ウクライナ平和の鐘 100 百度の祈願で足りぬなら──平和の鐘100回目に寄せて
■2022(令和4)年7月8日 100 百度の祈願で足りぬなら──平和の鐘100回目に寄せて
(動画の2:59~7:33)
本日の「平和の鐘 鳴鐘の輪」。島根県仏教会の呼びかけに応じ、ウクライナの平和を願って鳴らし始めた鐘も、本日が100回目。戦争は続き、日本では安倍晋三元首相が銃撃される事件が起きました。暴力を厭い、社会・世界に慈悲を弘める祈りの鐘を、これからも鳴らし続けます。
合掌
日本にはお百度参りという風習があります。家族の病気平癒など、人の力でどうしようもないことを神仏に祈る宗教行為です。起点と神仏のいらっしゃる場所を100回往復して都度にお祈りをする。100回もの回数の参拝をすることで、神仏に「どうかお救いください」と祈りを捧げる作法です。
今の戦争が始まったのが2月24日でした。それから少し後の3月11日に島根県仏教会から一枚の葉書が届きました。それは、島根県内のそれぞれのお寺で、毎日午後2時に鐘を鳴らしましょう、と呼びかけるものでした。それはウクライナに朝が来て一日が始まる時間です。「ウクライナに平和が戻り、人々が幸せに暮らせる日が来るように、各寺院それぞれのやり方で祈りましょう」そのような呼びかけだったのです。
この呼びかけに賛同し、その日初めて法華経寺でこの「平和の鐘 鳴鐘の輪」を始めました。途中所用でお休みをした日もあります。それでも本日、100回目に到達しました。
しかし戦争はまだ終わる様相を見せません。これからもまだ長く続くのかもしれません。100度の祈願で叶わないものなら、これからも更に祈るまでです。その祈りは、他国に軍隊で攻め入り大勢の人を殺して支配しようとする悪業に対して「それは幸せへの道ではない」と説き、そしてウクライナの人々が少しでも早く平和を取り戻し、穏やかに暮らせるようにという願いです。
それはまさに、我々一人ひとりの小さな人間の力ではできないことです。しかしその一方で、一人一人の祈りが最後は大きな力になることも事実です。
今日、日本でも大きな事件が起きました。11時半頃のことです。奈良県で、日本の安倍晋三元首相が選挙の応援演説中に暴漢に拳銃で撃たれて、心肺停止の状態であると報道されています。
人の命を奪うこと。それはどのような理由があっても許されることではありません。そのことを改めて、この大きな事件から皆が感じたはずです。
これからも暴力ではなく──言葉ではいくらやり取りをしてもいい、批判をしてもいい、しかし暴力は決して振るわない。そのような平和な社会、平和な世界が訪れるように、これからも法華経寺の鐘を鳴らし続けます。
再拝