見出し画像

ワタナベイビーによる楽曲解説『呼吸をしよう』

1996年2月、ホフディランのプロ・ミュージシャンとしての正式なレコーディング・キャリアはこの『呼吸をしよう』という楽曲から始まった。ワタナベイビーと小宮山雄飛のパートナーシップを確固たるものにした楽曲であり、グループの門出にふさわしいスタートであったと言える。

ところが!メンバーの1人が初日からやらかした!ワタナベイビーがいきなり数時間の遅刻をしたのである!新社会人フレッシュマンが、入社式に遅刻をするようなものである。常識では考えられない方もいらっしゃるかもしれないが、事実である。
よって、テンポ決定、ガイド素材の流し込み、そしてなんと仮歌まで小宮山雄飛が歌う羽目になったのである!彼の受難の日々はプロ初日から始まっていた。いや、二人で契約書にサインした瞬間から始まっていたのかもしれない。
レコーディングが進行していく過程でもずっと小宮山の仮ボーカルに合わせての演奏。本来歌うはずではない人物のボーカルに合わせて作業を進行するエンジニアやスタッフたちは、いまいちピンと来ないような表情だったが、ホフディラン本人たちだけが面白がっていた。
この経験を糧にホフディランの悪ふざけはエスカレートして行き、翌1997年くらいまでは、本来のヴォーカリストでない者が、即ちワタナベ楽曲では小宮山雄飛が、小宮山楽曲ではワタナベイビーが仮歌を歌う、という非効率的かつ無意味な慣習が定着していた。

ここから先は

2,099字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?