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OPCW、ISILを2015年シリアでの化学兵器攻撃の実行犯と認定

OPCWはISILを2015年シリアのマレアでの化学攻撃の実行犯と認定した。 ISILは、2015年の攻撃において、硫黄マスタードを配備する独占的な手段、動機、能力を保持していた。

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2024年2月26日

OPCWはISILを2015年のシリア、マレアでの化学攻撃の実行犯と認定。 化学兵器禁止機関(OPCW)の報告書によると、ISILは2015年の攻撃で硫黄マスタードを配備する独占的な手段、動機、能力を持っていた。

化学兵器禁止機関(OPCW)の調査・特定チーム(IIT)の第4次報告書は、2015年9月1日にシリアのマレアで発生した化学兵器攻撃の実行犯は、イラクとレバントのイスラム国(ISIL)の部隊であると信じるに足る合理的な根拠があると結論づけた。 IITの包括的調査は2023年1月から2024年2月にかけて実施された。

主な調査結果

ISILによる硫黄マスタード攻撃:
IITは、2015年9月1日09:00から12:00(UTC+3)の間、マレアの町の占領を目的とした持続的な攻撃において、イラクとレバントのイスラム国(ISIL)の部隊が硫黄マスタードを散布したと信じるに足る合理的な根拠があると結論づけた。

この化学剤は1丁以上の大砲を使用して投下された。

影響地点と残存物
IITはマレア全域でいくつかの影響地点を確認したが、明確な標的パターンはなかった。

これらの地点で観察された残骸と弾薬はすべて通常型の砲弾で、特に口径122ミリ、液体ペイロードを散布するように改良されたものであった。

着弾時、少なくとも6発の弾丸から、独特の「刺激臭」と「ニンニクのような」臭いのする黒色の粘性物質が漏出した。

この液体物質に接触した11人が、硫黄マスタードへの暴露と一致する症状を経験した。

この事件におけるISILの独占的かつ献身的な能力である:

IITは、化学物質がISILの支配下にある地域から大砲によって配備されたことを立証した

2015年9月1日にマレアで行われた攻撃の一環として、硫黄マスタードを配備する手段、動機、能力を有していた主体は他になかった。

IITは、2015年9月1日にISILがマレアで化学兵器を使用するに至った組織構造と指揮系統を再構築することができた。

IITの結論によれば、化学兵器の大規模な配備を伴う、マレアで行われた攻撃のような戦略的な軍事作戦は、ISILの執行部、すなわちISILのいわゆる「カリフ」の直下で活動する委任委員会からの直接的な命令に従ってのみ発生したはずである。

調査の過程で、IITは、ISILのディワン・アル・ジュンド(兵士部)や軍事開発製造委員会など、ISILによる化学兵器の使用と配備に、さらなる組織構造と個人を関連付けることができ、合計4人の指名された個人を実行犯として特定した。 さらに2人のISILメンバーが、ISILの化学兵器プログラムの主要な推進者として特定された。

確実性の程度
IITは、国際的な事実調査機関や調査委員会が一貫して採用している「合理的な根拠」として知られる立証基準に基づいて結論に達した。

評価には、事実調査団(FFM)、締約国からの情報、IITによる聞き取り調査、サンプル、コンピューターモデリング、衛星画像、最前線の地図、認証されたビデオや写真、その他の関連データの分析が含まれた。

報告書の発表にあたり、OPCW事務局長のフェルナンド・アリアス大使は次のように述べた: 「調査・特定チーム(IIT)の第4次報告書により、OPCW事務局は、シリアにおける化学兵器使用の実行犯を特定するために受けた任務を再び果たした。 本報告書においてIITは、ISILが2015年9月1日にマレアで硫黄マスタードを使用したと結論づけた。 この独立した調査は、健全な科学的方法論に基づき、最高の国際基準に沿って、収集・分析されたすべての情報の組み合わせ、一貫性、裏付けに基づいて実施されました。

OPCW事務局は、国家、非国家主体を問わず、化学兵器を使用した加害者を特定できることを改めて実証した。 このことは、ISILのような非国家主体が化学兵器を使用する能力と意志を身につけていることを、国際社会に対して痛感させるものである。 このことは、OPCWがこのような脅威に対処する上で極めて重要な役割と専門知識を有していることを強調している。 事実が明らかになった今、OPCWやそれ以外の場所で行動を起こすのは国際社会にかかっている。


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