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#9 犯罪行為の振り返り

刑務所出所者の支援をしている方から連絡がありました。内容は単なる近況報告なのですが、この方について少し触れたいと思います。

この方は過去にとある事件で逮捕・服役していた経過があります。20代後半の男性。初犯刑務所に服役して仮釈放で出所。無事に満期を迎え、現在は就労しています。

とある事件というのは「オレオレ詐欺」。受け子として稼働していたそう。

刑務所を出所してしばらくたった頃、その当時のことを本人と話していました。どうやら当時は生活がかなり乱れていたそうです。就労もろくにしておらず、手っ取り早い収入を探していたときに、この「オレオレ詐欺」の受け子の募集を見つけ稼働するようになったとのこと。

その時の会話を再現してみました。
私  :「どこかで違法な行為をしているのは気付かなかった?」
本人 :「ある時からマズいと思って抜けようと考えていたんですが・・」
私  :「どうして抜けようとしなかったのか?」
本人 :「辞めようと思ってもそう簡単にはいかない」
私  :「それはどうして?」
本人 :「免許証の写しを提出しており、実家の住所も分かるので、家族に迷惑がかかると思って簡単に辞められなかったんです。脅されるんですよ。」
私  :「そうすると、逮捕されるまで続けなければならないってこと?」
本人 :「そう言えると思います。」

この方は当時のことを振り返りながら話をしてくれていました。その振り返りはもう二度としないという「反省」をしているからこそだと感じています。

当然ですが、こういうシビアな会話をするには、お互いにある程度の信頼関係が前提にあります。支援者側の一方通行ではないということです。「指導監督」ではなく「補導援護」なのです。

「オレオレ詐欺」は今でも継続して被害が多発しています。詐欺の被害を無くすためには被害に遭わないよう注意喚起していくことは大切なことだと思います。
同時に「オレオレ詐欺」に加担させない(しない)取り組みも重要だと感じます。この方は「生活が乱れてしまい、相談出来る相手もいなかった」と話していたことが印象に残っています。どこかに相談出来る人がいれば、逮捕されることも刑務所で服役することもなかったのかもしれません。誰にも相談出来ない内容であるからこそ、誰かに話せる相手や環境が必要になるのではないでしょうか。

この方は今でも就労を続けており再犯せずに毎日生活を送っています。気軽に私のところに電話をしてきて近況を話してくれます。逆に言えば、私のところへ電話をしてきてくれていれば犯罪に手を染めるリスクは少ないだろうと考えています。

一人でも犯罪に繋がらないよう、今後も地道に犯罪防止の取り組みを続けていきたいと思います。



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