最近やらないようにしていること

ブログに書く前段階なので、とりあえず頭の中にあることをアウトプットしておこうと思います。もちろん公開はされているので、読まれてしまうのですが、それはまあ私に興味を持ってくれた方に知って頂くのは構わないと思ってます。

最近やらないようにしていることがあります。それは自転車屋として、です。

その中の一つを例にして、その内容がいくらかでも伝わればいいなと思っています。これを知らせることは、単に”言いたいだけ”なのではなく、自転車屋さんといい関係を築きたい人への知識提供です。知っておけよという目線ではではありません。ただ、これまでに気づいている人は自然に気づいている内容ではあります。

例えば、今日は持ち込みのクロスバイクに対してタイヤ交換作業を行いました。当初は予定になかったパンク修理、この場合にはチューブ交換も加わりました。来る途中でアクシデントにあったようで、走行中に徐々に抜けてしまったようです。

なお、この方は自転車本体を通販で買ったことを自ら知らせてくれています。そのお知らせに特別意思は無いようですが、それは逆に言えば、自転車屋や、それと自分の間の仕組みやつながりを軽視されている方と言えます。少なくとも興味はないでしょう。

スローパンクが疑われました。「これってパンクですか?」と聞かれる、たまにあるパターンです。来る途中に抜けたので自転車屋を見つけ、そこで入れてもらったなんとかたどり着けたのだと教えてくれました。しかし、実際はチューブから切り傷が発見されたので普通のパンクでした。スローパンクを疑う際に作業前の予備情報として「どの程度の時間でどの程度抜けたのか?」などを確認し、その中でもともと入れていた空気圧も聞いたのですが、それがなんと7気圧。途中で寄った店の人にそう言われて入れてもらったらしいですけど、それがミスインフォメンーションなのか、ヒアリングミスなのかは不明です。もはや、わかりません。いずれにしても、タイヤのサイドに空気圧の指定範囲(今回は3〜5bar)があることを知らなかったので、ミスインフォメンーションされても疑うことが出来ませんでした。「言われたからそうした」場合にも本人の責任はあります。

この程度の知識量しかなく、通販で購入されたということは他のあらゆることを知らない可能性があります。こういった場合でも、タイヤを販売するので指定空気圧の範囲があることはお知らせしますが、その他の無知な点については掘り下げませんし、お話もしません。以前ならば、こういった知識を無償で伝えるという先行投資をすることで、また店を利用してくれる≒買ってくれるというサイクルが期待できたのですが、残念ながら今ではライト層ほど期待できません。聞くだけ聞いてAmazonで買うのがせいぜいでしょう。もちろん使い分けはあると思いますが、後に言うような心ない一言によりそれはサービス提供者の心理に大きな影響を与えます。「そんなの気にしない」という人がいれば、きっと良いサービスを受ける事はなかなか叶わないかと思います。むしろ、怒りを覚えるシーンは増え、自分が良いサービスを受けられないのはなぜなんだ?と思われるのでしょうが、それはお互い様です。サービスの提供者と受益者という関係においても、互助というのは存在しますし、必要なことです。

今は以前とは違う理由で自店購入かどうかという点についての判断もされます。以前は面倒だったからであったり、手間の問題を理由にしました。しかし、今では”色々なことを回収ができないから”という理由で知識は有料で切り売りをするという形になります。つまり、知識はお金を払った分だけ提供されます。

自転車屋で出来たはずの”楽しい雑談”も、他店購入あるいは通販ヘビーユーザーにはしていません。今の自転車を取り巻く便利な環境が築かれたの偶然ではありません。これまで様々なユーザーの投資や店舗が努力して築きました。それらを"うまく利用する自由"はありますが、残念ながらそれを応援し、そこに投資はできません。「それが出来ないなら店に行かないわ」というのは、卵と鶏です。買ってもらえるなら時間を差し出せます。

というわけで、今回は納車説明を切り売りしていることをお伝えしました。その理由、重要性、コストも説明しました。しかし、依頼されませんでした。はい、そんなもんです笑。

Eバイクの場合にはクロスバイクとは別次元に行動範囲の拡張が予測されるので、”パンク修理は出来て当たり前”になるでしょうし、クロスバイカーよりも早い段階でそれが必要になるでしょう。しかし、ライト層はそこまで予測していないのでEバイクを通販でも買うでしょうね。しかし、リアル店舗がコストを割いてその部分にある負債をカバーする必要はありません。ユーザーが自ら負うべきです。それは店舗選択ミスの代償でもありますから、店舗からその知識を購入して得ればいいだけです。

これは”買った人じゃないと何もしません”という意味ではありません。今の時代、自転車以外のパーツはほぼ通販で買われます。「私はそうじゃないよ」という人はいますが、少数です。自転車を買ったあとに買うだろうライト、サイコン、ヘルメットなどは通販購入率の高い商品でしょう。ボトルケージなどはもちろんですね。その後に控える大物であるホイールやコンポーネントも通販がメインです。ウェアも通販がほぼメインと言えますし、自転車本体以外に売れるものがどんどん削られているのが自転車店の現状です。知識を撒き餌にしても何も釣れないのが現状です。「そのうち何か買ってくれるだろう」ということはもう期待できませんし、ほぼしてもいません。その上で有償で何かをして差し上げるというサイクルをいかにして行い、浸透させるかということですし、コストを支払って頂ける方を相対的には大事にするかということになります。

自転車本体を買ってくれる人にはとても優しくなります。それを踏まえて自転車店とお付き合いいただくと、それぞれの方々にとっての良い関係を構築することが出来るかと思います。「本体を買わなくても、知識や工賃にカネを払うから、それ食っていけばいいだろう?努力不足なんだ。」という意見は時折聞きますが、今のプライシングやコストを支払う人の感覚や数からして無理でしょう。ここ最近、いくつかの自転車店が無くなってしますが、それが大きな原因でしょう。もちろん、自転車本体以外にも、大きなお買い物をして頂けたり、お店に付いて頂ける方には優しいのが自転車店ですが、自転車本体が最も効果的です。それはきっと他の商売でも同じではないかと思います。自転車だけが特別だと言いたがる人は自転車界に多いんですが、そんなに特別ではないと思います。

単にお金を払った人へ、払った分だけのサービスを提供するという基本原則に則っているだけです。

決して、自転車店のレコメンドに対して「あ、他はAmazonで買うんでいいです」とか「アマゾンのほうが安かったんでそっちで買います。説明ありがとう。」とか、「あ、これ通販でやすかったんですよ」などと言わないことです。その言葉により、もう今後は自転車店のスタッフがあなたにそのような先行投資をする気はなくなり、放っておかれることでしょう。また、こういった言葉で負ったダメージが蓄積し、”もう知識は安易に喋らない”となったのが今回の例になります。

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