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かくして始まったストーリーのその先 ~TOUR 2022 kaleido proud fiestaに寄せて~

はじめに

この文章は、UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2022 「kaleido proud fiesta」について筆者の個人的な感想や憶測や思いの丈を綴った備忘録である。アニメ『TIGER&BUNNY2』の主題歌でもある「kaleido proud fiesta」というシングルを引っ提げたツアーは、ユニゾンらしくもありドラマチックでもあり懐かしさもあり、未来への希望を感じさせた。
 
改めて振り返ってみるとスペシャルハッピーセットリストだな…
バラード系の曲はいつも連続していることが多いが、今回は暗転するタイミングごとに雰囲気ががらっと変わるような、切り替えが分かりやすい印象を受けた。そこで本編を大まかに分けた4枠に勝手に名前を付けてみた。
 
①~④:「客をがっつり惹きつける入りの4曲として百億点満点、完全に心掴まれた」枠
⑤~⑨:「意表を突くバチゴリロックのかっけえ曲集めてみました」枠
⑩~⑪:「優しい気持ちに包まれるバラード」枠 
⑫~⑲:「UNISON SQUARE GARDENを体現する“らしさ”大爆発」枠
 
 
全体を通して見たときにどうしても語らずにはいられない、アニメ『TIGER&BUNNY』(以下タイバニ)の主題歌である「harmonized finale」「オリオンをなぞる」「kaleido proud fiesta」の3曲についてここで触れておきたい。
kaleido proud fiestaのツアーということは他のタイバニ関連の楽曲も演奏してくれるだろう、いや、あの田淵がそんなに簡単にタイバニ繋がりを意識したセットリストを組んでくるわけがない、の2つの思いが葛藤していたが、やはりkaleido proud fiestaにとって他の2曲がなくてはならない存在であることを思い知らされて込み上げるものがあった。
「ここからまた始まってく」⇒「ココデオワルハズガナイノニ」⇒「かくしてまたストーリーは始まる」の流れの美しさといったらあまりに完成されている。
 
—オリオンをなぞる こんな深い夜
—harmonized finale 星座になる
—誰かと誰かを繋ぐ星空の下
—広がり続ける星空に僕らは今を誇れるか?
 
3曲だけに共通していた演出がバックスクリーンに広がる星空だ。演出や照明に関してはメンバーに決定権はなく、担当のスタッフさんに一任しているとのことだが、それにしても全編を通してかなりこだわりが感じられる演出、照明だった。大変ありがたいことに、各公演多種多様な座席をご用意していただいたので1階席前方、1階席中央、2階席、3階席、5階席とどこから見ても最高に楽しい景色を堪能できた。
以降、セットリスト順に一曲ずつ振り返っていく。


1. harmonized finale


会場に入ってまず目に入ったのはステージにかかった薄い幕だ。Dr. Izzyツアーでの振り落としを思い出した。SEの絵の具とともにメンバーが登場すると、なんとその薄い幕に3人の大きな影が浮かんだ。これから一体何が起こるのか、観客全員から緊張が伝わってきて、ツアーの始まりをより一層わくわくさせた。そのとき私は不思議なことに、絵の具が止み一曲目が始まるまでの一瞬の間に、何となくharmonized finaleが始まる気配を察知した。それはもしかしたらイントロが始まって0.02秒くらいで気づいただけのことかもしれないが、何となくそんな感じがしたのだ。そこからはもう感情がぐちゃぐちゃでユニゾンのこと、タイバニのこと、いろんなことを思い返した。
姿が見えないのにユニゾンの3人だと分かるその影が愛おしくて、幕の向こう側でオレンジの光に包まれる光景がキラキラしていて、このツアーがfinaleからまた始まっていくということ、ユニゾンのこれからも始まっていくこと、10年の時を経てタイバニがまた始まっていくことを想起させた。一体誰がこんな素晴らしい演出を考えたのだろう、お礼をお渡ししたいので今度振込先教えてください。
 
