『15のコント達#14 ジュウシマツって十姉妹って書くんすね。』コント⑧「裁判官・駄洒錬太郞の非日常的日常」
※このコントはシリーズものなので初見の人は全くついていけない可能性があります。御了承下さい。
藍茶:駄洒錬太郞(だじゃれんたろう)、裁判官。/異議山有太郎(いぎやまありたろう)、弁護士。
桃寧:許左内罪夫(ゆるさないつみお)。検事。/駄洒麗亜(だじゃれいあ)、錬太郞の娘。
舞台上、机2台(上手下手に離して置く)。2人板付き。
□CDトラック 「裁判官・駄洒錬太郞ナレーション」再生
ナレ「(駄洒錬太郞の声)どうも、お久しブリ大根!さすらいの親父ギャグ売り・駄洒錬太郞です!実は私、本職は裁判官をやっておりまして。今日は皆さんに、ある日私が実際に目撃した忘れられない裁判をご紹介致しまSHOW TIME!あれはそう、木枯らしの吹き荒ぶ秋の終わりの地方裁判所...。」
■明転
下手の机の後ろに藍茶、上手の机の後ろに桃寧が立っている。
ナレ「(裁判長の声)それではこれより...起こっていない殺人事件の裁判を開始します!」
アチャ「異議ありッ!!!起こっていない殺人事件の裁判なんて...おかしいでしょ!!!」
ナレ「(駄洒錬太郞の声)彼は弁護士の異議山有太郎(いぎやまありたろう)。」
モネ「異議ありッ!!!起こっていない殺人事件の裁判なんておかしいでしょ、って言うなんて...おかしいだろ!!!」
ナレ「(駄洒錬太郞の声)そして彼は検事の許左内罪夫(ゆるさないつみお)。異議山弁護士と許左内検事はライバル関係にあった。そして2人が法廷に立つ裁判では毎回必ず波乱が巻き起こるのだ。」
アチャ「起こっていない殺人事件の裁判なんて、何の意味があるんですか!!!」
モネ「じゃあ聞くが異議山、この世界に意味の無いものなんてあるのか?」
アチャ「異議あり!!!」
モネ「!!?」
アチャ「異議あり!異議あり!異議あーり!」
モネ「!!?」
アチャ「異議あり!異議あり!働きア~リ!女王ア~リ!異議あ~り!」
モネ「!!?」
アチャ「ありありあり?アリスが蟻の巣落っこちて!アリストテレスがテレンス・リー!リーリーリー!盗塁狙ってシュラシュシュシュ!抜き足差し足忍び足!ん~よく見りゃ全部豚足じゃん!豚足豚足ピッグレーッグ!ピッピッピッ!ぜんた~い、止れまッ!いやそれ!昔のジョージアのCMで~!藤原紀香がやってたやつ~だ~ろ~♪ピッピ!」
モネ「…。」
アチャ「これが今この世界に生まれた『意味のないもの』ですッ!!!」
モネ「なにぃぃぃぃぃッ!!?」
アチャ「さぁ許左内検事!これでもまだ貴方は『この世界に意味の無いものなどない』と言い切れますか!!!」
モネ「ぐぅぅぅぅッ!!!」
□CDトラック 「傍聴人たちがザワつく声~裁判長の声」再生
ナレ「(傍聴人たちがザワつく声)」
SE「木槌で机を叩く音」
ナレ「(裁判長の声)静粛に!静粛に!それではこれよりこの裁判の判決を言い渡します!判決は…」
モネ「待った!!!」
アチャ「!!!? なんだ許左内検事!この期に及んでまだ反論があるというのか!!?」
モネ「ああ、そのとおりだ異議山有太郎!君は先程自分が発した言葉に『意味がない』とそう言ったな?」
アチャ「ああ、そうだ!さっきの言葉には何の意味も無い!!!」
モネ「異議ありッ!!!」
アチャ「!!!!?」
モネ「君の言った言葉、もう一度よく思い出してみよう。そして確認しようじゃないか?本当に意味がないのか。」
アチャ「何だって…。」
モネ「まず冒頭はこうだ『ありありあり?』これは『異議あり』という言葉の言葉尻を取っている。よって意味がある。」
アチャ「何!?」
