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彼らは何を守ったのか「十三騎兵防衛圏」


PS4で定価8000円くらい。

シナリオクリアまでのプレイ時間は30時間くらい。

あらすじ

複数の時代を舞台に、13人の主人公が描くSF群像劇。
「機兵」を操り怪獣「ダイモス」を打ち倒す「崩壊編」と
13人の視点で描かれる物語を紐解いていく「追想編」
各種ワードや謎を整理し解き明かす「究明編」
の3編からなるゲーム。
それぞれのパートは複雑に絡み合っており、順繰りにプレイしていって
彼らの心情や背景、世界の謎に迫っていく。

システム

「崩壊編」は対軍戦闘を行うシミュレーションゲーム。
大きく4種類ある機兵を使い分け、敵の種類に合わせた戦闘を行い
迫りくる怪獣から街を防衛する。
近接戦闘を得意とする「第一世代機兵」
自律稼働する子機を設置してオールレンジで活躍する「第二世代機兵」
長距離・広範囲の砲撃・爆撃を得意とする「第三世代機兵」
空を飛びミサイルやドローンを飛ばす「第四世代機兵」
が存在するほか、搭乗者の性格に合わせてか、同じ世代でも若干の性能差も。

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「追想編」は13人の主人公それぞれの視点で進めるアドベンチャーゲーム。
友人との会話などを通じて自分の置かれた状況や、夜な夜な見る夢について回想をすることで物語が分岐し、様々な情報が開示されていく。
フラグ管理は見事の一言に尽きる。何度も驚きを得られる良質な物語。

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難易度

3段階から選択できる。
NORMAL(ふつう)で進めたが、中盤からは機体の性能に合わせた運用を覚えなくては大破しかねない難易度で、なかなか歯ごたえがあった。

雰囲気

世界観にどっぷり浸かれるからSF好きならどうぞどうぞ。

感想

大いなるネタバレを含みますので、未プレイの方はここで読了してね。

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彼らが守りたかったものは「沢渡美和子」である

もちろん、抽象的な話です。

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彼らとは「3組」存在する。
1組目は愛する人と街のために戦った「適合者」たち。
2組目はループすることで自身の執念を遂げた「和泉」「森村」「井出」
そして「因幡」
3組目は、世界そのものを創造した「2188年の15人」である
(もちろん、うち一部の人間はそうではないだろうが)

エピローグにて、生き残った15人が現実世界でうまくやっていること、
何組かはカップルになり、うち何組かは既に子を設けていることが分かる。
これは、彼らが守りたかった「愛する者の笑顔」であろう。
しかし、愛する者とつがいになれれば人間は人間足りえるのか?
子をなし種を存続することが人類の継承なのか?

否、答えは2188年の玉緒が用意していた。
「人類が育んできた文明を継承してこそ、人類の存続といえる」

その文明とは、国家の維持であり、学校や会社といった集団生活であり、
科学の発展であり、そして凡庸な隣人との関わりである。

エピローグ中、冬坂・如月・緒方が沢渡美和子と会話をするパートで
冬坂が関ヶ原と、如月が緒方と「デキてる」ことがはっきりと分かった際に
沢渡はこう溢している。
「……もしかしてさ……二人とも彼氏が……」
つるんでいた三人のうち、自分だけ彼氏がいないことを嘆くような台詞だ。
これこそ、15人の適合者、ひいては2188年の彼らが守り育てたかった「文明」といえるのではないか。
世界の危機を救って、何もない星を開拓する……そんな非日常へ歩みを進めた15人が育った場所/日常。
彼氏がどうのこうので一喜一憂したり、慰め合ったり、買い食いをしたり。
そういったありふれた青春を過ごすことが、人類の継承なのではないか。

だからこそ、ミワちゃんを守れたことが彼らの勝利である。


なお、最終戦にてミワちゃんが4歳の森村に(何も知らないからこそ)
お節介を焼いていたことが、最終的に森村博士の助力へと繋がっているため
ミワちゃんが途中で脱落していたら怪獣の勝利だったろう。

ミワちゃん……いっぱい食べて大きくなってね……
大学生になったらモテるよ……