—harmonized finale 星座になる 沢山の願いを乗せて
 
パッと照明が消え、一面の星空を背景にスポットライトに照らされた斎藤が歌い上げる。薄い幕がかかっているはずなのに、照明の具合でその姿ははっきりと見え、この空間に自分と斎藤しかいないような錯覚を起こした。なんて綺麗なんだろう、永遠にこの時間が続けばいいと思う。突然目の前に広がった星空に慌ててオリオン座を探してしまったし、オリオンのセットリスト入りを確信した(なんなら次に来るかもしれないと身構えたけど違った)。
 
—理由のない涙もあるけど 想い続けていればきっと 会えるから
 
心強いこの歌詞がいつも支えになっているので、目の前で歌われると涙が溢れてしまう。そしてつい、ユニゾンにタイバニに当てはめてしまう。
 
・ライブができない絶望的な状況の中でも常に楽しみを届け続けてくれたこと
・ライブオンザシートの最後に演奏してくれたharmonized finaleに救われたこと
・ライブに行きたくても行けない人のことも考えてくれていること
・曲を作って全国を回ってライブをしてみんなの元に音楽を届けることを当たり前のように続けていきたいと思いそれを実行していること
・タイバニ1期が終わってから10年もの間ファンが想い続けた結果、またヒーローたちに会えたこと
・田淵としては「harmonized finale」で役目を終えたつもりだったが、尾崎プロデュ―サーやファンの熱意に感化されてタイバニ2期主題歌のオファーを受けると決めたこと
 
―君を追いかけるよ その未来まで
 
ゆっくりと一音ずつ噛み締めるようにギターを弾き切るとふわーっと照明が明るくなる。こうしてTOUR 2022 kaleido proud fiestaの幕が開けた。


2. 箱庭ロック・ショー

「ようこそォッ!」幕が上がると同時に始まったイントロが好きな曲のそれでシンプルにびっくりした(びっくりしすぎて何の曲か分からんかった)。2曲目に箱庭ロック・ショー持ってくるなんてそんなことあっていいのか。シングルツアーは自由度が高いと言うがこれほどとは、このツアーは何かが違うぞと覚悟した。いつぶりにライブで演奏されたんだろうと思って調べたら、(CIDER ROADリバイバル、オンライン配信ライブを除くと)なんと2019年の『ACCIDENT CODE “R”』ぶりだった。
 
―地上2、3メートルの中で遠くさえ読み込んで
 
斎藤の歌い方がとにかくキレキレで、スタッカートとアクセントが効いているところがとても好きだ。貴雄のドラムが後半にかけてどんどんヒートアップしていくのも見どころで興奮を掻き立てられる。
 
—全てのストーリーを流線形にしたいくらい
 
もしかしてその“ストーリー”にはかくしてまた始まった“ストーリー”も含まれてますか??という強引にも程がある解釈をしてしまうくらいには楽しかったなあ。


3. 世界はファンシー

斎藤⇒緑、田淵⇒ピンク、貴雄⇒青のスポットライトがパッと当たる。
ここでファンシーを挟むのは天才の仕業だ!と思った。このツアーにも3曲目という位置にもぴったりはまっていたように思う。
田淵のお決まりの猫の手ポーズから始まり、ピンクと緑の妖しい照明が照らし出す。早口なうえにギターを持つ手がフリーになるファンシーのAメロは斎藤の身振り手振り大好き侍にとってスペシャルハッピーボーナスタイムである。いつもありがとうございます。Patrick Vegeeツアーを経て磨き上げられたAメロBメロがさらにキレと艶やかさを増しているように感じたのは気のせいだろうか。
“My fantastic guitar!”からの”その間に口実作って以上終了だッ!” にかけて一気に盛り上がる高速回転のド派手な照明。からの“る・る・る・る・るるるるる!”に合わせて照明オンオフしてるのかなあれすごいな、ぴったりタイミング合わせるの大変そうだな…と思うなどもしていた。


