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みんな!憲法だよ!

今日は憲法記念日!
ちなみに皆さんは日本国憲法の全文を読んだことありますか?僕は恥ずかしながら最近までありませんでした。
とりあえず日本国憲法の全文がこちら。(時間がある時に前文だけでもぜひ。このnoteを読み終わってもし興味があれば読んでみてください)

http://www.shugiin.go.jp/…/stat…/shiryo/dl-constitution.htm…

コロナウイルスによる緊急事態宣言が出て、元々とにかく憲法を改正したがっていた安倍政権やその支持者の方々以外の人たちからも憲法改正を望む声が上がってきているようなので僕もちゃんと基礎くらい勉強しようと思って最近少しずつ初心者向けのやさしい憲法の本を読んで勉強してます。

今日も安倍総理が「憲法改正に向けて引き続き頑張ってまいりましょう」というメッセージをYouTubeで配信してましたけど、とりあえず憲法改正じゃなくてコロナウイルス対策を頑張ってほしいというのが僕の個人的な気持ち。

とはいえ「憲法を考える」ということは日本について考えることですし、「憲法を知らない」ということは自分がどんな国に生きていてどんな権利と義務を持っているのかを知らないという非常にまずい状況です。特にアーティストの方々は権力によって傷つけられやすい「表現の自由」を根拠にして自分の作品を発表しているので、学生時代に勉強した方も今一度憲法を振り返ってみませんか?
せっかく安倍総理が「憲法について考えよう」と言ってくれているので、この機会に一緒に考えるきっかけを作りたいなと思ってこの文章を書いてます。

僕はまだ少し本を読んだだけですけど、現時点での結論からいうと個人的にはやっぱり安倍政権での憲法改正には大反対。もし非常時以外の状況で「国民の権利を拡大するため」の憲法改正議論をしたいというのはありだと思いますけど、それも政権交代したら検討の余地ありというのが僕の意見です。

コロナウイルスの対応のために「政府により強い権限を!」とか「憲法改正でより強い規制を!」っていう声が上がってますけど、今の憲法の範囲内で国民を守れないならとっとと辞任するべきだと僕は思います。
政権は今の憲法の範囲内で出来ることも全然やってませんし、自分たちの判断で「やらない」「出来ない」としているのにも関わらず、その責任をすべて今の憲法に押し付けて憲法改正しようとしてるとしか思えません。当然ですけど政策に対する責任は憲法じゃなくて政府にあります。

もし、やるべきことをやらないで国民を苦しめている状況を自分の悲願である憲法改正に利用しようとしているなら安倍政権は日本の歴史上でも相当悪質だと思います。
…まあ僕もさすがにそんなにひどい政府だとは思いたくないですけど。(めっちゃ思ってますけど)

「憲法のせいで強制的に休業させられないから感染が拡大する」みたいな意見もありますが、これは大間違い。今の憲法には私有財産を公共のために用いることが出来ると書いてあります。ただし「正当な補償の下に」ですけど。

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第二十九条
財産権は、これを侵してはならない。
②財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
③私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

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今憲法改正したい人は「正当な補償」をしなくても私有財産を用いれるようにしたいってことですかね?

あと「今の憲法では外国の侵略から日本を守れない」というのも間違いです。
憲法では侵略戦争のための戦力は認められていませんが、自分の国を守るための自衛権は否定されていないので他国の侵略に対して武力で抵抗することは当然できます。
これも「自衛隊は違憲」「外国から侵略されても武力を用いてはいけない」という解釈をして憲法改正を主張したい人や、右でも左でも自分のイデオロギーの主張のために誤った憲法解釈をしてしまった人たちの主張を歴代の政府が利用してきた結果だと僕は思ってます。今のところ。

そもそも日本の憲法は国家権力から国民を守るという要素がすごく強くて(国家による国民への人権侵害を防ぐための配慮が多い)、実際に憲法を読んでみると全然国家権力を信用してない所が個人的にはすごく信頼出来るし好感が持てます。

これは日本国憲法が大日本帝国憲法下における戦争を否定、反省して国際的な平和を求めるために作られた憲法であることからきていて「どうにかして戦争を望む国家権力から国民を守り、新たな戦争を未然に防ごう」という内容になっているからだと思います。それは憲法の前文に書かれていることですけど。
「アメリカに押し付けられた」とかじゃなくて、敗戦国である日本がポツダム宣言を「自ら受け入れて降伏し、国際的な平和を望んだ」ことから作られた憲法なので全然押し付けじゃないと僕は思います。

