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富士山に住む

私にとって富士山は、生まれた時から存在する裏山になる。

富士市に住んでいる多くの市民と同様に、北には富士山、南には駿河湾が広がりその合間に人の生活があるのが、富士山の南麓、岳南と呼ばれる地域に住んでる人が持っている土地勘だ。それは数百年、数千年前にここに生きてきた全ての人達の変わらぬ実感だと思う。

茶の苗を植える時などに私の茶園を掘り起こすと、時々土器のカケラが出て来る。父や祖母からは弥生時代からここには人が住んでると聞かされてきたが、実際にその鱗片を見つけると、古代の人も富士山を見上げて生きていたのかと感慨深いものがこみ上げる。

富士山の南、岳南地区には、噴火の度に多大な被害を受けてきながらも今もなお数十万人が暮らしている。私の街は古富士と言う、今の富士山の下にある一世代古い富士山の溶岩上に栄えているらしい。
富士山の麓に住んでるのではなく、富士山の上に住んでる。諦めの悪い、不屈の心の住民が繋いできた岳南地域。あまりに当たり前過ぎて誰もがそのつもりもないが、改めて考えると少し凄い。

それもあり、私は意識して
『富士山に住んでいます』
と言うようにしている。
お茶も、もちろん『富士山で造っています』

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