4. シャンデリア・ワルツ

Fancy is lonely. からほとんど間髪入れずにドラムの音と一気に光量が増した明るい照明で始まったシャンデリア・ワルツ。まだ序盤も序盤だというのにそんなに飛ばしちゃって大丈夫ですか!もうこの時点で最高に楽しくて今日イチのニッコリ笑顔になってしまう。そしてAメロを歌う斎藤の満足げな楽しそうな笑顔にこちらまで幸せになる。
 
―わからずやには 見えない魔法をかけたよ
 
今更ながらユニゾンが好きな人にしかこの歌詞の良さは分からないだろうふふんという気持ちになる。ユニゾンに出会ったあの日からずっと、田淵にかけられた魔法に魅せられているのだ。ここでDr.Izzy時代に一気に引き戻されて懐かしい気持ちになる。初めてライブを見たあの日、シャンデリア・ワルツで田淵と一緒に跳ねるのが楽しくて楽しくて、ユニゾンはあの時と変わらないキラキラを放ち続けていて、私はそのキラキラをこの目で感じたいからこれからもライブへ足を運び続けるのだと思う。
 
—ハローグッバイ ハローグッバイ 
 行き着いた先に 何も無くても
 息をする僕らは構わない 世界が始まる音がする
 
kaleido proud fiestaというツアーで演奏されることにものすごく大きな意味を感じてしまうフレーズだ。“ハローグッバイ”=出会いと別れを感じるからだろうか、シャンデリア・ワルツに限らず田淵の書く歌詞には生と死とか、現実的なテーマというか、夢物語ではなく現実と向き合いかつ未来に希望を見出せるような、そんな歌詞にいつも元気をもらっている。


5. CAPAITY超える

タンッ!スネアの音が鳴ってギターチャラーン…「UNISON SQUARE GARDENです最後までよろしく!」MCというMCはこれだけだったのではないだろうか。個人的にはkaleido proud fiestaというツアーのMCが聞きたかったので少し寂しい気持ちはあるものの、ユニゾンのそういうストイックなところが好きなんだよな~うん、結局好き。
ギターチャラーン…えっ…その音ということはあの曲を…あの曲をついにツアーd…えっ…ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー照明は青が少しと束になった赤の光線が四方八方からくるくると照らす。そしてここでもまた両手遊びAメロに突入するもんだから私の脳みそのCAPACITYは超えた。歌い方のクセこんなに凄かったでしたっけ…ドゥルドゥルドゥルドゥルダルダルダラルの色気がとにかく半端ない。初日が3列目だったので卒倒する寸前でかろうじて意識を保ちつつえっちな目で見ておりましたすみませんでした、だって、すごくえっちだったから…
 
―大好きなあの子に会いに行けないよ!
―ユゥニゾンスクエアなんとかァも
 
炊き立てのご飯、広い野原、大好きなあの子を少し気怠そうに叫ぶ感じもまた良(リャオ)、ファイナル公演では大好きなあの子に会いに行く代わりに再び広い野原を走り回ってしまい大変記憶に残る貴重なCAPACITYとなった。
ちなみにCAPACITYが演奏されたのは(オンライン配信ライブ、Spring Spring Springを除くと)2018年のヒトリエ主催対バン『nexUs』だった。え、そんな、もっとやってもろていいんですよ…


6. Silent Libre Mirage

CAPACITYからサイリミのハッとするような繋ぎにウワー!!!好き!!!となった。打って変わって一気に爽やかなイントロに夏を感じる。かなり久しぶりに聴けた気がして嬉しい。ちなみに前回演奏されたのは2019年の『MODE MOOD MODE ENCORE』、3年前だってよ…
水の中にいるような照明が印象的だ。光のプリズムみたいにピンクや緑や青が混じった光線の束がくるくるとステージを照らす。


