クレパス
小学2年の3学期。
折れないように大事に使っていたクレパスをやんちゃな同級生に折られた。
はっきり覚えている。左から4番目の黄緑色のクレパスだ。
それで、泣いた。
低学年の頃の私は「いい子ちゃん」だったので、やんちゃな男子の面倒を見る役割を担任から期待されていたのは肌で感じていたけれど、大泣きした。大事に使っていたのに、こいつのせいで取り返しのつかないことになった。
ちなみにウケがいいからいい子ちゃんにしていただけで、当時(も今も)決して精神的に大人びているわけではなかった。
大泣きした私に狼狽えた彼は、ちょっと心配そうな顔をして私を覗き込んだ。
綺麗な明るい茶色の目だった。
折れたクレパスを元に戻すまで許さないと本気で思っていたけれど、あの茶色の目だけは憎めなかった。色白で肌理の細かい肌によく似合っていた。
それ以降の彼の記憶は全くない。卒業式以降は会ってもいないけれど、今頃どうしているだろうか。
きっとおっさんになっているんだろうけど、目はあの色のままかなぁ?
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