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令和5年度ものづくり補助金に再注目!!

この記事では、令和5年4月から始まる年度において「ものづくり補助金」に再注目!という話をしたいと思います。「ものづくり補助金」は昔からある補助金ですが、コロナ禍になって「事業再構築補助金」という非常に魅力的な補助金が出て以降は、中小企業向け補助金の主役を奪われてしまい、事業再構築補助金とものづくり補助金のどちらに出そうか迷われたら、「出せるんだったらやっぱり事業再構築補助金で出したいよね〜」となるケースが多かったように感じます。

ところが令和5年4月以降の年度において、事業再構築補助金もものづくり補助金も制度がかなり変わる中で、相対的にものづくり補助金の魅力が上がっています。そのため、この令和5年4月以降の年度において、ものづくり補助金は再度注目されることが予想されます。その詳細をお話ししていきます。

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令和5年度の事業再構築補助金と
ものづくり補助金をあらためて比較


事業再構築補助金にも賃上げ要件がプラス


事業再構築補助金とものづくり補助金を比較した場合、事業再構築補助金の方のメリットが大きかった理由はいくつかあるのですが、最も大きい理由は賃上げ要件です。もともとものづくり補助金だけに課せられていたもので、給与支給総額や事業内最低賃金を上げていかないと、達成できなかった場合補助金を返還しなければならないという規定がありました。つまり、コミットできなかった場合、補助金を取れたにもかかわらず返還しなければならなくなるというリスクがあったのです。
一方、事業再構築補助金には賃上げ要件がなかったため、事業者にとって、賃上げにコミットするのは厳しいという状況でも補助金を受け取ることができました。このリスクの差で事業再構築補助金の方が有利だったのです。

上記は事業再構築補助金の資料ですが、次年度以降に成長枠・グリーン成長枠で賃上げ要件が課せられます。詳細については、別の記事で説明しているので、そちらをご覧ください。事業再構築補助金の枠がかなり増えたため、状況が厳しい事業者向けの枠には、賃上げ要件が課せられていませんが、成長枠やグリーン成長枠といった金額が大きく非常に魅力的な枠においては、賃上げ要件が課せられるようになってしまいました。
成長枠の解説のところに必須要件があります。事業終了後3〜5年で、給与支給総額を年率平均2%以上増加させることという要件が追加されました。現時点では達成できなかった場合にペナルティがあるかどうかは不明ですが、ものづくり補助金と同じように、達成できなかった場合には返還義務が課される可能性があります。

小規模事業者の場合は補助率が逆転


さらにもう一つ、事業再構築補助金の方がメリットが大きかった部分として、補助率があります。事業再構築補助金は補助率が2/3または3/4だったのに対して、ものづくり補助金においては1/2または2/3で、補助率は事業再構築補助金の方が高い傾向にありました。ところが、今年度の事業再構築補助金は、成長枠とグリーン成長枠においては1/2に設定されています。こちらを2/3に引き上げるには、前述の大規模な賃上げの要件を満たさなければなりません。一方ものづくり補助金においては、小規模事業者の場合は2/3の補助率が受けられます。ものづくり補助金であれば3分の2、事業再構築補助金の場合には1/2ということで、比率が逆転するわけです。

ものづくり補助金は複数回採択可能


2つの補助金の違いとして、事業再構築補助金は原則1回しか受け取ることができないのに対して、ものづくり補助金は何回でも受け取ることができます。事業再構築補助金は、コロナで新設された補助金であり、基本的に初めてチャレンジする事業者ばかりでした。そのため、2回受け取れないというのはあまりデメリットとして表面化していませんでしたが、事業再構築補助金も出てしばらく経った今、2回目のチャレンジをしたいという相談が増えてきています。そういった事業者様にとっては、残念ながら一部の枠を除き申請ができないので、何回も受け取ることのできるものづくり補助金の方が都合の良い補助金であると言えます。

令和5年度ものづくり補助金のおすすめ理由3選


ものづくり補助金の次年度のおすすめ理由を3つまとめます。
1つ目は、事業再構築補助金との比較で、賃上げ要件での相対的な不利が減ったということです。
2つ目は、ものづくり補助金においても、事業再構築補助金と同様に様々な枠が用意されています。これは後ほど少し説明しますが、補助率や上限金額など、様々な枠が用意されています。
3つ目は、従来から変わらない部分ではありますが、事業再構築補助金はその名の通り非常に大きな再構築が求められる一方、ものづくり補助金はそこまで求められないという点です。

事業再構築補助金とものづくり補助金の趣旨の違い


事業再構築というには厳しいかもしれませんが、何か設備投資をして新しいことをしたいと思っている方にとって、ものづくり補助金は非常に大きなメリットのある選択肢です。事業再構築補助金とものづくり補助金の概要をあらためて見てみましょう。事業再構築補助金のパンフレットには、「ポストコロナウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための企業の思い切った事業再構築を支援します」「事業の再構築に挑戦する皆様へ」というフレーズが記載されています。つまり、補助金を受け取るためには、思い切った事業再構築が必要だということです。一方ものづくり補助金の方は、「生産性向上を目指す皆様へ」「新製品サービスの開発や生産プロセス改善等支援」というフレーズが記載されています。つまり、事業の再構築までいかなくても、生産性向上のための取り組みをする場合には、ものづくり補助金が受け取れるということです。
事業再構築補助金の場合は今までとは全く異なることをしなければならない制限がありましたが、ものづくり補助金は作るものは今までと同じでも、作り方を変えたり販売方法を変えるなどの取り組みが補助対象になるため、非常に使いやすいと言えるでしょう。

