シュウウエムラと私

私は化粧品メーカーのシュウウエムラが好きで、そのことについて書いた文章です。
シュウウエムラ 作文コンクールがあったら提出したいと思っていますので、日本ロレアルの関係者の方が見てくださったら、開催の検討をお願いします(笑)

「シュウウエムラと私」

高校生になってすぐ、お化粧といえばドラッグストアのリップクリーム程度しかしていなかった頃。
母に誕生日プレゼントを買ってあげたく、何か欲しそうなものはないか探っていた時にちょうど、母の化粧品入れが壊れた。私が6歳頃、やはり母の誕生日に選んだ大きなビニールポーチだった。
似たような大きさ、形のものは無いかと思って、足りない15歳の頭で考えたことは「化粧品のお店にいけばあるんじゃないか?」いつも通り過ぎる千葉そごうの中で、当時の婦人服売り場の中にひとつだけピカピカ目立っていたシュウウエムラに足を運んだ。

明るい照明に自分の顔が浮き彫りになるとドキッとした。乾燥して赤く腫れた頬、目鼻は生まれつきくっきりしているはずなのに何故かぼんやりした表情。同年代の女の子達と比べると何故こんなに垢抜けないんだろう…?と不思議に思いながら、「化粧品を入れるポーチありますか?」と店員のお姉さんに尋ねた。

どう見ても1ミリも化粧に興味がなさそうな少女が突然おどおどと来店したものの、店員さんはニッコリ。「一種類ですが、ございますよ。お出ししますね。」

そして、イメージしていたものと同じ大きさ、形の布製メイクボックスが出てきた。光沢のある真っ黒なサテン生地に”shu uemura”の小さなロゴ。値段は8,000円。かっこいい。買えない。でもこれが良い!
その場で父にメール。「お母さんの誕生日プレゼント、半額出してくれませんか?」結局父が5,000円もってくれることに。

数日後、取り置きしておいたメイクボックスを受け取りに父と来店。
キラキラの店内に垢抜けない高校生と40代のサラリーマン。
今思えば取り置きしてたのだから、それ以上の売り上げは発生しないし、サッサと支払ってすぐ済む話なのに、ちゃんと座らせて接客してくれる同じ店員さん。
(もっとお化粧して垢抜けた子や、大学生以上なら「他にも見ていかれますか?」とか「新作のアイシャドウ お試しされますか?」とかいくらでも言えるのに、この組み合わせには言えないし。)
丁寧に梱包してくれ、支払いを済ませる間にぐるりと店内を見渡し、たくさんの口紅やアイシャドウが煌びやかだったことを今でも鮮明に覚えている。

その時、大人になったら私はシュウウエムラでお化粧品を買うんだな、と心に刻み付けられた。

それから十数年、あの頃とは打って変わって大の化粧品好きに成長した私。
貧乏音楽家なので、いつもとはいかないけれど、やはり特別な時にはなんとなくシュウウエムラのが欲しくなってしまう。

近くにも店舗はあるけれど、2つぐらい先にある店舗にいつも行っている。
そこの店員さんはいつも笑顔で丁寧で、お化粧も抜群にうまい。
何より「お客様にはこの色が似合います。」とズバッと宣言してくれるのが、元・垢抜けない高校生で「うわあ〜どの色もかわいい〜どれにしよう〜」と迷ってしまう素人の私には、本当に気持ちがいい。

それまで、自分の仕事でも、中高生の子に打楽器のレッスンする時などに「そこはやりやすい手順でいいよ」「好きなマレットでいいよ」と相手に判断を委ねていたけど、ここの店舗に通うようになって、頭をズガーンと打たれ、それからは場合によっては「右右左右!」とか「こっちのマレットの方が音がかっこいい!」とか宣言するようになった。

冬の初めにタッチアップしてもらったけどタイミング悪くて売り切れだったこの口紅。真紅と茶色が絶妙に混じった色で、自分では絶対に気づかなかった色だけど、前回の店員さんが選んでくれた。

今日は別の店員さんがいたので「もう春だけど、この前つけてもらったこの色が好きで買いに来ました」と言うと、もう会計を済ませたのに「内側だけに塗ってグロスを塗ってグラデーションリップにすると春も楽しめますよ。」と。もうこれ以上売り上げは発生しないのにね。そんなこと言ってくれてまいったな〜、また買いに来ちゃうじゃん。

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