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伝えるということ

いつも通りおじいちゃんの考えです(笑)
色々ご意見があるでしょうが、少しでも考えてもらうきっかけになればと思います。
長くなっちゃいました。

ざわざわしている低学年の児童に話を聞かせる時に合図を決めるという話を聞きました。

こちらの経験が浅かったり活発な児童が多かったりしたら、ざわざわして話を聞かせられない事があるでしょう。
そこで合図を決めて、約束を守って話を聞かせるという事です。

これは良いと思いますが通過点です。
先生が合図を出したら話を聞く!
まだ外発的な動機だと思います。
先生の話を聞くと大切な事がわかるし、学べるから話を聞こうとなると内発的な動機になるでしょう。
自ら聞こうという気持ちを持たせるのが一つの到達点かと思います。

私はこの考えに至るまで様々な経験をしました。
以下は経験談なのでラストまで飛ばしても大丈夫です(笑)

教育実習では2年生担任で、今にして思えば附属小学校だったので優秀な子たちばかりでした。
でも話を聞いてくれない。
そこで牛のヌイグルミを出して、これを出したら先生の話を聞く、というルールにしました。
実習生慣れしている子たちなのですぐにルールに従ってくれました(笑)
当時はそれに気づかず、俺すげぇ!センスある!と浮かれていました。切腹。

臨任では産休の先生のリリーフで1年生を持ちました。
産休の先生が子どもたちを1学期の間に成長させてくれていたので、話を聞く子たちでした。
それに気づかず、俺すげぇ!センスある!とまた浮かれました。切腹。

ようやく採用試験も受かり、幼稚園免許もあったので2年生の担任になりました。
山の手の高級住宅街の子たちで、優秀な子たちでした。
でも話を聞いてもらえない、伝わらない、私も血気盛んな若者だったから怒鳴る、前述のヌイグルミを出す、なんとかルールを作ろうとするが失敗する等々散々でした。

もちろん一年では解決策なんて見つかりません。
先輩に相談し、先輩の技術を盗み、研究会に参加し、本をたくさん読みました。
そして今では怒鳴らず(笑)子どもたちの前に立つと話を聞いてもらえるようになりました。
以下はその手順の一つです。

始業式の後担任発表になり、教室で初めて話をする時です。
この時だけはどの子も絶対話を聞いてくれます。
子どもたちはどんな先生かワクワクしているからです。

私は名前よりも先に『ぞうさん』の音読をします。
『ぞうさん』の詩を黒板に貼り、
「これ知ってる?」
子どもたちは歌います。
次に歌わずに詩を読ませます。
「誰がいるの?」
「お母さんぞうさん」
「子どもぞうさん」
「話をしてる人」
「お母さんぞうさんはいるかな」
話が盛り上がり、
「じゃあお話しするように読んでみようか」
子どもたちはみんな読みます。
「ベランダにいる先生に伝えるように読んで」
「寝ている赤ちゃんに読み聞かせるように読んで」
様々な声の出し方をやります。

「先生は国語大好き、音読大好きなので1年間このように音読を勉強していきたいと思います」
この後名前を教えたり、子どもたちの自己紹介をしたりします。
最初の時間を共有したいのです。
私の名前や自己紹介を長々やるより子どもたちは興味を持ってくれますし、1年生から6年生までこれでハートキャッチです(笑)
私の人柄はそのうち伝わりますからね。

この先生は面白い事を話すぞ!
少しでもこう思ってもらったらチャンスです。

授業中騒いでいる子がいます。
私はとにかくガン見します(笑)
多少ざわつきますがやがて静かになり、その子は気まずそうに黙ります(笑)

授業中こちらを見ないでボーっとしている子がいます。
私はとにかくガン見します(笑)
またざわつきますがやがて静かになり、その子は気まずそうにこちらを見ます。

時間は厳守なので、始める時は時間になったら話を始めます。
どうでも良いくだらない話をします。
時間前に座って聞いている子は爆笑です。
座ってなかったり聞いていなかったりしたらこの爆笑についてこれません(笑)
なになに?と聞いても誰も教えてくれません(笑)
数回繰り返すとみんないつのまにか開始時間に話を聞く姿勢になっています。

ですから授業開始の2分間を使ってもこの手段を取っていれば話を聞いてもらえるようになります。
ざわつく時間や教科書・ノートを準備する時間よりは短くなります。
そして終わる時間は絶対守る事。
時間が過ぎた瞬間に聞く耳を持ってもらえなくなりますからね。
中休み前なんか、終わる時間を延ばしても絶対聞いてません(笑)

話を聞いてもらう、こちらの考えを伝えるには日々の生活で少しずつ積み上げていくしかありません。
特効薬なんか無いのですから。
毎日・毎時間の積み重ねです。

絶対伝えなければならない事があります。
命の事(避難訓練・不審者対応・休みの過ごし方・道路について・校内で走らない事等)
人権の事(ともだちの病気や名前や家族の事で何か言う・複数で1人に何かする等)
気持ちの事(わざと間違いを繰り返す等)
いつものくだらない話とはメリハリをつけます。
そして内容を明確にする事、短時間で終わらせる事です。

私より(悪い意味で)面白い先生を見た事がありません(笑)
私より(悪い意味で)子どもが興味を持つ話をする先生を見た事がありません(笑)

教員の9割5分は私より優秀な人でしょう(笑)
ですが話を聞いてもらうまでの手順は知っています。
ここに至るまでは様々な手法を試して、自分に合った方法を模索する事が大切です。
ですから最初に書いたように合図を決める、というのも手段としては良いのです。
そしてそこからまた始まるのです。

色々書きましたが、子どもたちに伝えるにはどんな手段でも構わないのです。
聞いてもらわないと、伝わらないと始まらないのですから。

何より私が伝える手段を会得できたのもやはり子どもたちのおかげです。
優しくて話を聞いてくれる子たちだったからこそ、私も成長できたのです。
だから感謝しか無いですね。
ありがとう。

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