7. Own Civilization (nano-mile met)

暗闇の中、丁寧かつ力強いギターストロークを始める斎藤を、天井からステージへ一直線に伸びた真っ赤な光線が貫く。田淵、貴雄それぞれにも真っ赤な光線が貫く。
暗闇を貫く何本もの真っ赤な光線がでっかくクロスするラスボス要塞キングダムみたいな照明に眩しい真っ白なフラッシュ、あまりのかっこよさに開いた口が塞がらない。ドン・ドン・ドドドッのドラムのリズムがいつもより強調されて聞こえるのはその迫力に圧倒されていたからか。身体の奥底まで響き渡る重低音がやっぱこれだね~ライブの醍醐味♪
この照明の手口は完全にPatrick Vegeeツアーの摂食ビジランテで味を占めたスタッフさんの仕業に違いない。いいぞもっとやれください。
 
―差し出された手は噛み千切るけど
 
このあたりで斎藤の喉が心配になってきた。まだライブも中盤に差し掛かる前くらいのような気がするよ。私のいらん心配をよそに斎藤は絶好調のキレッキレ高音を連続で繰り出していく。やっぱりどこかでMC挟みませんか…?そのすぐ背後にfake town babyが控えていることを私はまだ知らない—


8. ラディアルナイトチェイサー

ここにラディアルナイトチェイサーという曲を持ってくるセンスに脱帽である。テンションぶち上げである。そしてまたイントロに興奮しすぎて混乱した結果パンデミックサドンデスかと思った(なんで)。今回のツアーは特に、それぞれの曲がそれぞれのあるべき位置にぴったりはまっている、そんな感じがする。
照明は緑と青と白の光線がランダムにあちこちを照らす。サビは赤だった気がするが興奮ゴリラだったので記憶が定かでない。まーた斎藤両手遊びAメロありがとうございます!今回両手遊べる曲多いね!幸!
B-sideツアーでの予想以上の反響から今回唯一カップリングとしてツアースタメン入りを果たしたのだろうか。ラディアルナイトチェイサーの今後の活躍にもぜひ注目したい。


9. fake town baby

ラディアルナイトチェイサーの最後の音を弾き切らないうちに熱量そのままfake town babyに移る繋ぎがアルバムですかってくらいぴったりでスムーズで腰が抜けるくらいかっこよかった。イントロでド派手に噴き出す大量のスモークに最初びっくりしてちょっと笑っちゃってごめん。静岡公演では近すぎたからかAメロが始まってもなかなか消えず姿が見えないくらいだった。田淵が敢えて噴射口に近づいていくのがおもろい。浴びてる。照明はサビでプルプルするオレンジの光線が特殊で新しかったね。
 
―さあ勝算万全、お待たせ
 
ッジャーーーーーンでもくもくスモーク、ッワ~~~ありえんカッコイ~~~~~!!!!!!!音が上がりきってタタン!のドラムで締める。第2フェーズのバチゴリロック枠の締め曲、締め方として相応しい圧倒的かっこよさに開いた口が塞がらないまま拍手し続けた。


10. 5分後のスターダスト

バラード枠にこの曲が入ってくるのは少し意外だった、と思ったけど前回演奏されたのは2019年『Bee side Sea side』。思ったより間が空いていた。
“a lot of pieces…”の低音始まりにドキッとする。見たこともないくせにかつてのロンリーウルフ斎藤が歌っているように空目する瞬間がたまにあったりなんかするとても好きな曲だ。間奏も好き。落ち着いたバラードかと思いきやライブだと激しめに歌って演奏している様子を目の当たりにして、一層切なさが込み上げてきて感情を揺さぶられる。
少し涼しくなったファイナル公演では、金木犀色の照明に秋の訪れを感じると同時に夏から連れ添ってきたツアーに別れを告げる寂しさも感じた。


