スペイン国立バレエ団2018年公演Bプログラム

10/27夜公演、私にとって今回は最後のスペイン国立バレエ団公演、観終わりました。
Bプログラムは、26日、27日と見ることが出来ました。
Aプロ二回、Bプロ二回の計4回ですね。
前回は有料にしましたが、多くの方に見に来て頂きましたので、感謝の気持ちを込めて、こちらは無料公開とします。

特に27日は、どんかぶりしてしまったイスラエル・ガルバンの公演とマチソワで観る!という暴挙に出てしまい、朝から心配で。
それも、午前中はいつものピラティスへも参加して、本当に長い1日でした…

イスラエル・ガルバンの方は一緒に書くと長くなるので稿を分けるとして、こちらではスペイン国立バレエ団Bプログラムについて、感想を書きます。

ツイッターにもチラリと書きましたが、Bプロは、私は圧倒的に1幕目が良かったですね。
二日見ましたが、印象は変わりません。
一曲ずつ書きます。

1. 「カンティーニャス・デ・コルドバ」(「サグアン」より)

これ、前回公演でもあった演目だったような…
それほど期待しないで見たのですが、一曲目からオレ!でした。
雰囲気たっぷりで良かった〜♪
カンティーニャスは、正直アレグリアスと同じだよね??と思っているのですが、アレグリアスは私も好きな踊りで、漫画に描いた時も一番フューチャーしました。
スペインで観光客が見る女性の踊りといえば、もう100%アレグリアスと言っていいでしょう。
それもどうかと思いますが…

振り付けはなんと、メルセデス・ルイスさん。
現役バリバリですね。
見ていて、必ずしもガンガン踊らずとも、なんとも言えない色っぽい間や、ゆ〜〜〜ったりとした超スローな動きがとても素敵で、雰囲気を出せない人には踊れない振り付けです。

もちろんバレエ団らしく綺麗系ですが、夜の街角っぽいシンプルな背景にミュージシャン、ゴージャスなドレスで踊る美女と伊達男という風情がそれらしくて。
踊るサラ・アレバロさんはコールド・バレエの方ですね。
フラメンコがお得意なのでしょう。
幕開けからフラメンコな雰囲気を存分に醸し出し、ワクワクさせてくれました。

2. 「ビバ・ナバーラ」
プログラムによると、ナバーラ地方のホタという踊りから作られたようです。
見るからに愛らしい、民族衣装のソロ。

こちらも手に汗握る(私だけ?)超絶技巧のオンパレード。
私が密かに水夏希さんに似ている!と思っている美しき第一舞踊手、インマクラーダ・サロモンさんの独壇場です。
ダブルキャストのようですが、私はインマクラーダさんのバージョンだけ見たと思います。

音楽はクラシック音楽ですが、スペインの作曲家によるもののようですね。
バレエの技巧を使って振り付けられた作品のようです。
スペイン国立バレエ団は、スペイン舞踊全般を踊る舞踊団ですが、そのうちの民族舞踊的な要素を持つ演目なのだと思います。
これも前回公演で見ました。

とにかく全編軽やかににこやかに、踊る踊る踊る。
こういう大所帯の舞踊団公演で、わざわざソロに時間を割り当てるって贅沢だと思いますが、それだけの重責を担った演目でしょうし、踊るインマクラーダさんの意気も高いと思います。
2回とも完璧な踊りで、最後の最後まで体力とテクニックを要するハードな振り付けでしたが、見応えがあり素晴らしかったです。
何より、凄まじいテクニックの連打にかかわらず、見る人を自然と笑顔にさせるところが、贅沢で魅力的な演目でした。

3. 「ボレロ」
これを見に来たという人も多かったのではないでしょうか。
バレエですでに人気の演目、BNE(Ballet Nacional de España)のボレロも負けていないと思います。
私も大好きです。

ソロを踊るのは第一舞踊手のセルヒオ・ベルナルさん。
インタビューも読みましたが、踊りならなんでも好き!と、踊りの申し子みたいな方ですね。
セルヒオさん自身、特に前半はバレエダンサーそのものといった感じで、非常に優美です。

