京大ロー受験記②試験対策編

はじめに


磁石です。

 この記事は、僕が京大ローを受験する過程をまとめたものです。
 ロー入試は、大学受験と違って自分の相対的位置が分からないので、高リスク・高ストレスな受験生活になりがちです。そんな生活の中で、僕自身ロー入試の体験をまとめた諸ブログに大いに助けられたため、これを残します。

 この記事は、ロー入試全体観編の続編、試験対策編です。はじめに保険をかけておきますが、所詮僕は予備試験に落ちてる身であり、絶対この方法が正解!という趣旨ではないです。模試や受験生のネットワークが非常に少ない中で、ロー入試の熱量や難易度をふわっと伝えることができれば・・・・・・。そんな思いで書きましたので、よろしくお願いします。
僕の入試の成績・答案構成はここから読めます。


京大ローの合格点

 京大ロー入試は、書類点400点、筆記試験550点の合計950点満点です。令和4年入試(僕の受けた前年)は、約667点で首席、630点で43位、600点代前半で約130位(ギリギリ不合格らしい)、という分布です(参考:競争社会でへらへら笑って)。この分布は例年あまり変化がなく、首席から合格ラインまで数十点しか差がないのが特徴です。これは実力が肉薄しているのではなく、京大が偏差値での点数調整を行っていることが大きな原因、とされています。ですので結論としては、合格するだけなら大体610点、余裕を持って620点程度を目指すべきであることがわかります。

 あくまで先輩の開示結果や受験生同士の伝聞をかき集めたもの、と前置きした上で。京大ローの筆記試験は、各科目の点数が50~70%に集中します。明言されてはいませんが、かなり酷い答案でもこの採点は維持されているようです。そのため京大ローの採点は、まず素点をつけ、偏差値を利用してそれらを57~60%を中心にして再度採点している、というのが通説です。おそらくは科目の価値を公平に保つための措置だと思います(うまく点がバラけた1科目だけで実質的に合否が決まる、とかになりかねないので)。以下のツイートは、僕より1年早く京大ローを受験された方の採点の体感です。

 前回述べた通り、書類点はほぼ機械的に算出されると考えられています(≒学部成績×4)。仮に学部成績の平均点が75点なら書類点は約300点、80点平均ならば約320点です(外部生は280~300点が相場)。
 そうすると内部生は、学部成績により変動はあるものの、筆記試験で320/550点前後とれば大体は合格圏内に入る、ということになります。およそ58%なので、上記の採点の推測が合っているとすれば、受験生全体の平均点、具体的に言えば主要な論点の確保ができていれば合格できるということです。内部生であれば。書類点の闇は深い。
 そのため対策としては、いわゆる市販の論証集のAランク論点を頑張って押さえ、典型論点で沈まないことが効果的なんだと思います。いわゆるCランクはおろか、Bランクがあやふやであっても合格可能性は普通にある、というのが体感です(もちろん十分条件ではないですけど)。

各科目の特徴と対策

 僕は伊藤塾に加入していますが、真面目にこなさなかったため講座を半分も見ていません。ですので、基本的に「問研」と書いてあるものは伊藤塾のテキストを純粋に演習書として用いています。全体的に、3年頃までは問研の周回を中心にしつつ、三段論法やナンバリングが馴染んだ4年夏頃からは、解説の充実度と問題の新鮮さを優先して殆ど学者本を使用していました。教材が多いですが、その点ご理解ください。

公法系

人権はオーソドックスです。歯ごたえのある問題が多いな~とは思いますが、大概は重問や問研の周回で対応できる範囲しかみんなやってないと思います。余裕のある方は、「憲法判例の射程」読んでおくのがオススメです。論述に深みが出て、ちょっとだけ違いの分かる受験生になります。
・憲法が2問出題されるため、確定で統治が出ます。京大の特徴その①です。といっても統治は難易度が易しめで、試験勉強のコスパは悪くないと思います。「憲法演習サブノート210」「論文合格答案集スタンダード100通称スタ100)」あたりで十分に問題がストックできます。人権との点数配分は明言されてませんが、難易度や論点数からして5:5はなさそう。試験本番は6:4位だと目安をつけて時間配分しました。
行政法は例年難しくなく、特別な対策は特にしませんでした。僕は問研を3週ほどしたら飽きたので、夏頃から「事例研究行政法」を1週しました。予備校非課金勢ならこれを周回しておくと安心だと思います。憲法と合わせて3問で3時間という出題形式のためか、意図的に軽めに設定されているのかな?という印象。なお、法令は難文であることが多いです。焦らず。

