36.脱がないワンピース

今日は買ったばかりのワンピースを着る
Aラインの黒のロングワンピ
くしゃくしゃした加工でレースより甘くない
思ったより長かったけど気に入ってる
通販はそんなもの
いちいち裾を持ち上げないといけないのも面倒で可愛い

ワンピースは普段のデートでは極力着なかった
選ぶ時もちょっと倦厭した
首元で苦しくなるから
捲れ上がってぐしゃぐしゃになるから
会ったら必ずありきの中で、上下が別れていることが大事だった
部分的に脱ぎやすいことが大事
ワンピースだとたくし上げられて大変みっともない感じになるから嫌だった

でも今は気にしなくてい
脱ぐためを考えてに着なくていい

江國香織さんの何かの本の中に
おとこのひとのためじゃなくてただおっぱいがおおきくなりたい
みたいな一説があって
読んだ時は10代だった
大人の女の人が幼い女の子のような言い回しをすることに
その内容がシンプルさがひたすらに残り
今も時々思い出す
その時の倍くらい生きて、本当にそうだなと思う

自分の喜びのために自分を愛おしみたい

ただもうおっぱいはどうにも大きくならないので
大きさじゃなくて素材感と形を愛していこうと思う
あるものを愛しいこう
健全な皮膚と健康な筋肉とほんのりした脂肪を愛していこう

ワンピースで思い出すことはお出かけの記憶でもある
お出かけする時は寝てばかりいないのが分かってるからよく着てた
車の助手席でひたすらに喋った

はっきり思い出せなくなってきてるけど
いつもいつの間にか眠っている無防備な自分でいられるのがとても幸せだった