伊藤弘了

映画研究者=批評家。愛知県豊橋市出身。著書に『仕事と人生に効く教養としての映画』(PH…

伊藤弘了

映画研究者=批評家。愛知県豊橋市出身。著書に『仕事と人生に効く教養としての映画』(PHP研究所)がある。 ※投稿内容は個人の見解に基づくものであり、所属する組織を代表するものではありません。

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  • 『仕事と人生に効く教養としての映画』感想まとめ

    「『仕事と人生に効く教養としての映画』感想まとめ1〜13」をまとめました。

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固定された記事

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伊藤弘了
2年前
5

濱口竜介監督『悪は存在しない』レビュー

『ドライブ・マイ・カー』(2021年)の濱口竜介監督による新作(快作にして怪作)『悪は存在しない』のレビューを書きました。 映画は4月26日(金)から公開が始まってい…

伊藤弘了
6日前
3

2023年度の仕事まとめ

論文 ・「世界の循環と生の反復――映画『ドライブ・マイ・カー』における水の主題と音を伴う回転のモチーフ」、佐藤元状・冨塚亮平編『「ドライブ・マイ・カー」論』慶應…

伊藤弘了
11日前
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受け継がれる小津安二郎の記憶

少し前のことですが、1月23日(火)と26日(金)の『西日本新聞』朝刊に、ヴィム・ヴェンダース監督の最新作『PERFECT DAYS』と小津安二郎についての記事を前後編で寄稿し…

伊藤弘了
2か月前
5

喪失と再生の過程を歩くー映画『すずめの戸締まり』における足元の描写ー

新海誠監督の『すずめの戸締まり』(2023年)についての論考を書きました。村上春樹とアダプテーション研究会の機関誌(2号)に掲載されています(下記リンクより全文をお…

伊藤弘了
3か月前
3

TBSラジオ「こねくと」に出演しました

TBSラジオの「こねくと」という番組(2024年1月25日[木]、171回目)に出演しました。 木曜16時からの「こねくとゼミナール」(43時間目)のコーナーで、小津安二郎につい…

伊藤弘了
3か月前
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生誕120年小津とカンヌが結ぶ是枝、ベンダース、北野

能登半島地震で被災された方々にお見舞い申し上げます。 2023年に公開された映画のうち、個人的に特に高く評価している作品と、来年公開予定の注目作をまとめて、簡単なコ…

伊藤弘了
4か月前
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「年末年始は”超長編”名作シリーズを一気見だ!!」

12月18日(月)発売 『週プレ(週刊プレイボーイ)』2024年1月8日号(集英社)の特集記事「年末年始は”超長編”名作シリーズを一気見だ!!」で「映画編」の作品紹介と解説…

伊藤弘了
4か月前
2

〝わいせつ〟をめぐるゲームの規則 権力は何を恐れるのか

担当している連載「よくばり映画鑑賞術」(「ひとシネマ」)の最新記事が公開されました。 今回の論考は『毎日新聞』(9月6日夕刊4面)に寄稿した森永アイスボックス広告…

伊藤弘了
6か月前
1

広告における女性の身体表現の可否 「メッセージ」読み解き判断

本日9月6日(水)の『毎日新聞』夕刊(文化面)に広告批評の記事を寄稿しました。 森永製菓のアイスボックスの広告イラストについて書いています。 WEB版は下記のリンク…

伊藤弘了
8か月前
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バービーの髪の毛はなぜキノコ雲になったのか:後編 表現の自由は「炎上」を避けられない

記事の後編が公開されました。 前後編あわせて約1万字の大作です。 前編に引き続き、ポップカルチャー(映画、マンガ、音楽)のモチーフとして参照される核兵器の事例を挙…

伊藤弘了
8か月前
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バービーの髪の毛はなぜキノコ雲になったのか

「爆美女」「ビキニ」といった表現から「原爆バービー(バーベンハイマー)」までの距離について書きました。 「ひとシネマ」で担当している連載「よくばり映画鑑賞術」の…

伊藤弘了
8か月前
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だから是枝映画は世界で評価される…ほとんどの観客が見落としているカンヌ受賞作『怪物』の秘密

『プレジデントオンライン』に映画『怪物』(是枝裕和監督)の分析記事を寄稿しました。 「保利はなぜいつもキャリーバッグを引いているのか?」という問いから始めて、宇…

伊藤弘了
9か月前
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「怪物」はなぜ〝間違い〟だらけなのかーー言い違い、転覆病、鏡文字、横転する電車

