20240712

思えば寝坊したところから全部うまくいってなかったけど、それにしても本当に思い通りに行かない日だった。
仕事、最近多くなっていて、多くなっているのもあるけど今まで積んでいたものの重さをこれでもかというほど食らってる。最近はチーム内がガタガタしていて、全然うまく回っていないなと下っ端ながら実感する。不幸なことに(自分以外の)誰かが仕事できなくてうまく回っていないということではなく、単純にタスク過多でぺちゃんこになってしまっている状態。これで夏の大型異動で人ごっそり消えるっていうんだからたまったもんじゃない。

定期移動で人は減るらしいけど自分のグループには新しく人が入るらしい。これが自分にとってはかなり不安なことで、今まで1番下でぬくぬくやってきたのもあって、下に人が入ってくることに対しての気持ちの準備ができていない。今の仕事も正直うまく進んでいないし、これを新しく入ってくる人に目撃されるのもみっともなくて仕方ない。他の人の目を気にしてそれでやっと気を揉み始めてるのもさらにみっともなくて自己コンボ攻撃に沈む。あまりにダサい。

加えて今日は自分の仕事のできなさだけじゃなくて他部署の工数削減で生まれた皺寄せの仕事の処理にも巻き込まれて疲労が半端なかった。どうしたらあんなに人が困ることにGOサインを出すことができるのだろうか。期日だけが迫った結果の悪夢の産物のような気もするし、何に気を遣っているのかもわからなくてみんな何かしらに怒ってるしで疲れた。

そんなこんなで仕事も大量に残ってるのに昼間に映画のチケットを取ってしまっていたので渋谷へ走る。
ホワイトシネクイント。
『街の上で』を見る。

ここから感想。
「誰も見ることはないけど 確かにここに存在してる」
のキャッチコピーを見終わってから改めて噛み締め直すと、自分が創作物を見るときに大事にしている気持ちがグッと詰まっているように思えてなんだかぽっかりうち抜かれてしまった感覚。
蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブもガールズ ラジオ デイズも、ひいては他の創作物全ても、観測できずとも続いていくことが本当に美しいと思っていて、そこには想像も憶測も曲解も存在していいけど一人一人の宇宙が広がっていて、確定がないこと・干渉し合いながらもそれぞれが独立していて、そこにいる間は自分の存在が薄れてくれるので普段気になることも気にならなくなることが嬉しい。そこにある独立性や干渉性は人が媒介になったり場所が媒介になったりするが、今回の映画はどちらの媒介のパターンもすらっとこなしていて、そこが何よりも良かったのだと思う。
映画の中で出てくる下北沢もコロナ禍より前の、再開発中の下北沢で、2024年の今はもう見ることができない下北沢だ。カフェのマスターの「文化はすごい」に対して青が言っていた「街もすごいと思うんすよ」のようなセリフも、割とさらっと出てきたけど、やっぱり思い返しても順張りだけどここがすごく痺れた。ここに生きた人がいて、それを載せているのはこの場所で、そういう地続きの(見方によってはかなり断続的な)息遣いが好きなんだと実感した。
少し関係ない話題だけど、でも映画の中身の文脈からするととても関係のある話だけど、ぼっち・ざ・ろっく!の舞台になったアー写撮影地の建物が取り壊しになるらしい。(未定らしいのでいつかもわからないし本当かもわからないが。)

景色は変わるし、人も生きる上で緩やかに変わっていくし、ここに残るものってなんなんだと考えた時には、やっぱりここで生きている・生きていた人たちがいることを思い出すことや思い浮かべられることが残るものなんだと思った。自分の目で見てもいいし、人から聞いたでもいいし、写真で見たでも漫画で見たでも映画で見たでもいいし、とにかくそこにあったんだと知ること・思い浮かべること・想像すること・確定させないことで残滓が溜まって気持ちになって馳せることができる、そういう営みをこれからも大事にしたいです。

映画を見終わったら今泉監督ご本人がいらっしゃった。驚愕。
全然そんな心の準備をしていなくてとっても動揺して緊張した。もし良かったらパンフレットにサインを下さるとのことで、映画を見終わったら絶対にパンフレットを買おうと思っていたので涙を拭いながらシアターをとりあえず出たけど、カバンの中に財布がなく。多分会社に忘れてきた。あんなに忙しなくしてドタバタ会社から出てきたら忘れるか、いや忘れないか。
パンフレット等グッズ類は現金のみの取り扱いとのことで自分のアホさとままならなさに、拭ったはずの涙が再び溢れてきて困った。結局シアターの半券にサインをいただき、光栄にもツーショットまで撮っていただいた。監督には感想ともに財布を忘れてパンフレットを買えなかったことも正直に伝えたがあまりに情けなかった。
これからまた仕事に戻らなきゃいけないのもあまりにもダサいな……と心の中で泣きながら、この映画を見た後というのもあって、ちょっとだけなら自分もダサくてもいいかと思えた。デフォがだいぶダサいのでそれでも1割引くらいだけど。帰り道に電車で下北沢を通り過ぎた。いつにも増してちょっとだけ、ここにいる/いた人たちに思いを馳せてみた。なんだか少しパワーを感じた。もうちょっと頑張りたいかもしれないから、帰ったらちょっと頑張ってみる。

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