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生まれる前の記憶

その記憶は大きな光る球体から、一雫の魂が生まれたところから始まる
そして、その雫は生まれてすぐに2つに分かれた
分かれた1つは僕自身、もう1つは僕の半身たる存在
周りを見渡すと、いくつもの雫が大きな光る球体から生まれていた

生まれた僕は地球へ向かっていた
地球に到着し、空を飛び自分が宿る肉体を探していた
そんな時、緑豊かな山間の上空からある家屋を見下ろすと、胎児の命が尽きかけていることに気がついた
そして、その魂へと近づいた
その魂は僕に、消えてしまいそうな声で、この身体で生まれてほしいと言った
だから、僕はその魂から肉体を譲り受けた

それが生まれる前の、肉体に宿るまでの僕の記憶

ある時、両親から僕の出産は相当な難産だったと聞いた
予定日よりも1月早く、母親が外出中に突然産気づいて、救急で病院へ運ばれ、そのまま出産することに
胎児である僕の状態は、へその緒が首に二重巻きになって、逆子で首を吊っていて、その上、裏表も反対側になっていて、死んでいてもおかしくない危険な状態だったそう
多分それは本当に一つの命が尽きていて、僕が肉体を譲り受け、危険な子宮内から生まれようとしたからだと思う

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