2022.3.5

その日のために、柄でもなく、ちょっと高い美容鍼に行ってみたり、パックを毎日して、高い美容液も使って、君が好きだった雑誌に載っていたイヤリングを買った

きっと眼鏡をかけて行った方がいいと思ってうじうじして居たら、ついに誰にも言わないままその日になっちゃって、誰かに背中を押してもらえばよかったと悔しくなった

その日の前の晩は変にチャーハンを作って食べたらお腹が痛くなって悲しくなった

お腹が止めろって言ってるのかと思った

その日の朝、ワンピースの糸が切れて、なんか変な感じがした。電車が遅延して、ますます変な気がした

買えなかった眼鏡をやっと買いにいったら、店員さんに褒められていい気になった

でもなんか眼鏡をかけていたせいで通りすがりの女の人に殴られて、おじいちゃんに司法事務所の場所を聞かれて調べて案内した

眼鏡かけるとなめられるんだな

新宿で乗り換えた、空はピカピカに晴れているのに、それに私が追いついていない

目的地に着いた

脚がすくんでそこには入れなかった

結局、1時間、店の前で立ち尽くして店から聴いてくる音を聴いていた

悔しかったけど、帰りは寄り道をして考えない様にした

寄り道が長過ぎて、今日がなんの日だったか忘れた

家に帰って、ハッとして少しだけ泣いたりした

もし私があなたに会っていたら、悪いことでも起きたんだろうか

きっとそうだったのかもしれない、ワンピースの糸が切れた辺りから何となくそうかも知れないと思っていた

ごめんね

その日は、特に得るもののない記憶に残らない映画みたいな日だった

今も私はずっとその店の前に立ち尽くしたまま、そこから進みも引き下がりもできないで、ずっと呆然と立っている

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