こうして私は気持ちと怒りの感情を捨てた =自分史③=

まるで宇宙人との会話かのように、カウンセラーさんの言っていることが分からなかったあの頃。
数年経ってから、次第に話の内容に理解できる部分が出てきました。

そう、まるで白一色の空間の中に、水玉のような点がぽつり、またぽつりと現れてきたかのように。

私の心の中の子供が育たなかった理由。
考えを巡らせていくとその大きな一つが、幼少期にあったように思います。

私は個人で学習塾を経営している両親のもとに長女として産まれました。
何かと思考にアンバランス感があり、正義感の強すぎるさみしがりやの父。
一方自分軸がしっかりできている母。そして文武両道で人気者の兄。

小学校1年生の時から両親の経営する塾に通い、すべての科目の成績を握られていた私。成績で母に怒られた記憶はありませんが、父から97点取っても「わからないならなぜ授業中に聞かないんだ」と怒られるのが日常茶飯事でした。また、父が私を怒るときは母に気が付かれないよう別室に呼び出されていたので、私が大きくなるまで母はその事実を知ることはありませんでした。

そんな経験から
「怒られると、傷つくし嫌だ。だから私は人に怒らない人間になる。」
小さいながらそんな風に自分の中で決めたことを覚えています。

また、アンバランスな父と自分軸しっかり派の母とは仕事も家も一緒という環境の中よくぶつかっていましたように思います。私は小さいなりに、
「自分がいい子でいれさえすれば、二人は一緒にいてくれるはずだ」
と思いこみ、周りの空気ばかり読む子供になっていきました。

自分の気持ちを言ったところで父親が分かってくれるはずがない。
だから父の望むような娘でいればそれでいいんだ。
そんな小さい頃の思いを握りしめ、自分の中の大切な感情や怒りを捨てていくうちに、いつしか”自分の本当の気持ち”がわからない女性に成長していくことになったのです。

(続)


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