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ウクライナ平和の鐘 099 七夕

https://youtu.be/8InT394QibE

■2022(令和4)年7月7日 099 七夕
(動画の3:01~8:10)

本日の「平和の鐘 鳴鐘の輪」。引き裂かれた恋人たちが年に一度の逢瀬を迎える七夕。亡き人が戻ってきて共に過ごすお盆。こうした日本の古い信仰は、多数の生き別れ・死に別れを現に経験しているウクライナの人たちに、少しでも慰めを与えられるでしょうか。

合掌

 今日は7月7日、七夕です。七夕の伝説は多くの方がご存知だと思います。

 昔、天帝(天の神様)の娘の織姫がいました。織姫は機織りがとても上手な女性でした。ある時、天帝が織姫のために夫を探し、彦星という牛飼いの青年を見つけました。彼は勤勉に働いていて、牛は立派に育っていました。この二人ならお似合いだと娶せたのですが、以来二人は毎日毎日いちゃついて、二人とも仕事が疎かになってしまいました。織姫は機を織らなくなってしまう、彦星は牛の飼育を怠り牛が痩せていった。怒った天帝は「お前たちは一緒にいてはいけない」と二人を天の川の両岸に引き離しました。大好きな夫と引き離された織姫は胸を痛め、機を織れなくなってしまいました。見かねて天帝は娘と話し合い「一年間勤勉に機織りをしたら、年に一度七夕の日に天の川を渡って会ってよい」ということになりました。

 つまり七夕は、引き離された恋人たちが年に一度出会える日、という意味を持っているわけです。

 ウクライナの戦争で、どれだけの恋人たち、夫婦、大切なパートナーが離ればなれになったでしょう。戦地に残る人と、遠く国外の難民となった人。同じ国内にいても、離ればなれで会えない人たち。おそらく少なからぬ数のカップルが、片方が命を失い死に別れたり、または二人とも命を失う、そのような事例が多数発生している筈です。

 二人とも生きていれば、いずれ平和が戻った時にまた会えます。でも片方が死んでしまったらもう会えない、そう思うかもしれません。

 日本では、七夕の伝説はお盆と結びついています。七夕は7月7日、お盆は旧暦の7月15日を中心とする期間です。ですから七夕はお盆の始まりのような意味合いを担っています。お盆にとは、亡くなった方がそれぞれの家に戻って来られます。だからその時に精霊棚を設えて、ご先祖様の霊をお迎えして生者と共に過ごす。そのような行事がお盆です。

 この精霊棚に立てる幢を「たなばた」といい、そこから7月7日の七夕を「たなばた」と読むという説があります。他にも棚板を敷いて機を織る機械のことだという説もあります。いずれにせよ日本人にとって、七夕は大切な人と出会う日であり、お盆も大切な人と出会う日である。意味が重なり合っているということは覚えておいていいでしょう。

 残念ながら死んだ肉体の命が蘇ることはありません。でも、会いたいと願ったならば会うことができると、日本人はずっと信じてきました。ウクライナの人たちにもそのような1日があれば──そう思います。

再拝

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