モネ「続いて『アリスが蟻の巣落っこちて!アリストテレスがテレンス・リー!』これは前出の『あり』から『アリス』という言葉を思い浮かべ、更にそれをよく似た言葉の『蟻の巣』に繋げている。更に君は発想を飛躍させアリスからアリストテレスに。更にはアリストテレスの”テレス”から”テレンス・リー”を思いついた。一見無秩序な言葉の羅列に見えるが、実際には君の左脳がしっかりと機能し、まったくの無関係な言葉は出てきていないのだ!!!」
アチャ「ぐわああああああッ!!!」
モネ「そして”テレンス・リー”から”リーリーリー!”という盗塁時の掛け声に繋げ、そこから、」
アチャ「もうやめてくれッ!!!」
モネ「…どうした?」
アチャ「もうわかった。君の言っていることが正しいよ、許左内。だからもうこれ以上僕の発言の説明をするのは…やめてくれ。」
モネ「異議ありッ!!!」
アチャ「え!?」
モネ「こんなところで諦めるのか?異議山有太郎?」
アチャ「許左内…。」
モネ「その程度で諦めるのか?”この世界に意味がないものが存在する”という証明を?諦めるのか?」
アチャ「だってもう僕には、」
モネ「ならば見せてやろう!!!これが本当の『意味のないもの』だ!!!」
アチャ「!!?」
モネ「アンモモ~ チュリマッシュミ ゲコモロジ~♪シャーッパッパッパ グンニョ♪シャーパッパッパ グンニョ♪ソロボ~ン リグリア~ル メッフェ~♪ マ~コ~ジ~♪ セ~ワ~ギャ~♪ ルンゴメ!チチチ チソマリッソ~♪ポウッヌ!」
アチャ「…!!!」
モネ「異議山、これが本当に『意味のないもの』だ。」
アチャ「確かに…今の言葉には、何の説明もつけられない!!!」
モネ「フッ。」
アチャ「しかし、いいのか?許左内。君がそれを立証してしまったら、僕が最初に言った『この裁判に意味がない』という言葉が正しかったことになり、それは君の敗北を意味するんだぞ!?」
モネ「敗北?私はそんな小さなことにはこだわっていない。私が追い求めるのはただひとつ…『真実』だけさ。」
アチャ「許左内…。」
□CDトラック 「裁判長の声」再生
SE「木槌で机を叩く音」
ナレ「(裁判長の声)どうやら、この裁判は紛れもない真実に辿り着いたようです。それでは判決を言い渡します。」
アチャ「長かった闘いもこれで終わりか…。」
モネ「フッ、案外清々しいものだな…。」
ナレ「(裁判長の声)弁護士・異議山有太郎、検事・許左内罪夫…共に死刑ッ!!!」
アチャ・モネ「えーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!???」
■暗転
ナレ「(駄洒錬太郞の声)こうして弁護士と検事のW死刑という衝撃の結末でこの裁判は幕引きとなった。しかし安心して下さい。後日、裁判長が『あの日は何から何まで全てオカシかった。』と正気を取り戻し2人の死刑は取り消し。その代わり2人は弁護士と検事の資格を剥奪された。ついでに裁判長も現役を退くことになった。」
ナレーションが流れている間に舞台中央に机1台と椅子1脚の状態へ。藍茶は椅子に着席。
■明転
アチャ「(原稿用に執筆しているマイム)そして、その後3人はトリオを組み、キングオブコントに挑戦するなど新たな世界への挑戦に踏み出している。...尚、ネタ作りに関しては裁判長が主導権を握っており、そのためツッコミで木槌を使うという横暴も許されてしまっているのが現状群青あしたのジョー…」
桃寧(駄蛇麗亜、錬太郞の娘。青のショートウィッグにモコモコパジャマ)下手袖から登場。
モネ「ちょっとお父さん、何やってるの?もう夜中の3時だよ?」
アチャ「ああ、レイちゃんゴメンね。起こしちゃった?」
モネ「うん。でそれ、何やってるの?原稿用紙?」
アチャ「あぁ、これかい?これはね…『意味の無いこと』さ。」
モネ「…。」
アチャ「…。」
モネ「…。」
アチャ「...意味深なシーンで今シーン!!!」
モネ「早く寝て。」
アチャ「はーい!!!」
■暗転