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第34回世界コンピュータ将棋選手権 HoneyWaffle視点のまとめ&自戦記(3)


前回の記事の続きです。

今大会のHoneyWaffleの総括

どういう振り飛車を指していたか?

一次予選(再掲)

  • 先手番は初手78飛の三間飛車3局(1局は相振り)、中飛車1局で4勝。

  • 後手番は三間飛車、ダイレクト向かい飛車でそれぞれ負け。四間飛車では1勝1敗。

二次予選

  • 先手番は三間飛車で2敗1分け、中飛車で1勝。

  • 後手番は三間飛車、ダイレクト向かい飛車でそれぞれ勝ち。四間飛車では2敗。飛車を振れなかった居飛車で1勝。

トータル

  • 先手番

    • 三間飛車は3勝2敗1分け

    • 中飛車は2勝

  • 後手番

    • 三間飛車は1勝1敗

    • 四間飛車は1勝3敗

    • ダイレクト向かい飛車は1勝1敗

    • 飛車を振れなかった居飛車で1勝

戦型まとめ

先手番は勝ち越している。
三間飛車については角道を閉じない場合が悪かった。floodgateでは85歩まで決めてくる相手が多く、選手権本番ではそうでもなかったからか。
中飛車が2勝で負けなし。三間飛車とは50%50%のはずだが出現率に差がついた。結果論ではあるがもっと見たかった。

後手番はぼちぼち。おそらく、居飛車振り飛車関係なく後手番が不利な部分が出ていると思う。
後手番も出現率に偏りがあって、もう少しダイレクト向かい飛車というか、角交換の将棋を見たかった。

定跡について

HoneyWaffleの視点では、変な定跡で自滅、という将棋はなかったはず。ただし特に二次予選では、相手のDL系ソフトからの視点では結構な差が出ていることもあったため、その点では精度に問題があったと考えられる。
毎日の定跡作りの作業で、本大会で使ったインスタンスで検討しているが、DL系ソフトでも検討しておく等が必要だったか。
floodgateはコンピュータ将棋界の縮図だと思っていたが、DL系については本番に近い構成では出てきづらいこともあって、NNUE系に偏った分布になっている。それにより三間飛車の角道の件や評価値の差が生じたと考えられる。

決勝リーグ(最終日)

二次予選で戦いが終わって、それまでの疲れがどっと出て自宅にいました。
いちおう連絡用SlackとXのタイムラインは見てました。

おどろいたのがお昼ごろに独創賞の受賞についてSlackのDMが入ったことです。うしろめたさがあり辞退するつもりでしたが、受賞理由を若干誤解していたので、辞退はやめました。

エンタメ的な面も評価の対象になるということで、私の地道なレジスタンス的な活動もいちおう認めてもらったのかな、と感じています。

今後について

選手権が終わってからずっと休息しています。floodgateへの放流も選手権前日の時点で止めています。

定跡についてはもういいだろうという気もしますが、どんどん掘っていったらとうとう何か掘り出せるかもしれないわけですし続けたい気もします。常時高いインスタンスで検討するのは割に合わない感じもするので、作業負荷軽減も併せてやり方を見直せればと思います。

探索部については差が実感しづらいところではありますが、やはり最新のやねうら王は手に入れるべきだったと思います。お前CSA~と合わせて、独創賞の賞金が入ったら、コンピュータ将棋界に還元する意味でも買えるものは買おうと思います。(即買ってもいいんですが、賞金そのもので還元したいなという気分です)

たぬきさん式のNNUEの学習か、一六式いろは煌のDLの学習(これはやり方とか公開されないんですかね?)を自前でもやっておきたいです。振り飛車風味を追加するのは、画像生成の技術のLoRAとかが使えそうなのであまり悩む必要がなくなったかもしれませんし。

有料であっても評価関数がどんどん公開される風潮であれば、以前にやっていた、探索部で振り飛車の評価値を改ざんする方式の改造もまたやってみたいですが。

次の大会としては電竜戦TSECがありますが、こちらに出るかどうかは未定です。

初期局面がいわゆる初形ではない、課題局面から指し始める大会なので、振り飛車定跡が前提だと出る意味合いが薄いです。
(昨年は、DL系の学習を自前でやったのでその評価関数で出ましたが)
これからあと1か月で学習ノウハウ等が公開され、私の方で自前でいいものができれば、それで出られたらという感じです。

メンタル面の不調が長引いているので、回復しつつ次の展開を考えたいと思います。
思っていたよりもだいぶ長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

追伸:定跡の公開について

今大会の17局だけでは不完全燃焼もいいところなので、現在のバージョンを直近で公開することは考えていません。
ただ、今までNNUE系DL系問わず評価関数をリリースしている開発者の方で、私が大会本番でも使える形で振り飛車評価関数を作ってくれる場合には提供するかもしれません。


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