あと僕が読んでみた自民党による憲法改正草案はとにかく内閣の権限を増やして自衛隊を国防軍にしたいんだなというのが今のところの印象。「天皇は、日本国の元首であり」「国旗・国歌を尊重しなければならない」とか大日本帝国憲法への回帰も目指してる感じがします。あと時代にそぐわない「家族」に重きを置きたい感じも。(10万円給付の時も「世帯主」に支給されるという判断をしたように、虐待やDVなど機能不全の家族をあまり考慮してないのかな?と思う部分も自民党にはあります)

まあ僕はそもそも政権にすごく批判的で全然客観的な判断はできないので、今後は安倍政権支持の方や憲法改正したい方の意見も少しずつ見聞きして幅広い意見に触れて勉強しようと思います。

少なくともコロナ対策のために憲法改正が必要とは全然思えないですし、そうじゃなくても法律や現行憲法を軽視する今の政権での憲法改正は大反対です。憲法には国会議員は憲法を尊重し擁護する義務を負うという条文もあるので、安倍政権はそもそも憲法違反の内閣だと思います。民間人なら自由に憲法を批判したり改正したがったりしてもオッケーなので、やっぱり国会議員は辞めていただくべきかと。

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第九十九条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。

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今の憲法で出来る範囲のこともやらない政権を批判もせずに「憲法改正議論をするべき」って言ってる議員や政党はとりあえずチェックしておきます。(今のところ自民党、公明党、維新の会は憲法改正議論をするべきという主張ですね)

最近は感染への不安から「民主主義」や「人権」を否定する意見が出てきたり「政府に強い権限を与えたい」というふうにこれまで憲法改正を支持していなかった人まで言い出してるみたいですが、その心理は最近読んだナチスドイツに追われて渡米した社会学者が書いた「自由からの逃走」という本の中にあった "民主主義や自由が生んだ個人に対する「責任」や「孤独」から逃れるために人々は政治に無関心になったり新しい依存や従属を望むようなる" っていう心理の延長線上な気がします。これまでも民主主義は非常時に破壊されてきた歴史がありますし。

そう考えるとやっぱり現代の日本(世界も?)はまだまだ未成熟でこれから育っていく赤ちゃんみたいな国なんだと僕は思うんです。それは政府も国民(僕)もという意味ですけど。たった75年くらいじゃ全然大人になれないですよね。
そういう意味ではまだまだ日本は育ち盛りというか、これからすごく良くなる可能性だって全然あると思ってます。実際に今も世論が政治を動かすという結果が目に見えて出てたりしてますしなんとなく成長の兆しはあります。

これまで日本がずっと抱えてきた問題点がたくさん表に出てきているこの機会に、これからを生きる子供たちや若い人たち、変化を望む大人たちは国の価値観を大きくブラッシュアップ出来る可能性もあるのでは?というのが僕の希望的観測です。悲観的観測を書くのはあまりに簡単なので書かないですけど。

という感じでこうやって不勉強な僕が安心して個人的な意見を発信できるのも今のところ憲法が保障してくれてるからです。そこんとこよろしくです。

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第二十一条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する
②検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

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ついでに最近僕が読んだ憲法の本でオススメなものを何冊かご紹介させていただきます。

わかりやすく憲法の大切さがよくわかる本としてオススメなのが広島県の弁護士の方が書いた「檻の中のライオン」(かもがわ出版)です。子供も読めるようによく考えられた本でイラストも可愛くてとっても読みやすいです。憲法は「国家権力」から「国民」を守るための「檻」であるという観点から国民にとっての憲法の重要性を教えてくれます。

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憲法全文をちゃんと読みたい方には「日本国憲法」(TAC出版)がオススメ。
日本の著名なアーティストの作品と共に憲法の全文を読めます。難しい言葉にはその都度注釈も書いてあってとてもわかりやすいです。実は全文をちゃんと読む機会ってあんまりないですよね。

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はじめて憲法について考える人に向けて大学生に日本国憲法制定の歴史や九条を解説した講義を書き起こした「はじめての憲法」(ちくまプリマー新書)もわかりやすくてオススメ。憲法改正支持の方も反対の方も初めはこれから読むのもいいかも。書いたのは国際政治学者の大学教授で、「国際法を基調として作られた日本国憲法」という歴史を解説して憲法改正論者が言う「押し付け憲法」や「自衛隊違憲説」「今の憲法では日本を侵略から守れない」という主張の間違いを指摘し、逆に「護憲派」と呼ばれる人たちの憲法解釈の間違いや憲法を自分のイデオロギーの主張に利用する危うさも指摘しています。僕も結構間違えて理解してる部分が多かったので、目から鱗な一冊。

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あとアーティストの方には今年出た「表現の自由」特集の美術手帖もオススメ。国家と表現の関係を考えるのにはとても良い特集です。
昨年のあいちトリエンナーレの振り返りから「アーティストと補助金」「検閲回避マニュアル」「芸術への表現規制の事例集」「現代日本の文化政策基礎講座」など今後の表現活動にも参考になるトピックが色々載ってます。