前回(有料部分だったかも)、BNEの圧倒的男性スターは芸術監督のアントニオ・ナハーロさん…^^;と書いてしまいましたが、それでも舞踊手のスター候補を挙げるなら、やはりセルヒオさんだと思います。
こうして群舞を率いて踊る姿を見れば、やはり並みの踊り手ではないとわかります。
長身にバランスの取れた四肢、ちょっと甘い感じのルックス。
長い手足がまっすぐ伸びる迫力に、何度もため息が出ました。
持てるものを有効に使ってこそ。

こちらも、とても過酷な演目。
Bプロはセルヒオさんはこれだけですが、そりゃそうですよね。
ただ、カーテンコールにも出ていなかったのかなあと。
キャスト表にも名前がないし、ラストを踊らなかったダンサーは加わっていなかった気がして。
あの大きな演目を踊り切ってカーテンコールに姿が見えないって、寂しいですよね。
どうしても席が遠くて、確認できなかったです。

このボレロでは、群舞の人も存在感があって好きです。
バレエと違って人間パーカッションでもあるスペイン舞踊(^ ^)
足でリズムを打ち、サパテアードを華麗に決め、時にはアバニコ(扇子)をひらめかせて迫力のフォーメーションで客席を圧倒します。
セルヒオさんと女性群舞の前半では、セルヒオさんの踊りはバレエ的要素の方が目立つのですが、後半、男性群舞が入ってくると、グッとスペイン舞踊要素が強まって、カッコいいんです。
セルヒオさんもしっかりシューズを履いていますし、足の音がザッ、ザッと来ると、もうすごく盛り上がりますね。

ちなみに、お隣に白髪の紳士が座っていらしたのですが、ボレロのフィナーレで小さな声で「おお…」と声が出ていらして、素直な反応に思わずにんまりしてしまいました。

ボレロはフォーメーションが優れていることと、セルヒオさんのバレエダンサーのような優美さ、身体能力の高さが相まって、やはりBNEの財産のような看板作品だと感じました。
私の中で、あまりにバレエ的な美しさがあるので、男性の衣装はどうしてもズボンタイプのパンツでないとダメなのかなあ、レギンス的なぴったりしたパンツの方がしっくり来るんだけど…と思ったのは事実ですが…
シューズとのバランスで仕方ないのかな。
でも、男性群舞はもう少しセクシーな衣装を考えた方がいい気がしますね。
すごくいい踊りをしているので、勿体無いです。
女性は美しいです。
とにかく、セルヒオさんがこの作品をきっかけに、もっともっとスターになって、バレエ団をさらに人気舞踊団にしてくれることに期待しています。

ここまでが1幕で、2幕は「セビリア組曲」です。

残念ながら、私は「セビリア組曲」はちょっと退屈でした。
「アレント」ではあんなにキレキレのセンスの良さを見せてくれたアントニオ・ナハーロさんなのに。
手早く参ります。

1. 「フェリア」
出だしは最高です。
緞帳が少しだけ開き、その隙間からずらり並んでしゃがんだダンサーが、手と、手に装着したパリージョの奏でる音だけでパフォーマンスします。
前回もこのアイデアに感動しました。
しかし、良かったのはここまで。

3. 「トリアーナの港」とも共通するのですが、この群舞で見せるパートが退屈なんです。
何でしょうか、「発表会」感?^^;

ただ踊るだけなんですよね。
これを見て逆に実感しましたが、少なくとも私は、BNEでなければ見られないダンスを見に来ているんだなあと言う事です。
1.3.くらいの群舞なら、日本のフラメンコ教室の発表会でもしょっちゅう見られるのではないでしょうか。
フラメンコやスペイン舞踊に全く縁がなかった方は面白く見られると思いますが、何年かやっている人なら見慣れた光景かと思います。
様々な人に見せなくてはいけないので、こういうパートも必要なのかもですが、やっぱりもっと、彼らにしかできないことを見せて欲しかったです。