民事系

民法は例年2問。家族法の出題は僕は見たことないですが、それ以外は本当に幅広く出題されます。他の科目に比べて頭一つ抜けて難しい印象があり、毎年必ず2問の内のどこかでマイナー論点やひねった論点を入れてきます。ただ、受験を終えての感想は「こんなん事前に知ってる奴なんかいねーよ!」という感じ。詳細な判例・学説の理解というより、現場思考力が求められているのかなと思ってます。実際令和5年入試を受けて、僕と友人では背信的悪意者による抵当権実行後の所有権関係について、どう法的構成するかが分かれましたが(友人は背信的悪意者からの転得者の問題に、私は抵当権者には所有権が移転していないことに着目し、単なる二重譲渡と構成しました)、各々65点以上獲得しており、筋自体に大きな差異は設けていないらしいことがわかります。
 対策としては、僕は論マスを周回しましたが、結局適切に筋が浮かぶのは半分あるかどうか、という状態で4年の夏になってしまい、あとは論ナビとアガルート論証集の暗記に集中しました。問題多すぎて演習のコスパが悪いなと思ったためです。直前2~3ヶ月は論証集を周回しつつ、意味が不明な点は基本書に立ち返って読み、かみ砕いてストック、みたいなことをしていました。また、過去問の他、現場思考重視といわれる神大の過去問を3年分ほど解き、分からないなりにまとめる練習もしました。
会社法はあんまり印象無いです。予備対策を経験してれば普通の問題だなって感じ。公開会社か非公開会社か、支配権の移動はあるか、など細かい事情を拾いきれるかどうかで手続の適否に差が出るような問題が出るため、全ての事実を余すところなくマーキングして検討することが大事だと思います。これも問研を3年頃から3週ほどやったあと、秋以降論証ばかり読んでいました。アガルート論証集の出来が素晴らしいです。論ナビは論点の網羅性の点で不安。
京大の特徴その②として、これもほぼ確定で、商法総則手形法が出ます。最近は会社法2問の年もあったらしい?点、手形廃止が迫る点、で特に手形の重要度は低くなりましたが、それでも無対策は自殺行為です。他大ではまず出題されないので、基本的には学部講義等で早めに学習を済ませておき、あとは直前2週間程度の詰め込みで思い出し勝負、という形がセオリーだと思います。総則&手形は司法試験過去問を多数掲載した「スタ100」以外にまともな演習書が無く、この本知ってるかゲーです。
・出題が一番読めないのが民訴法です。YMKT先生の学部試験と違って激ヤバ問題は出ないと思いますが、いきなり管轄とか訴訟担当とか聞く年もあり、油断できないです(その年だったら泣いてた)。少なくとも、重複起訴とか自白とか、オーソドックスな論点をオーソドックスに問うことはあまりないと思います(とか言ってたら弁論主義でたけど)。僕は、論証集の論証を一通り覚えた上で、出そうなところを基本書で補っていくという形で勉強しました。基本書はリークエを使ってましたが、YMKT先生がMK先生記述の自白部分は読み飛ばせと言ってました。論証集の記載が薄い分野を、早くから基本書で読んでおくことが大切だと思います。

刑事系

刑法は、総論・各論からから各1問出題されます。分量が多く一番時間がシビアだと言われる一方、共犯・財産犯を中心に典型論点の詰め合わせみたいな内容で難易度自体は高くないと思います。僕は問研を周回した後、直前期は「刑法演習サブノート210」で論点の確認をして臨みましたが、他にも使い勝手のいい演習書が多いので、相対的な価値はさほど感じなかったです。同じく合格した友人は直前期に「徹底チェック刑法」を使ってました。薄くて分かりやすいらしいです(追記:現在使ってますが結構良いです)。
刑訴法は数年前まで一行問題が出ていた?らしいですが、少なくとも僕が解いた問題では見てません。近年は証拠を中心にオーソドックスな事例問題が多いです。今年は捜査のみ出題されましたが、まあまあ珍しいです。あとは訴因も好きみたい。気まぐれなヒロインみたいですね。要はヤマを張らずに満遍なく取り組むのが良いんだと思います。僕は問研を周回した後、夏秋に「エクササイズ刑事訴訟法」を1周、模試感覚で起案してました。薄いのでとっつきやすく、それでいて解説が必要十分ですし、なにより表紙が可愛くてすきです。

特に役に立った書籍のまとめ

憲法
・論証ナビゲートテキスト(伊藤塾の講座に付属しているもの)
・憲法判例の射程
・スタンダード100
・憲法演習サブノート210
行政法
・論証ナビゲートテキスト
・基本行政法
・事例研究行政法
民法
・論証ナビゲートテキスト
・アガルートの合格論証集
・コア・テキストエッセンシャル版
商法
・アガルートの合格論証集
・スタンダード100
民訴法
・論証ナビゲートテキスト
・ロープラクティス民事訴訟法
刑法
・基本刑法Ⅰ・Ⅱ
・論証ナビゲートテキスト
・アガルートの合格論証集
刑訴法
・エクササイズ刑事訴訟法
・基本刑事訴訟法Ⅱ

過去問演習について

・時間のシビアさや詳しい難易度は解いてみないと分からないので、当然ながら過去問は多少は解いておくのが良いと思います。僕の場合、自主ゼミを組んでいたのが上手く演習をこなせた要因でしょう。
・僕は自主ゼミの一環で、京大3年・神大3年・慶應2年、合計約8年分をフルスケールで起案しました。3年の3月頃に同期4人でゼミを結成して4年の9月まで、週1回2~3科目、2~3週間で1年分、というペースで実施しました。内容は、各々書き上げたものを持ち寄り、答案構成・学説・事実認定について疑問点や補足知識を共有する、というものです。結果として4人全員が合格し、複数の上位合格者がいる優良ゼミになりました。
・ゼミ活動はアウトプット面の誤りや悪い点を指摘し合うという目的で始めましたが、インプットの手分けという点でも多いに機能しました。院試の過去問は解答がなく、疑問点は文献にあたる必要があります。真面目なメンバーの数だけ文献を読む人手が増えるわけなので、解決も早かったです。アウトプット型なので腰を据えて基本書を通読することがなく、自分の知識が少ないということを教えて貰って、すごく助かりました。
・早くから対策を始めたつもりでしたが、途中に予備試験や学部試験での中断が入った他、直前期はインプットに集中してゼミを休止する、ということで同意したため、意外と余裕はありませんでした。もしゼミを組むのであれば、余裕を持ったスケジュールが必要だと思います。ゼミ以外の自習を中心にするのであれば、少なくとも春休みから開始する必要はあるでしょう。


おわりに

 というわけで試験対策編でした。採点方法や科目など、京大の独特な部分を早めに知る助けになれば幸いです。入試全体観編はこちらから。

未来の京大ロー生に幸あれ。

それでは、また。


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