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ブラタモリ日記その34 「知床 #55」 セレクション(2016.11.19)

今回のブラタモリセレクションは知床半島。普通の旅番組のような自然の絶景や動物もいいのだが、さすがブラタモリ。番組は地質や地形がメインとなっていて非常に興味をそそる。

ボクがもっともなるほどと思ったのは、知床半島や千島列島の地形が斜めに並んだ理由だ。これらはすべて同じ力で誕生したという。

これらの連なる島々は、北米プレートが東から西へ動くことによって盛り上がった海底のシワなのだ。これを文章で説明してもなかなかわかりづらいのだが、番組では青いブルーシートを使って説明している。これがめっちゃわかりやすい。ボクのような素人でも、なるほどと理解できた。

こうしてできた知床半島の地形が、こんどは流れてくる流氷をせき止めるかたちとなる。そして流氷にふくまれている植物プランクトンが溜まって、知床独自の生態系が生まれるというのだ。おお〜ッ、知床の自然は偶然に偶然が重なるという、まさに奇跡の生態系ではないか。

また知床半島には、火山噴火によって流れたマグマが冷えて固まった部分がある。マグマが固まってできた台地は固い溶岩でおおわれていて、とてもでないが人間の力では開拓できなかったそうだ。そのおかげで人間が立ち入ることがほとんどなく、知床独自の生態系と自然が守られたという。

そういえばこの知床から千島列島にかけては、日本とロシア(ソ連)が戦争で領土を争った歴史がある。これら素晴らしい自然をよそに、人間同士が血で血を洗う惨劇を繰り広げたのだ。そしてそれは北方領土問題として、今でも宙に浮いたままだ。

あぁ…あらためて思う。人間は地球の破壊者なんだな、と。せめて人間の手が加えられなかった地だけでも世界自然遺産として保護して、自然の素晴らしさを後世へ伝えていってほしいと願う。

………

ついでながら、番組最後に地質の専門家さんがこんなことを話した。

今まで知床を紹介した番組というのは、クマやシカとか動物ばかり。地質にはほとんど目が向けられない。地質というのは生態系にしても、いろんなことで非常に重要な部分を担ってきた。これからもぜひブラタモリで地質を扱ってください。

これは同感ッ。絶景や動物、ご当地グルメなどはほかの番組にまかせて、ブラタモリは地質・地形・地政・歴史など、これら専門的な分野やマニアックなものを、これからもどんどん扱っていってほしいと強く願う。


「世界遺産・知床は “ 火山 ” のおかげ」

2005年 世界自然遺産登録

世界でも有数のヒグマの生息地

ヒグマ
キタキツネ
エゾシカ
シマフクロウ
オジロワシ
カラフトマス


ゴジラ岩

柱状節理 → 溶岩などが冷えて固まるときにできる柱のような割れ目

フレペの滝 柱状節理


知床岬

知床岬 → 船での上陸が規制されている

斜めの地層 → 400万年前は海底で水平になっていた → 真ん中がゆっくり押し上げられて両端が斜めに

知床岬の斜めの地層


知床、国後、択捉

知床、国後、択捉が斜めに並んでいる → 同じ力で誕生した

プレートの力
① 左手で布をおさえる
② 右手で布を前にずらす
盛り上がったシワが知床半島や国後島、択捉島になる

100万年前、太平洋プレートが北米プレートの下に斜めに潜り始める → 北米プレートが東から西へ動く → 海底がシワのように押し上げられる → 押し上げられた海底に割れ目ができてマグマが吹き出す → 徐々に押し上げられて知床、国後、択捉となる

知床の流氷

流氷 → 植物プランクトン → 魚(カラフトマスなど)→ ヒグマ、ワシ

流氷から始まり、海と陸の生き物が結びつく食物連鎖は、知床が世界自然遺産に登録された理由のひとつ

流氷が知床半島のところでせき止められる → 植物プランクトンが溜まる → 魚が集まる → 知床独自の生態系

羅臼のセリ

魚の城下町、羅臼(らうす)→ 100種類の魚が採れる

下げセリ → 高値から競り始めて値段を下げていく方法。最初に合図した人から落札するので早く終わる

火山で盛り上がった知床と国後の間は、逆に海が深くなっている → 魚がたくさんとれる


世界自然遺産区域

世界遺産の外側 → 水冷破砕岩 → 海底で噴火したマグマが海水で急に冷やされ粉々になったあと固まった溶岩

水冷破砕岩が風化して土になる → 大正時代、道外からの入植者を中心に開拓が始まった

世界遺産の内側 → 固い溶岩 → 陸上火山のマグマが流れて、ゆっくり固まってできた台地 → 開拓には不向き

大正から昭和にかけて3度にわたり開拓が行われたが、固い溶岩でできた土地は表土や水が不足し開拓は困難をきわめた

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