11. 弥生町ロンリープラネット

テッテッテレレ…テッテッテレレレ…
丁寧なギターリフから始まったのは初めてお目にかかる弥生町ロンリープラネット。オンライン配信ライブでは演奏されたものの、Patrick Vegeeツアーではメンバー入りを果たせなかったこの曲がついに。青い照明が下方から斜め上へ、1番は上手側、2番は下手側を照らし、サビではそれにオレンジの温かい光が合わさった。心があったかくなって優しい気持ちに包まれるような感覚になる。田淵の少年のような純粋な心があってこそのこの優しさ、歌詞、メロディーだよなあと思うなどもした。あとサビに入る直前ギターのキュイーンの音、右手を素早く動かしてああいう感じで出してたんだね。配信で一度は見てるはずなんだけどな。
 
―いや言いたい様な いや言いたくない様な
 
公演によって異なったが、“言いたくない様な”で斎藤が首を左右に振りながら切なそうに歌う様子に胸が締め付けられる。
 
—そしてぼくらの春が来る
 
春が来てぼくらを連想させるピンクの照明が客席に向かって下から上へなぞるようにゆっくり上がっていってふっと消えた。暗転した会場全体に最後の「る」の音の余韻が漂う。ファイナル公演では会場に届く照明が隅々まで見渡せたので、すべてが春の光に包まれていったこの光景がずっと忘れられない。


~ドラム&ギターセッション~

♪テケテケテケテケテケテケテケテケテケテケテケテケテケテケテケテケ…
!!!このギターは!と思ったらめちゃくちゃ焦らされる。まだ焦らされる。ワールドワイド・スーパーガールはいつ始まるのだろう。高まったワクワクの行き場がなくおろおろしていると貴雄が何やら準備しだした。
ウォーミングアップもバリエーション豊富だった。中身を飲み干してからそのペットボトルでドラムを叩いてみたり、ご当地アイテムを使ってみたり、マイクスタンドを楽器代わりにしてみたり。個人的に好きだったのは岐阜公演「ドラムで出すことができる最小の音チャレンジ」⇒名古屋公演「 “ちっちゃいから段々大きくしてって”ジェスチャーで斎藤に指示」。
ドラムが段々本格化してくると、天井から差す七色に変わる光の筋が左から右へ流れるように貴雄一点に集中する。
斎藤は貴雄の方を向いて、半音違いの音を混ぜながらテケテケを永遠に繰り返す。膝でリズムを取ったり上半身を前後にぐわんぐわん揺らしたり、その笑顔が本当に楽しそうだ。ちょっと離れたところで2人を眺めていた田淵は、テケテケセッションがヒートアップしてきたタイミングでドラム台の端にちょこんと腰掛けると、リズムに乗って首を振り始めて愛おしかった。
もちろん今までのドラムソロもドラムの音だけで一つの作品として完成されていたわけだが、ギターが加わることでよりその技術の高さが際立ったように思う。テケテケテケテケのたった2音をドラムだけでこんなにも鮮やかに彩れることに心底感動してしまい、オンドラムスが秘めたる無限の可能性を感じたのだった。


12. ワールドワイド・スーパーガール

ワォ!ワイ!スパガール!貴雄の掛け声とともにやっと本当に始まったワールドワイド・スーパーガール。個人的には『fun time HOLIDAY 6』金沢公演でのSHISHAMOカバーのサプライズに対し、ユニゾン本家ver.としてその場で急遽演奏された事件が印象的だが、いつぶりに演奏されたかというと(オンライン配信ライブ、Spring Spring Springを除くと)2018年末のthe pillows主催カウントダウン以来。ツアーを通して演奏されたのは2014年“桜のまえ”ツアー………?
ビル街みたいに黄色の■が集まった照明がゆらゆら。左足パッパッ→右足パッパッ→首傾げ→首傾げ、サビの田淵ムーブが乗り移ってしまう観客多数。私も例外なくその一人である。この曲は間奏からサビにかけて盛り上がるラストスパート、ためてためてためてオォォォォォYeeeeeaaaaah!!!で思いっきり開放するのが一番楽しいところだと思っている。「もう一回!」を声に出せないのが悔しいけど、ハッピーにぶち上がれるこの曲がやっぱり嬉しくて全然最高潮でした。


13. ナノサイズスカイウォーク

「ナノッ サィッズ ナノッサイッ スカィウォク!」貴雄のキュートな掛け声で始まったのは、待ちに待ったナノサイズスカイウォークだ。一瞬にしてステージ後方をぐるっと取り囲む杖の形の照明(10本くらい)が現れ、明るい水色を放つ。せっかく綺麗な演出だな~って感動してたのに誰だチンアナゴとか言い出した奴!それにしか見えなくなっちまったじゃねえか!
 