2. 「マエストランサ」は、私のお気に入りのアローニャ・アロンソさんが、なんと闘牛の牛?!役で踊ります。
1回目見た時はオペラグラスを持っていなくて、誰だか見分けられなかったんですよね。
2回目は2階席でもあり、しっかり持参して確認しました。

アローニャさんの全身タイツみたいな衣装もすごいですが、正統派闘牛士の男性ダンサーのマント芸(失礼!褒めてます)も圧巻です。
このマント、自立するくらいパリッとしているのですが、とにかくひらめかせることを目的に作られているらしく、本当にかっこよく決まります。
男性のフラメンコダンサーはあまり小道具を持ちませんが、これ、普通に持ったらいいのにと思いました。
決まれば本当にかっこいいですが、やっぱり日本人男性には無理かなあ…(めちゃくちゃ照れそう)
これは「セビリア組曲」の中では官能的でモダンで、気に入っている作品です。

4. 「バイラオール」
これは3の男性版というか、男性の群舞です。
これも発表会感…と言いたいところですが、残念ながら日本では群舞を踊るほど男性ダンサーがいません(笑)
いや、集めれば何人かいらっしゃると思いますが、誰も群舞は踊りたがらないだろうなあ…
そういう意味では、日本では見られない光景なので、これはこれで楽しかったです。

5. 「パセオ・デ・エンスエニョ」
これもベテランの味が堪能できる雰囲気のある作品でした。
こうしてみると、全体的にダメだったわけじゃないのですが…

6. 「フビロ」
大団円の群舞。
この群舞は良かったです。
曲もキャッチーで、衣装も音楽も明るく、見ていて楽しかったですね。
スペイン舞踊の小気味よさ、キレ、粋な感じがこれでもかと連打され、とても華やかなフィナーレとなりました。
5を踊っていたお二人も加わって、舞台裏の戦場が偲ばれますが…^^;
私はイスラエル・ガルバン公演のために涙を飲みましたが、千秋楽では特別バージョンのカーテンコールだったようですね。
羨ましい。
組曲として見ると、私にとっては粒が揃っていたとは言えないのですが、BNEらしく華やかに終わって、やっぱり彼らならではのこの盛り上がりに心踊りました。
また近いうちに、ぜひ来て欲しいです。
その時は、新作「エレクトラ」をお忘れなく。

さて、ここまで長々と読んで下さった皆様に、私からお知らせがあります。
実は、これを書くつもりはなかったと言うか当初は思いつかなかったのですが、せっかくフラメンコやスペイン舞踊ファンが見て下さっていると思うので、この機会を使わせて下さい。

ご存知ない方がほとんどだと思いますが、私は漫画家を生業としております。
2017年に小学館プチコミック増刊号でシリーズ連載したフラメンコ漫画「Arriba!」が、2018年単行本として発売されております。
そう、私はフラメンコ漫画を描いているんです(^^)

小学舘での掲載は一旦終わりましたが、自分でもまだ続けたいと言う思いがあり、早ければ来年の年末、もしくは年を越してしまうかもしれませんが早いうちに、電子本での単行本化を計画中です。
個人出版ですので、私自身が出版します。

つきましては、続編の予告もなく長らく待たされることになっている読者の皆様のために、来年4月、もしくは5月頃を目標に、とりあえず40p程度の1話分を先行配信予定です。
これは、まだ配信していただける先方に全くご相談していない状態なので(だからここでお知らせする予定が全くなかったので。。。;)、いまこの段階では詳細にお伝えできないのですが、無料配信となります。
どなたでも気楽に見て頂ける形にしますので、是非私のTwitter、ブログなどで情報をチェックして、読んでいただけたらと思います。(無料配信は単行本が出るまでの期間限定です)

また、既刊「Arriba!」は、もちろん小学館より紙版、電子版コミックスが発売中ですので、こちらは無料配信はあまりないかと思いますが^^;試し読みなどはあると思いますので、是非是非ご覧いただけたらと思います。
私にとっても約9年間、お稽古事ではありますが苦楽を共にしてきたフラメンコの魅力を少しでも多くの方にお伝えすべく、頑張って描いて参ります。是非応援よろしくお願いいたします。


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