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補聴器トラブルを防ぎましょう!

 全国の消費生活センターには、「勧誘され購入したが医師に不要と言われた」「試用なしで購入したが音がうるさい」等の補聴器に関する相談が寄せられています。
 そこで、最近の補聴器に関するトラブルを分析して問題点をまとめ、消費者被害の未然防止・拡大防止のため、また、適切な補聴器選択のため、情報提供します。

図.PIO-NET(注)にみる
「補聴器」の相談件数と通信販売の割合

国民生活センターでは2014年2月に注意喚起を行い、相談件数はやや減少していましたが、最近は増加傾向が見られます。特に、通信販売でのトラブルの割合が増加しています。

年度別相談件数:2015年度は598件、2016年度は575件、2017年度は538件、2018年度は542件、2019年度は628件、2021年1月31日までの件数は442件です。
 通信販売の割合:2015年度は18%、2016年度は10%、2017年度は16%、2018年度は17%、2019年度は17%、2021年1月31日までの割合は26%です。

販売購入形態別の主な相談事例

【店舗購入】

最近の主な相談事例

従来の店舗購入や訪問販売に加え、通信販売に関する相談が増加傾向であり、販売購入形態別に主な事例をまとめました。
(( )内は受付年月、契約当事者の属性)


<店舗購入関連>

【事例1】不安をあおられ購入したが、医師から耳は正常で必要ないと言われた

眼鏡店がオープンするとの広告を見て、夫の眼鏡を買いに店舗に出向いた。夫の視力測定等の間待っていると、「補聴器が必要か耳の状態を測定している、5分程しかかからない」と声をかけられた。測定結果から、「補聴器を必要とする状況のギリギリのラインだ。早めに補聴器をつけ始めないと、認知症になりやすくなる」と言われた。オープンキャンペーンで約 50 万円の補聴器が約 40 万円になると言われ、高額なので少し考えると断ったところ、「今日購入してくれたらもう少し安くする」と言われ、結局 40 万円弱で購入することになった。その後、耳鼻咽喉科で聴力を測定してもらったところ、正常値で、補聴器の必要は全くないと言われた。耳の状態が不安で契約したのに、納得できない。解約したい。

(2020 年9月受付 60 歳代 女性)


【事例2】試用したものと違うタイプの補聴器を勧められたが、我慢できないほどうるさい

新聞広告で見て補聴器の店に行ったところ、耳に引っ掛ける方式の補聴器を借りて試用した。

後日、再度店舗に行った際、耳あなにはめ込むタイプの補聴器を勧められ、両耳で約 50 万円の商品をクレジットカードで決済した。その後、商品を使用してみたが、食事をする際、物を噛むギシギシとした入れ歯の音がうるさくて我慢ならない。以前に借りていた耳かけ式の補聴器ではそのような不具合はなかったので、交換してほしい。今から、店に申し出て交換してもらえるだろ

うか。もし、交換してもらえないなら、返金してほしい。

(2020 年6月受付 70 歳代 女性)


<通信販売関連>

【事例3】誰でも装着可能という補聴器を購入したが、耳に合わない

最近、「小さな声が聴き取りにくい」と言う母のために、ラジオ広告で電話の音や大きな音もきれいに聞こえ、ノイズも入りにくいという補聴器を購入しようと思い、販売店に問い合わせた。耳あなの大きさがみんな違うので、装着可能かが心配だったが、「S・M・Lと、3サイズに変更可能なキットが付いているので、全ての人に対応可能」と言われたので、片耳が約4万円で高かったが申し込み、母にプレゼントした。しかし、母は届いた補聴器が合わないようで、母から連絡をもらって返品の申し出をしたが、電池を入れて通電していたので、返品は受けられないと断られた。決して安いものでなく、安易に、「誰にでも装着可能」とした売り方に、納得できない。

(2019 年 10 月受付 60 歳代 女性)