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という感じで最近ちょこちょこ本を読んだりしてますけど、その中で僕が感じるのは「やっぱり民主主義ってめっちゃ難易度高いな~」ということです。
ファミコンの「突撃!風雲たけし城」より全然難易度が高い。

今の日本で民主主義を維持するには投票率を上げるために「国民全員の政治への関心が高いこと」「憲法を学び、理解すること」が必要ですけど、今は芸能人の方が政権に批判的な意見を言ってもすぐ批難されたりSNSが炎上したりしますし、その様子を見て育った若い方は「政治を話題にしてはいけない」「政治はよくわからない」「怖い」という印象を持っているので、SNSやリアルで政治の話題を出されるだけでもストレスに感じる方も結構います。

あと若い人たちだとSNSで政治を話題にすると途端に離れていってしまう人も多かったり、勇気を持って発信しても全然優しいリアクションをもらえないのでなかなか政治について発信するのが難しい状況です。身近に政治の話を気軽に(怒りを抜きに)発信できる大人もあまりいないのでよりハードルも上がってる気がします。

個人的にはここをどうにかしたいので、まずは若い方々に鬱陶しがられてもいいから政治を話題にしてみせて「政治は話題にするな」「批判をするな」っていう空気を積極的に変えていきたいと思ってます。その上でどう表現したらストレスなく伝わるのか、政治の話題に触れてもらうためにはそれ以外の話題をどう発信してどんな作家活動をすればいいのかということも考えていきたいです。
そもそも政治的に意見が合わなくても単純に対立したり誹謗中傷し合う必要は全然ないんですよね。意見が合わない友達とも気軽に話し合えるのが理想。しっかり自分で考えることさえできれば、自分の意思で政治を話題にしないのももちろんありです。

僕も全然偉そうなことは言えないですけど、まわりの若い方も新聞やテレビ、ネットで政治を含めた社会的なニュースを見る習慣を持っている人はあまりいませんし、今は自分が見たい情報だけ見るということも昔よりすごく簡単になってます。(単純にそれが悪いわけではないですけど)
そういった状況で「一緒に考えましょう」っていうメッセージを届けるのは結構難しいんですけど僕は無名で未熟とはいえ絵本作家、デザイナー、イラストレーターなのでやっぱり誰かに「伝える」ために試行錯誤したりひたすら考えることは結構楽しいですし「もしこれを伝えられたらすごいんじゃない?」と思うとすごくワクワクします。

そして僕のまわりの20歳前後の方は僕が20歳くらいの頃よりも確実に問題意識や考える力、発信力を持っている方が増えているのでそこへの信頼感はめっちゃあります。

もし今後日本がもっともっとひどい国になって大人たちが全員失望したり絶望する世界になっても、子供たちが生まれて生きてる限り僕は全然絶望も失望もしません。その必要もないし。

戦争を経て子供たちに向けて全力で絵本を描いてくれた大先輩の作家さんたちが残してくれた作品やメッセージだけでも僕は余裕で最後までやっていけます。
その最後の日は今日かもしれないし、明日かもしれないし、80年後かもしれないですけど、その不安感は3歳とか4歳の頃からずっと抱えてきたものなので個人的には最近新しい心配が増えたわけでは全然ないです。病気や死が怖いのは赤ちゃんの頃からずっとなので。笑

そんな感じで僕は生まれつきネガティブな性格ですけど、それは何かを諦める理由には全然ならないのです。(おっ、なんかポジティブっぽいかも!笑)

ということで最後に僕が好きな憲法の条文を紹介。

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第十三条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

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「すべて国民は、個人として尊重される。」ってよく言った!っていう感じです。「個人」っていうのがめちゃくちゃ大事。
ちなみに自民党の憲法草案では「個人として」が「人として」に変わってます。「個」を無くしたいという一点だけでも僕と気が合わないのは間違いないです。笑
自民党の憲法改正草案のURLを貼っておくので、お暇な時に読んでみるといいかも。

あとこれも大切なことですが常に「政権が悪い」って言ってるだけでは全然ダメですよ!(自分へのメッセージです)あくまで憲法の権利は国民の努力で保持するものなので、しっかり自分で考えていく責任があります。あと権利を振りかざして私利私欲を満たそうとするのもNG。それは憲法にも書いてあるので。

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第十二条

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。

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ではでは、長々書いてすみません。
万が一最後まで読んでくださった方がいたらその忍耐力と優しさに感激です。ありがとうございます。
ではでは皆様お体に気をつけてお過ごしください😊

<自民党憲法改正草案>
http://constitution.jimin.jp/document/draft/

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