映画『怪物』について書きました。 「言い間違い」「転覆病」「鏡文字」といったモチーフをつないで作品を読み解いています。 「そんなところから語り起こすのか!」とい…

伊藤弘了
10か月前
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『東京物語』考

戦争中に「兵事係」をやっていたという服部(十朱久雄)の子どもは、二人とも戦死している。兵事係は徴兵のための事前調査、召集令状(赤紙)の送付、戦死報告などを担った…

伊藤弘了
11か月前
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熊本大学に着任しました。

4月1日付で熊本大学大学院人文社会科学研究部の准教授に着任しました。文学部の准教授も兼務します。 また、昨年2022年10月1日に設立された文学部附属国際マンガ学教育研…

伊藤弘了
1年前
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映画を題材にしたビジネス書を出版しました。
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濱口竜介監督『悪は存在しない』レビュー

濱口竜介監督『悪は存在しない』レビュー

『ドライブ・マイ・カー』(2021年)の濱口竜介監督による新作(快作にして怪作)『悪は存在しない』のレビューを書きました。

映画は4月26日(金)から公開が始まっています。まずは東京の2館からスタートして、5月3日(金)から全国のミニシアターで順次上映が始まります。

このすさまじい傑作をお見逃しなく。ぜひお近くの劇場でご覧ください。

濱口竜介監督の過去作『ドライブ・マイ・カー』について以前書

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2023年度の仕事まとめ

2023年度の仕事まとめ

論文

・「世界の循環と生の反復――映画『ドライブ・マイ・カー』における水の主題と音を伴う回転のモチーフ」、佐藤元状・冨塚亮平編『「ドライブ・マイ・カー」論』慶應義塾大学出版会、2023年4月、165-80頁

講演

・「仕事と人生を豊かにする映画鑑賞」熊本ロータリークラブ例会(卓話)、ホテルキャッスル、2023年5月26日

・「Playing the Family Game in Kore-

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受け継がれる小津安二郎の記憶

受け継がれる小津安二郎の記憶

少し前のことですが、1月23日(火)と26日(金)の『西日本新聞』朝刊に、ヴィム・ヴェンダース監督の最新作『PERFECT DAYS』と小津安二郎についての記事を前後編で寄稿しました。

リンク先はWeb版です(全文を読むためには会員登録が必要です)。

同じ記事が2月6日(火)、7日(水)の『東京新聞』にも掲載されるそうです。

喪失と再生の過程を歩くー映画『すずめの戸締まり』における足元の描写ー

喪失と再生の過程を歩くー映画『すずめの戸締まり』における足元の描写ー

新海誠監督の『すずめの戸締まり』(2023年)についての論考を書きました。村上春樹とアダプテーション研究会の機関誌(2号)に掲載されています(下記リンクより全文をお読みいただけます)。

「喪失と再生の過程を歩くー映画『すずめの戸締まり』における足元の描写ー」と題して、足に関連するシーンを中心に作品を読み解いています。

TBSラジオ「こねくと」に出演しました

TBSラジオ「こねくと」に出演しました

TBSラジオの「こねくと」という番組(2024年1月25日[木]、171回目)に出演しました。
木曜16時からの「こねくとゼミナール」(43時間目)のコーナーで、小津安二郎についてお話ししてきました。

メインパーソナリティは電線愛好家の石山蓮華さん、木曜パートナーは土屋礼央さんです。

YouTubeの番組公式ページからアーカイブ動画をご覧いただけます。

番組の公式振り返りページです(ヘッダー

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生誕120年小津とカンヌが結ぶ是枝、ベンダース、北野

生誕120年小津とカンヌが結ぶ是枝、ベンダース、北野

能登半島地震で被災された方々にお見舞い申し上げます。

2023年に公開された映画のうち、個人的に特に高く評価している作品と、来年公開予定の注目作をまとめて、簡単なコメントを付しました。

連載「よくばり映画鑑賞術」を担当している「ひとシネマ」の総まくり企画の一環です。

今日はお昼ごろから家族で近所の神社に出かけ、家内安全を祈願してきました。その帰りに近くの小さな公園に寄って遊んできました。ヘッ

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「年末年始は”超長編”名作シリーズを一気見だ!!」

「年末年始は”超長編”名作シリーズを一気見だ!!」

12月18日(月)発売 『週プレ(週刊プレイボーイ)』2024年1月8日号(集英社)の特集記事「年末年始は”超長編”名作シリーズを一気見だ!!」で「映画編」の作品紹介と解説を担当しました。「映画編」のほかに「ドラマ編」と「アニメ編」もあります。

