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産後の「わたし」を助けてきたはなし。

あるきながら、涙が出そうだった。



「あ! 傘持ちます!! 」
そういって声をかけたのは、駅構内の階段でのこと。

少し遠くから、赤ちゃんを抱っこして、傘を持ちながら、ベビーカーを持ち上げて、階段を降りてくるママを見つけた。

腕時計を見る。

約束の時間までギリギリか?
うん。まだ間に合うかも。

でも……声かけられると恐縮しちゃうかな…
コロナだしな……

そんなふうに思い悩んでいたとき

「カタン」

傘が階段に当たる音がした。


と同時に、階段を駆け下り
「あ! 傘、持ちます!」
と声をかけていた。

「ベビーカーのこちらも持っていいですか?」
と聞いて、
取っ手のところももたせてもらった。

「抱っこして、傘持って、ベビーカー持つのは重たいですよね」

そんな声かけをしながら、
一緒に階段を降りる。

緊張して、相手の女性の顔はあんまり見れなかった。

「(ベビーカー)濡れているのにすみません!」
と言われてけれど、全然気にならなかった。

ああ、嫌そうな顔されなくってよかった。

と安心して、最後の一段を降りた。

「まだ大変ですよね。移動。
うちも3歳の息子がいるんです」

などと、意味不明の情報を伝えながら、約束の時間に間に合わせるべく
階段をかけあがったのだった。


駆け上がりながら
ちょっとだけ、泣きそうになっていた。

私もまだ産後なんだ……
サンゴを抜けていないんだと気づいた。

子連れで電車に乗ったり、外出したときの緊張。
ベビーカーや子どもの重さ。
蒸し暑さ。
階段しかないとき、途方に暮れたこと。

色んな人に助けてもらったけれども、
言語化できないけれども、産後の大変さが、胸にこみ上げてきた。


ああ、そうか。私は産後のわたしを助けてきたんだ。

嬉しくて泣きそうだった。



だから、ちょっとだけ挙動不審な私が
「手伝いましょうか」
とお伝えしたときに、嫌じゃなければ産後のわたしを助けると思って
お手伝いさせてもらえると、とってもうれしいのです。





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