『剣の刃』シャルル・ド・ゴール著 小野繁訳 【基礎教養部】


Jlab基礎教養部 参加活動記録第一回

動画界隈において切り抜きクリッピングが流行りのようだが、文章でやってみるとどうなるかという実験。
主観を交えず一定の形式で切り抜くと果たして文章はどのような表情を見せるのか。
各章の冒頭一文だけ切り抜いた。以下引用。



現代を象徴するものは不確実性である。
戦争
Ⅰ 戦争の本質は偶然性にある。
Ⅱ さて、指揮官の決心はなった。
気骨(カラクテール)
Ⅰ フランス軍の歴史は古い。
Ⅱ 難局に立ち向かう気骨をそなえた者は自分だけを頼みとする。
Ⅲ 気骨のある人を求める時代もあれば遠ざける時代もある。
威信
Ⅰ 現代は権威にとって試練の時代である。
Ⅱ 威信とは、情感力、暗示力、感動や共感を与える感化力からなるものであり、人間の根源に由来する才能、つまり、分析を超越した天性の素質に属するものである。
Ⅲ 時代の精神が旧時代的威信を打ち砕くとき、個人の権威の根底も覆るが、規制の組織の世俗的な威信もそのまま打ち砕かれるわけではない。
ドクトリン
Ⅰ 兵力の節約か兵力の集中か、そして正面攻撃か突破攻撃か、奇襲か万全の準備かといった用兵の原理は、適材適所に応用されてこそ価値を発揮する。
Ⅱ 1870年の普仏戦争のあと、軍のための新たなドクトリン構築の任務を担った者たちは、軍人たちがこらえた悲しみによって抽象理論のむなしさを実感するところから出発した。
Ⅲ この永く辛い経験は、フランスの軍事思想に消し難い刻印を押したものと切に信じたい。
軍人と政治家
Ⅰ 平和な時代の舞台の主役は政治家である。
Ⅱ 祖国が直接脅威を受けないかぎり、世論は軍事的負担を厭うものである。
Ⅲ 時には、軍事と政治がより単純に一体となることもある。
Ⅳ 戦時における政府と軍司令部の関係をこと細かに規定すれば安心できるだろうといった安易な考えは捨てたほうが賢明であろう。

以上

一文目だけを読んでも内容がなんとなくわかるのは、既読であるからなのだろうか。

ただの感想
◆不確実性と情報の非対称性

何かを決断する時に、あれやこれやと用意周到準備を重ね、理詰めでもって決断の正当性を得ようとするのが少しでも賢い人の当然の行動であろう。それでも、その結果がうまくいかないこともある。偶然性が世界に多様性を与える。
人は賢ければ賢いほどに、人間の不完全性と情報の非対称性を忘れがちなのかもしれない。完全であるとか、100%ということに対する疑念をもちつつ、今できることの全てをやったうえで、偶然性に身を任せられるそんな胆力を備えたいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?