【事例4】雑音で使用できず返品したいが、電話がつながらない

新聞広告をみて補聴器を注文した。商品到着後、装着したが雑音がするため長い時間使用できない。説明書をみながら調整してみたが変わらない。記憶では、返品することもできると説明されたので、継続して使用できないため返品したい。業者の返品専用窓口へ電話したが混み合っているというアナウンスが流れつながらない。代金はすでに振り込んでいる。返品・返金してもらうにはどうすればよいか。

(2020 年8月受付 90 歳代 男性)


【事例5】ほしかった補聴器をインターネットで注文し代金を振り込んだが、商品が届かない

耳が悪く、補聴器を買おうとインターネットで探していたら、欲しかった外国製の補聴器の広告が立ち上がってきた。定価で買うと6万円以上する商品だが、2万円台で購入できるというので注文した。代金を個人名義の口座に振り込んだところ、メールで「輸入なので時間がかかる」と連絡がきたきり 20 日ほどたつが連絡がない。その間数回メールを送ったが返事がない。詐欺サイトだろうか。

(2020 年8月受付 70 歳代 男性)


<訪問販売関連>

【事例6】業者が自宅に上がり込み、断り切れずに契約してしまった。書面も渡されていない

数日前に補聴器を取り扱っている医療機器販売店の営業担当が来訪した。玄関先で話を聞く程度と思っていたら、コンセントの場所を探しながら上がり込んできて、テーブルの上に補聴器を出し、「これなんかお勧めです」と言って私の耳に装着し、家中を歩かせた。「ちょうどいい具合ですね」と言われ、値段を尋ねると「80 万円」と言うので驚いた。いろいろ説明した後、書面を出してきて、「署名と押印お願いします」と言うのでサインしたが、何も書面はもらえなかった。

数日後、娘が実家に来たので説明すると、反対した娘は FAX で補聴器のクーリング・オフの書面を送信した。補聴器の購入の取り消しができているか心配である。

(2020 年7月受付 80 歳代 女性)


【事例7】同じ業者の訪問販売で、数年おきに何度も補聴器を購入させられた

先日帰省した際に、一人暮らしの母が、訪問販売で約 50 万円もする高額な補聴器を購入していたことがわかった。2年前にも同じ業者から約 50 万円の補聴器を購入していた。その前が約 30万円の補聴器で、何度も購入している。母は補聴器をつけると、ビープ音がうるさいとすぐに外してしまう。高額な補聴器を売ったあと、調整をしてくれず、新たに補聴器を勧める販売方法に納得できない。解約することは可能だろうか。

(2020 年4月受付 80 歳代 女性)


【事例8】説明を聞くために訪問を受けたが、契約せざるを得なくなった

母が補聴器購入を検討しており、説明を聞くため業者の訪問を受けた。当日いくつかの器具で聞こえ方の違いを説明されたが、眼鏡をかけた場合の装着具合や適切なサイズについての説明はなく、一定期間試用して契約する制度もなく、適切なものを選択できなかった。当日すぐに高額な契約をするのはためらったが、長時間の説明で疲労したため契約をするしかなかったとのことだ。その後母は、サイズが合わないので解約したいと私に相談してきた。解約できるか。

(2020 年3月受付 80 歳代 女性)

PIO-NET および相談事例からみた問題点

医師の診断がないまま勧誘等され補聴器を購入し、トラブルになっている

試用していない機器を、適切な説明なく販売している、返品もできない

不安をあおられたり十分な検討時間がないまま契約となり、トラブルになっている

通信販売では、事業者に電話がつながらない、詐欺サイトが疑われるトラブルも見られる


消費者へのアドバイス

🐣聞こえにくいと感じたら、
 まず専門医の診断を受けましょう
🐣契約前に自分に合った機器かどうか
 しっかり確認しましょう
🐣1人で決めず、
 できるだけ周囲にも協力を求めましょう
🐣通信販売では、事前に試用できないリスクや
 詐欺サイトに注意しましょう

🐣使用時の紛失にも注意しましょう
🐣トラブルになった場合は、
 最寄りの消費生活センター等に相談しましょう

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通信販売・定期購入トラブル
https://note.com/hocyoukiyasuda/n/nbacbe6486810

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