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2005年入学、我らが近藤美佳氏と同期の金淳美(きむすんみ)です。
ベトナム語の先生方や友人たちにはお世話にしかならなかった私、そもそもなぜベトナム語を選んだのか?
外国語なら何でも好きになるだろうという安易な理由…だったので超絶な劣等生となってしまいましたが、ベトナム料理は最高やし、ベトナム語科での出会いはほんとありがたすぎるしで、ベト語で良かったなーとしみじみ思ってます。

今は公立の小学校で先生をしています。
先生という職に一切の興味もなかった自分がここにいるのもベトナム語がきっかけ…ですがその話は置いといて、今日はタイトルにある『一期一会』な話を。


名前を見てお分かりの通り、純粋な日本人(この言葉、こわい笑)ではありません。
日本生まれ・韓国籍。
いわゆる在日韓国人3世。
そんな立場なんで、何となくややこしいこともあります。
両親も日本生まれ。
それでもずっと、
『お前は韓国人なんだよ』
と育てられ、私もそれを疑わずに成長しました。
朝鮮語は分からずとも、パスポートは韓国のもので、名前もずっと本名やし、祖父母は朝鮮語で親戚と会話してるし、小学生の頃の晩御飯はしょっちゅうピビンバ出てきたし、小さい頃行ってた教会(キリスト教なので)は韓国人だらけでみんな朝鮮語の賛美歌歌ってたし…。

でもそれなりの年齢になって色んな人と知り合うと、そうした私の『アイデンティティ』みたいなものを揺るがすセリフにも度々遭遇するようになります。
あからさまな差別!!はさておき、大体はこんな感じ。


知り合いたての日本人の子
『えー韓国籍なの?!大丈夫、日本人と一緒だよ(^o^)』

ヨーロッパの留学生
『日本で生まれたんでしょ。じゃあ日本人じゃん!』

フランス(留学先)で仲良かった本国の子
『ごめん、すんみは韓国語話せないからやっぱり私たちとは違うよ。だから昨日は韓国人だけで集まったんだ』

在日の友人
『俺らは地球人だ!』


こんな言葉たちを浴び続けて、自分なりにぐるぐる考え続けて、小さい頃から自分は異質なんやと感じてた私はさらに自分が分からなくなり、何とな~くアイデンティティ・クライシスに。

そして30手前ごろの夏休み。
急にタイに旅行を決め、バンコクのとあるホステルに泊まりました。
受付のきれいな女性は、
『今夜ホステルの1周年記念を祝うから、ぜひラウンジにも寄ってね』
と声をかけてくれたのですが、観光に出かけて帰りがすっかり遅くなり、もう祝う会は終盤に差し掛かっていました。
数人残っていた泊り客と何気なく話してると、チリから来たという方に出会いました。
そして彼は私に言ったのです。


“Where do you think you are from?”


このセリフに、大げさでなく雷に打たれたような衝撃を覚えました。

自分のことは自分が決めることで、
他人が決めることじゃない。
あなたはあなただ。
そう優しく言われたような気持ち。

喜びを隠せず、
なぜそう聞いてくれたのか、
ずっとその言葉を待ってた気がすると伝えると、
『色々旅したらこう聞くのが一番だなって思ったんだ』という返事でした。
ううむ…!

その後しばらく話して、即就寝。
この方とはそれっきりですが、数十分間話をしただけの人の言葉が、一筋の光になることもあるんやなあ…と時折しみじみ思い出されます。

一人旅がしたくてたまらんのにコロナでどこにも行けず、最近はこれまで行った場所や出会った人を思い出して懐かしむ日々。
そんな時あの人のことがたまに思い出されます。
もう二度と会えないんやろなあ。
それもまた良しな一期一会。
一言ありがとうとお伝えしたいなあという思いを胸に、人生はまだ続くようです。


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