ネカマにより加入していたギルドが解散した話

本日も絶賛元気に引きこもりでござる。
せめて朝くらいは早く起きようと、毎朝七時に洗濯物を干していたら、ベランダ越しにお子様の手を引いた近所のマダムとパッチリ目が合い『ちょっと！もう七時なんだから早く歩かないと間に合わないよ！！』とお子に向けてお叫びになられた。
当方、近所で鳩時計の鳩の代わりにされとる。

それはさておき、最近拙者が遊んでいたゲームのギルドが崩壊した。崩壊というか、解散というか、内部分裂というか。
ゲームをしない方々でもなんとなく分かるとは思うが、ギルドとはオンラインゲーム上のプレイヤーの集まりで、要は少年野球のチームみたいなもんである。

少年野球との違いは、年齢も性別も特に関係なく、人数も厳格に定められていない。強いて言うなら『目指せ全国!!!!最終海外リーグ!!!!』みたいなガチ目のギルドと『まぁ、元気が一番よね』みたいなヌルめギルドの差はあろう。

当方が参加していたのは『皆仲良くしようね』派のギルドである。IN率もあんま見てないし、なんならたまにゲームそっちのけでラノベとアニメと漫画の話してた位だ。
『緩くやろ、緩く』が口癖の気の良いギルドマスターのいるチームだったのだが、残念ながら内部恋愛三角揉めネカマ発覚問題により解散せざるを得なくなってしまった。

【此処から先は身バレ防止の為にややフェイクを入れて話そうと思う。】

え、あの人ネカマだったの!!?
拙者喋ったことあるけども!!?
ボイチェン!!!?
………へー………昨今の技術って凄いね………

という会話があったのだが、もう本当に皆々様気を付けてほしい、当方過去にそのネカマと一対一で一時間ほどお話したことがあるが（マブラヴオルタネイティヴとCLANNADとオーフェンの話をした。何の話をしてるんだ）全く気が付かなかった。釘◯理恵似の二十代前半女子だと信じて疑わなかった。
 二十代なのに返校Detentionと沙耶の唄知ってるなんて渋いなとは思ったけれど。迂闊だろ。そこで気づけ。

ネカマに引っかかったギルドメンバーは一名三十代男性、一名十代男性、当のネカマは四十代男性。ネカマが二股をかけていたかたちである。
登場人物男性のみで繰り広げられるエレクトリカルパレード。字面だけで加齢臭がしそう。

始めの段階では、三十代男性がネカマの浮気を疑いボイスチャットで問い詰めたが話にならず、仲介役としてギルドマスターを呼び、それでも埒が明かなかったので、浮気相手と思しき十代男性を呼び、四人で話し合いをしたところ浮気が確定。
そこまでは、まぁ、良い。
ギルド内恋愛をしていた事をさっぱり知らずに仕事終わりに風呂入ろうかとしていた最中に呼び出されたギルドマスターが不憫なだけである。

事がおかしくなったのは十代男性が『どっちの事の方が好きなの？』『会いに行こうと思ってバイト代貯めたのに』『俺とのことは遊びだったの？』と言った辺り。

『逆に本当に好きなの？会ったこともないのに？ゲームして喋ってるだけなのに？』とネカマが切り替えした。

ゲーム内恋愛で同性と二股してる四十代男性の癖に物凄く真っ当なことを言っている。年の功である。
その段階ではネカマはまだ女性のふりをしていたのだが、十代男性が【実は大学を中退して引きこもりをしていたが、ネカマと出会い、このままでは駄目だとバイトを始め、年末に正社員雇用が決定した。来年にはプロポーズをする予定だった】という話を始め、負けじと三十代男性が【転職に失敗して実家にこもっていたがネカマと出会い、人生を共にしたいと考えて再就職した。来年には会って一緒に暮らすことを提案する為に部屋も借りた】等と語った辺りでまずいと感じたのだろう。それにしても二人共嘘みたいな立ち直り方してるな。こんな謳い文句の新興宗教あったわ。

『立ち直ってくれて嬉しいんだけど（く◯みー）………ごめん（ゴソゴソ）俺、男なんだわ（安元◯貴ボイス）』

ギルドマスターは多く語らなかったが、今年始めて沈黙が怖かったと言っていた。
個人的には、二人も引き籠もりを救ったんなら、ついでに拙者も部屋から羽ばたかせて頂きたかった。結果的に羽ばたくどころかギルドそのものが散ってしまったのだけども。

【ネットだけだとその人が本当の事言ってるのか分からんね】と言う話に落ち着いた。
正直、三十代と十代の語っている『立ち直った』話も眉唾物ではある。

ただ『楽しくゲームしたかっただけなんだけどなぁ』とぼやいていたゲームマスターが気の毒である。