サリオスは本質的に…

　こんばんは。
　私のチャンネル名にもなっているサリオスという馬。皆さんご存じでしょうか。
　無敗で朝日杯をレコードで制し、皐月ダービーで連続2着。三歳春まではあのイクイノックスの上位互換といった戦績です。秋初戦はスーパーGⅡと言われる毎日王冠で古馬相手に完勝。しかもマイルから2400mまでこなせる万能さ。成長力のある血統。同期には無敗の三冠馬がいましたが、一部ではそれより高い評価を受けているほどでした。「来年になったらもう、マイルから中距離はこの馬が支配するに違いない。」と多くの人が夢を見ました。

　さて、今はというと…。すっかりネタ馬扱い。まぁ、それが嫌というわけではありません。放牧時は580キロにもなるという大型馬。しかし、体高はステイゴールドほどしかなく、それでいて体重はキタサンブラック級と、何ともまぁごっつい馬です。その体格から「牛」「ボックスティッシュ」などと言われることもしばしば。また、適正距離が分からない馬としても有名で、「サリオスは本質的にマイラー」「サリオスは本質的にスプリンター」「サリオスは本質的に中距離馬」「サリオスは本質的に毎日王冠」などなど、皆さん意見が点でバラバラ。

　ちなみに主な実績はというと、ＧⅠ勝利は朝日杯。毎日王冠を2勝。皐月賞2着、ダービー2着、安田記念3着、香港マイル3着。とかでしょうかね。あ、東京芝1800のレコードホルダーです。確かに戦績をあとから見れば、二歳ＧⅠ勝ちの善戦マンですね笑
　しかし、ただの善戦マンではなかったということを皆さんに知ってほしい。ただのネタ馬ではなかったということを皆さんに知ってほしい。

　まずあの馬体。あとから見た人が「牛」という感想を持つのは無理もありません。新馬戦での伝説のパドック、そこからさらに増えた二戦目。そして550キロでの出走とあの筋肉。まぁ確かに、といった感じです。
　でも、ダービーの時は違ったのです。あの馬体はもう理想の中距離馬。あそこまでの筋骨隆々の体を持ちながら、あれほど中距離馬の馬体になれるのか、という衝撃が関係者の間でも走ったと言います。ダービーはコントレイルに完敗でしたが、位置取りのこともありあました。2000までは古馬になってからでもこなせたんじゃないかな。

　そしてローテ。三歳の毎日王冠を勝って、マイルチャンピオンシップでグランアレグリアをも凌ぐ豪脚を使ったまではよかった…。その次は土砂降りの大阪杯で5着、安田記念8着、マイルＣＳ6着、香港マイルでゴールデンシックスティの3着。うん、ここまでもまぁうん。
　次走、「高松宮記念」。これに関しては結果論なので「間違っていた！」というつもりはありません。しかし結果は15着。この年の大阪杯、ポタジェが勝った時ですね。出てほしかったなぁ。ジャックドールＶＳエフフォーリアＶＳサリオス。いいじゃありませんか。かなりいい勝負だったんじゃないかなぁ。

　最後は戦績。デビューから三連勝、内重賞のレコード勝ち2回でＧⅠ制覇。皐月賞はコントレイルに半馬身差の二着、ダービーもコントレイルの二着、三歳で毎日王冠圧勝。どうですかね。ここまでだったら、私は2022年秋天を勝った時点のイクイノックスより評価高い人がいても全然驚きませんし、当時はもうすごい評価でした。「無限の可能性」と言われることもありました。スプリンターの馬体でマイルでは三戦三勝レコード二回、ダービーは2着、皐月も無敗の三冠馬をギリギリまで追い詰めた。コントレイルがいなければ、おそらく、5戦5勝で無敗の二冠馬だったでしょう。
　5歳秋には残り100mだけの競馬で毎日王冠をレコード勝ち。ハーツの血が完全に覚醒したかと思いきや、マイルCSで惨敗。逆襲を誓った香港マイルはまさかの取り消しで引退。

　「秋天を使っていたら」「高松宮記念に出さなかったら」「香港マイル走れていたら」「もう少し馬体を絞れていたら」といったように、適正距離や適性体重が分からないまま現役生活を終えてしまったGⅠ馬でした。

　GⅠを異なる距離で複数勝っている馬でも、ディープインパクトやキタサンブラックなら京都3200、オルフェーヴルなら中山2500、アーモンドアイは府中2400、といったように適正はわかりやすいことがほとんどです。
　しかしサリオスは、GⅠを一勝しかしていないのに、適正距離がこれだけわからないのです。これは異常事態です。これがいかに異常事態か、皆さん想像してみてください。
「マイルGⅠ一つ勝ってほかの距離では善戦止まり」さて、この馬の適正距離は？
　まぁ100人中98人はマイルと答えるでしょう。しかし、サリオスの場合そうはならないのです。なんなら「サリオスの本質は絶対にマイルではない」という人までいます。
　サリオスがいかに異端な馬かということ、いかに魅力がある馬かということ、いかにみんなが夢を見たかということ、わかっていただけましたでしょうか。

　超絶良血の彼は現在種牡馬になりました。もう安田記念にも、マイルCSにも、秋天にも、ジャパンカップにも、もちろん高松宮記念にもサリオスはいません。ただ、どうしても想像してしまいます。「もしサリオスが出ていたら…」
　無限の可能性は、産駒で見てみたいですね。

皆さんはサリオスは本質的に、何だと思いますか？