蟹座の満月

一度書いて、そのあと取り下げて、
「何も消すことはなかったな」と思い直したので、再投稿。

意地悪さと 残酷さと 
茶目っ気の素性を現した手が 
沿道中からかい続けて 
差し色になって白い肌を飾る

宇宙3個分のわたしの苦難は
あなたの前で霧散し 泉に変わる
父の前では矛と盾となった記憶を
わたしを形作った時間を 地下で畳み
父であることの苦悩は 空を過って
目の前の 果てしなく遠い銀河
触れあわないようにして
わたしはその瞬間 泉になる

自分に提供できないものの輪郭を知らずに
提供できるものの形がわからなかった頃の
全身の賭けは全身の創痍
その深い遺産がなければ

吸収する
     受け止める〈わたし〉はいない
振動のすべて
サバイバルすることへの畏怖
触れあわないように 
見えないように交換した
声明のこえのすべて

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