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スローメディアの復権
僕が大好きなニュースレター『Lobsterr Letter』のインタビュー記事がとてもよかった。
―その時間に追い立てられないベースの意識がスローメディアと言われる所以なんですね。
佐々木:大前提としてニュースレター自体が自分たちも急かされず、人のことも急かさないフォーマットだなと思います。Twitterはいつ更新があるか分からないから無限スクロールしてしまうけど、ニュースレターは曜日が決まっているから自分たちも読者の方々も情報に対して脊髄反射したりする必要がない。
岡橋:大きなニュースは毎週のように起きていますが、だからといって必ずそのニュースをすぐに取り上げなきゃという意識もあまりないです。それよりも、もう少し時間が経ってから多角的な考察が出てきたときに、それらを紹介しながら自分の考えを添えるスタンスを取っています。なので、どちらかというと、ニュースというよりも視点や文脈を届ける意識の方が強いですね。
TwitterやFacebook、Instagram、TikTokなどタイムラインで流れていくファストメディアは、いつまでも見てしまうし、常にFOMO(fear of missing out/取り残されることへの恐れ)を感じてしまう。
これに対して、自分のペースでゆっくりと味わうことができるニュースレターやポッドキャストなどのスローメディアが人気になるのは自然な流れだろう。
実際に僕自身も、朝メールボックスをチェックしてニュースレターをゆっくりと読み、家事や散歩をしながらポッドキャストを聞くスタイルが定着してきた。
ちなみに、よく聞くポッドキャストはこちら。
こうしたスローで心が落ち着くメディアが今の時代にしっくりくるのは、Lo Fiの人気と同じような背景があるのだろう。
また、2020年10月にBusiness Insiderが、テクノロジーやビジネスなどのニュースレターを配信するMorning Brewを7,500万ドルで買収し、2021年2月にはHubSpotがThe Hustleを買収することを発表するなどビジネスとしての注目も高まってきている。
そういえば最近は読書についても、Kindleなどの電子メディアをあまり使わずリアルな本を買って読むことが多くなった。
うつろいながら消えていくデジタルの感覚ではなく、経年によって変化していく手触りや感触を楽しむ、そんな感覚がいい。
タイムラインで流れていくファストメディアから、じっくり楽しむスローメディアへ。
この流れはさらに大きなうねりとなってくるだろう。
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