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悲しみの中から



この休日に

中原中也記念館を訪れた



車で行ける距離なのに

なぜか今まで訪れたことがなかった



30年という短い生涯なのに

その詩は今も

人の心に残り続ける



なぜだろう


どうしたらそんな詩が書けるのだろう



記念館で

彼の短い生涯を知った



それは深い悲しみと喪失感で

埋め尽くされていた



彼は

名声や名誉など求めていない

望んでいない



ただ

悲しみや苦しみを

言葉で吐き出すことで

やっと

生きていられたのかも知れない


詩集を買って帰った



彼の本当の心を知るには

まだまだ

時間がたくさん必要そうだ




私は表面の悲しみしか

まだ知らない




私の心と足取りは

記念館に行く前と後では重さが違うように

感じた


私の隣りで、旦那さんは

のほほんと「次どこ行こうか?」と言っている



やっぱりこの人は

引きずられる私を現実に戻すために

隣りにいてくれるのだと思った



おまえはもう静かな部屋に帰るがよい。

煥発する都会の夜々の燈火を後に、

おまえはもう、郊外の道を辿るがよい。

そして心の呟きを、ゆっくりと聴くがよい。
四行詩 中原中也 生前最後の詩。
未発表詩篇より





彼は

最後の最後まで

自分自身と向き合っていた



編集・発行 中原中也記念館








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