ものづくり補助金の枠組み


ものづくり補助金の枠組みについて見てみましょう。まずは通常枠です。従業員数によって上限が変わるため、21人以上の場合は1250万円が上限になります。また、原則として1/2ですが、小規模事業者や再生事業者に関しては2/3の補助率になります。

ものづくり・商業・サービス補助金公募要領概要版6p

回復型賃上げ・雇用拡大枠とデジタル枠


こちらは回復型賃上げ・雇用拡大枠とデジタル枠です。補助額の上限は前回と変わりませんが、補助率が2/3になっています。これは、状況が厳しい中でも賃上げに取り組む事業者を支援するための枠組みです。課税所得が0であっても、賃上げを行うことを検討している事業者に対しては補助率が優遇されます。
デジタル枠に関しては、補助額の上限は変わりませんが、補助率が3分の2ということで優遇されています。DXに資する革新的な製品・サービスの開発や生産プロセス・サービス提供方法の改善を支援するものです。DXに資する革新的な製品・サービスの開発と言いますが、具体的にはAI、IoT、センサー、デジタル技術などを活用して、遠隔操作や自動制御、プロセスの可視化などの機能を有する製品やサービスを開発することが対象です。ロボットシステムの導入によるプロセスの改善など、複数の店舗や施設にサービスを提供するオペレーションセンターなども構築することができます。DXということなので、単なるデジタル製品の導入やアナログデータの電子化みたいな形では、既存の業務フローそのものを見直しを行わないものは対象になりません。DX推進指標を活用してDX推進に向けた自己診断を実施し、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に提出する必要があります。
また、こちらのIPAが実施するセキュリティアクションについて、1つ星または2つ星のいずれかを宣言する必要があります。

ものづくり・商業・サービス補助金公募要領概要版7p

グリーン枠


こちらはグリーン枠です。エントリースタンダード、アドバンス、プレミアムの3つのタイプが定められています。補助率は一律で3分の2となっており、従業員規模によってそれぞれの類型の補助上限金額が変わってきます。
申請要件には大きく2つの項目があり、温室効果ガスの排出削減、または炭素生産性を向上するという取り組みを支援するものです。これらの目的を達成するために、革新的な製品・サービスの開発や提供方法の改善など、新しい取り組みを支援することが求められます。炭素生産性とは、一定の利益を出すためにどれだけのCO2を排出しているかという割合を示します。このため、炭素生産性を1%向上させることは、同じ利益を出すために1%以上CO2を削減する必要があることを意味します。

ものづくり・商業・サービス補助金公募要領概要版8p

グローバル市場開拓枠


こちらはグローバル市場開拓枠です。従来からあるジャパンブランド補助金が統合された形になっており、補助率が小規模2/3、中小企業だと1/2となりますが、補助上限金額は従業員数の規模にかかわらず3000万円までとなっています。以下の4つの類型が用意されています。

1つ目は「海外直接投資類型」です。国内事業と海外事業を一体的に強化してグローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築して国内拠点の生産性を高めるための事業が対象となります。海外だけの投資ではなく、国内にも投資を行っていく必要があるということです。補助対象経費の半分以上が海外支店のものであることが必要です。

2つ目は「海外市場開拓ジャパンブランド類型」です。製品の最終販売先の1/2以上が海外の顧客になることという計画が必要です。応募申請時に、具体的な想定顧客がわかる海外市場調査報告書といったものが必要になってきます。ジャパンブランドというとちょっと聞き慣れないですが、伝統工芸品やアニメ・漫画などのサブカルチャが一例として挙げられます。

3つ目は「インバウンド市場開拓類型」です。補助事業販売先の1/2以上が訪日外国人インバウンドになっていることが要件です。応募時には、具体的な想定顧客がわかるインバウンド市場調査報告書といったものが必要になってきます。

4つ目は「海外事業者との共同事業類型」です。こちらは、国内に補助事業場所を有しており、外国法人と行う共同研究や共同事業開発に行う設備投資が対象となります。この成果の一部の権利が補助事業者に帰属することが条件になります。

ものづくり補助金の各種枠について解説しました。枠によっては事業再構築補助金に近い印象を受けるものもあるかと思います。是非注目していただき、ご活用いただきたいと思います。

まとめ

令和5年4月から始まる年度では、事業再構築補助金が引き続き継続されますが、ものづくり補助金も十分おすすめです。ものづくり補助金は、事業再構築補助金をすでに利用した方もお使いいただけますし、枠によっては補助率・金額も大きいので、ぜひ一度検討してみてください。
前年度までの事業再構築補助金とものづくり補助金を比較した際、賃上げ要件で不利だということから、ものづくり補助金はあまり魅力がないと思われていましたが、今年度の制度変更で有利不利がなくなってきており、ものづくり補助金の価値が相対的に上がっています。ただし、事業再構築補助金の方が広告費や建物費に充てることができたり、事前着手承認制度を利用できたりと引き続き有利な部分もありますので、「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」の違いをしっかりと理解した上で、どちらに応募するかを検討していただければと思います。



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