【追記】Web上でも読めるようになりました。

〝わいせつ〟をめぐるゲームの規則 権力は何を恐れるのか

〝わいせつ〟をめぐるゲームの規則 権力は何を恐れるのか

担当している連載「よくばり映画鑑賞術」(「ひとシネマ」)の最新記事が公開されました。

今回の論考は『毎日新聞』(9月6日夕刊4面)に寄稿した森永アイスボックス広告の分析記事と内容的に連続しています。もともとひとつの論考にまとめる予定でしたが、あまりに長大になったのでいくつかに分割しました(まだ公開していない部分もあります)。

広告における女性の身体表現の可否 「メッセージ」読み解き判断

広告における女性の身体表現の可否 「メッセージ」読み解き判断

本日9月6日(水)の『毎日新聞』夕刊(文化面)に広告批評の記事を寄稿しました。

森永製菓のアイスボックスの広告イラストについて書いています。

WEB版は下記のリンクからご覧いただけます(ただし有料記事です)。

あるいはコンビニ等で今日の『毎日新聞』夕刊を入手してご高覧ください。

バービーの髪の毛はなぜキノコ雲になったのか:後編 表現の自由は「炎上」を避けられない

バービーの髪の毛はなぜキノコ雲になったのか:後編 表現の自由は「炎上」を避けられない

記事の後編が公開されました。
前後編あわせて約1万字の大作です。

前編に引き続き、ポップカルチャー(映画、マンガ、音楽)のモチーフとして参照される核兵器の事例を挙げて考察を進めています。

前編では『2001年宇宙の旅』や「ゴジラ」シリーズ、『トイ・ストーリー3』、『HUNTER×HUNTER』などを、後編ではザ・キラーズの楽曲〝Miss Atomic Bomb〟やアーバンギャルドの「原爆の恋」

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バービーの髪の毛はなぜキノコ雲になったのか

バービーの髪の毛はなぜキノコ雲になったのか

「爆美女」「ビキニ」といった表現から「原爆バービー(バーベンハイマー)」までの距離について書きました。

「ひとシネマ」で担当している連載「よくばり映画鑑賞術」の最新記事です。

だから是枝映画は世界で評価される…ほとんどの観客が見落としているカンヌ受賞作『怪物』の秘密

だから是枝映画は世界で評価される…ほとんどの観客が見落としているカンヌ受賞作『怪物』の秘密

『プレジデントオンライン』に映画『怪物』(是枝裕和監督)の分析記事を寄稿しました。

「保利はなぜいつもキャリーバッグを引いているのか?」という問いから始めて、宇宙の彼方を目指してみました。辞書や水槽、エレベーターや廃電車といったモチーフが「方舟」というテーマに流れ込むさまを読み解いています。6,000字超の、渾身の論考です。

『怪物』については、『ひとシネマ』の担当連載「よくばり映画術」にも記

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「怪物」はなぜ〝間違い〟だらけなのかーー言い違い、転覆病、鏡文字、横転する電車

「怪物」はなぜ〝間違い〟だらけなのかーー言い違い、転覆病、鏡文字、横転する電車

映画『怪物』について書きました。

「言い間違い」「転覆病」「鏡文字」といったモチーフをつないで作品を読み解いています。
「そんなところから語り起こすのか!」という意外性のある映画評になったと思います。
それもひとえに、映画自体がどこからでも語れるだけの強度を有しているがゆえです。

Yahoo!ニュースでも同じ記事が配信されています。

映画をご覧になった方はぜひ読んでみてください。

『東京物語』考

『東京物語』考

戦争中に「兵事係」をやっていたという服部(十朱久雄)の子どもは、二人とも戦死している。兵事係は徴兵のための事前調査、召集令状(赤紙)の送付、戦死報告などを担った。地域の若者たちを戦地に送っておいて、自分の子どもだけ無事であってほしいとはなかなか思えないだろうし、じっさいに戦死した際には「立派にやってくれた」と言うしかない立場である。しかし、戦争が終わって、その価値観は時代遅れのものとなる。あとには

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熊本大学に着任しました。

熊本大学に着任しました。

4月1日付で熊本大学大学院人文社会科学研究部の准教授に着任しました。文学部の准教授も兼務します。

また、昨年2022年10月1日に設立された文学部附属国際マンガ学教育研究センターの兼務教員としても活動します。

先ほど辞令交付式に出席して、正式な人事異動通知書を拝受しました。

熊大のみなさん、熊本のみなさん、どうぞよろしくお願いします。