1行目がもっと押さえられるようにできればよかったと思います。
3.評価・ミニ定規の配慮があったのがよかったと思います。

加納敏氏

合計9
1.「そろってません」の次に1部範読した。あそこから始めるとよかった。
2.「掛けたもの」の「掛けた」を書くと勘違いしました。
3.板書は必要ないと思います。(教科書に書いてある。死角ができる。)

土屋優子氏

合計10
1.向山型「数学」なるものを始めて受けました。向山型算数のような展開が,中学でも可能なんだと感心しました。
2.考え方の1行目は、大事なので,もっと重点的に扱った方がよいと思いました。

宮下氏

合計9
1.教科書通りはいいが,もっとテンポアップしてもいいのでは?
2.「√5-√2を分母・分子に」を「√5-√2を分母と分子に」と読まれた答えを言いなおさせた意図が?だった。

北吉氏

合計9
1.できない子や正解でない生徒への言葉に優しさが足りないと感じます。

鈴木良治氏

合計10
1.最初の問いは2つあったように聞こえた。
2.発問6かけたもの=書けたものと聞こえた。
3.とっても簡単です。の時、どこだかわからなかった。

大槻幸子氏

合計8
1.もっとはやいテンポでもいいと思いました。
2.「かけた部分に赤四角」という指示が「書けた」と聞こえ、とまどいました。

佐藤氏

合計10
1.細かい指示・言葉かけがありました。「ノートの出し方いいですね!」「定規を使って書いていますね。」

中里氏

合計8
1.何事にも動じないところがよい。
2.最初の指示、指さし確認をする。

佐々木氏

合計9
1.ゆっくりよゆうがあるが、まどろっこしい。ハキハキとしてほしい。
2.よくわからない指示があり、黒板を見ないとできなかった。式を書くところ、赤四角で囲むところ。

坂井氏

合計10
1.発問6の言い方がかわっていたためかわかりにくかった。

太田氏

1.最初の指示、例題2は分かりにくかった。

西野一葉氏

合計8
1.「とっても簡単」・・・1人にあてると残り39人さみしい。
2.もう少し早くても良い。

刀袮敬則氏

合計9
1.どこを赤四角でくくるのか不足でした。

進士氏

合計9
1.最初どこを読んでいるかわからなかった。指をおかせるなどの工夫がほしかったです。

分析・自評


1.「さんはい」の言い方を練習する。
2.一斉音読のとき、読み出しを一緒に読む。
3.発問6「かけたものに赤四角で囲みなさい。」がわかりずらかった。発問「分母・分子に何をかけたのですか。指示「赤鉛筆、四角で囲みます。」と発問・指示を分ける。
4.「そろっていません」の前に範読した理由は2つ。1つは、√が入った式の読み方の例示。もう1つは、プリントを用意で規定ない生徒のための時間調整。
5.「かけたものは何ですか。」よりも「何をかけたのですか。」とした方が、「掛けた」と「書けた」の勘違いがない。
6.板書は必要。できない生徒は、写すだけでよいので安心。
7.考え方の1行目は、逆の発問をするつもりだったが、実際の模擬授業で忘れてしまった。
8.生徒の合わせてテンポアップする。
9.「分母と分子」と読まれた答えを言い直させたのは、教科書通りでなかったと判断したから。
10.できない子や正解でない生徒への配慮をもっとする。
11.発問1「何の分母を有理化するのですか。式をノートに書きなさい。」で「何」と「式」は同じものである。初発問としてはわかりづらかった。
12.「とっても簡単です。」で、教科書を見ればいいと考えた。しかしそれでも、わからない生徒もいると予想した。高校の数学なので、わからない生徒も当然いる。したがって、3人指名して、答えが出なければ、教師が答えを言うようにしている。
13.今回の最初の指示を指さし確認にしなかった。教師が範読、それから一斉音読にした。理由は,問題の√5+√2分の√5をの読み方を例示したかった。また、一回教師が範読することが時間調整になると考えた。
14.はっきりする。
15.「とっても簡単」のあと、「どこに書いてありますか。」「考え方です。」「指で押さえてごらん。お隣さんと確認。」「みんなで言います。(A+B)(・・・、さんはい」とした方がよかった。

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