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ないものねだり

てのひらから零れたものをかぞえた
わたしには手に入れられなかったもの
あの子は、この子は、こんなにも
わたしの欲しいものだけ
両手にたくさん持っているのに

てのひらに載せなかったものをかぞえた
要らないものだと思ったの
ふたたび拾うことは叶わないのに
よく見もせずにゴミに出したわ
あとで後悔なんてありきたり

素直なひとが好かれるなんて
とっくにわかっていたけれど
素直になれないわたしのことを
誰にも否定はしないでほしい

たった3センチのヒールでも
不器用な指先はもてあます
かわいいわたしでいたいのに
どうしたって似合わない

思うままに生きればいいよと
遠くの人は言うみたい
誰よ、そんなに綺麗な心は
道端には落ちていないと教えてくれるのは

あのね、すこしだけほめてほしいの
いいえ、たくさん認めてほしい
「承認欲求」なんてかっこうがつかないと思ったの
だってわたしは素直じゃないから

クールぶって損をするのはいつからですか?
無邪気なほうが得をするのよ
見てきたでしょう
いままでずっと

てのひらから零れたものを
奥歯をかみしめて拾うのよ
涙のかわりにラメをまとって
嫉妬は心臓で燃やしておくわ

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