―愛 それが全てを測れるのは真実でも
 
サビ前の田淵の動きがとんでもなくキュートで永久保存版にして持って帰りたい。円盤化を楽しみにしておこう。ここの田淵だけ延々と再生するんだ。
 
—僕は ナノサイズで飛び回ってく 君にすぐたどり着く
 ささやくエラーアラートは耳障りなんだ
 
杖の形に添って白、青、水色の光の線が落ちていく。〇〇〇〇の照明が床と天井をぐーるぐーる旋回している。その光景がすごくきれいで、水色の照明もメロディーも歌詞もキラキラしてすごくユニゾンらしくてなんだか涙が出てきた。なんてライブ映えする曲なんだろう。調子に乗って今後もぜひ登場回数を増やしてほしい。どうでもいい話をすると個人的に「耳障りなんだ」の「わ」の音の高さがとても好きで、自分で歌ってもすごく気持ちいい。
すっかりナノサイズグッズのデザインにハマっている私は、ステージの上の3人と一緒にナノサイズの3人が飛び回っているように見える。(イメージ図参照)
 
―愛して更新しよう ナノサイズスカイスカイウオッ!

ウオッ!?!?!??!?!!?直後に斎藤がステージ中央に飛び出してきてギターソロだあああ!予期せぬ突然のギターソロに口を開けて見守るしかない。
 
—ナノサイズで飛び回ってく
 君の目をちゃんと見てる 無敵の予感だ!
 
新曲ながらもユニゾンらしさ全開のこの曲が大好きだ。このあたりでカレイドツアーのナノサイズとはもうお別れになってしまうと思ったら悲しくて泣けてきた。きっとカオスでまた会えるよね、ハム太郎。


14. サンポサキマイライフ

テーッテテー テッテッテッテテ テーッテテー テッテッテッテテ
セッションが始まると同時にパッと杖の右半分3本が眩しいオレンジ⇒10本全部オレンジ⇒赤とオレンジの点線に光った。「サンポサキマイラィ~フ!」斎藤がこのツアーで唯一曲名を叫んだのがサンポサキマイライフだ。テンション爆上がりである。
 
セッションから次の曲を予想するのに弱いので、今回もいつも通りピンと来ないままワクワクしてしまったのだが、冒頭のセッションってテーッテテー テッテッテテー ハイ!のとこのリズムじゃんか~!こういう曲中のリズム使ってかっけえセッション生み出しちゃう天才だよねユニゾンスクエアガーデンって。
2番後の間奏に入ると斎藤のギターパフォーマンスが炸裂、田淵が斎藤へ近づきステージ中央あたりで2人が向かい合った状態になると、そこで田淵は斎藤が弾いているギターの隙間に何回も指を差し込んで弦をベーンして遊び始めた。全部自分のベースを弾きながらやってるんだから器用なものである。
あとは田淵が斎藤の肩を食べたり、斎藤のギターを食べたりしていた。文字にするとますます訳が分からない。ドラムもどんどんヒートアップしていって楽しすぎて混乱するほど頭のおかしい間奏だった(褒めてる)


15. オリオンをなぞる

間髪入れずに始まったイントロと突然視界いっぱいに広がったキラキラに一瞬何が起こったのか分からなくなる。ミラーボールに反射して放射状に広がる光が会場いっぱいに広がり、星のようなキラキラと一緒にこちらに向かってくる。もはや向かってきているのか吸い込まれているのか分からなくなってきた。そういえばオリオンのMVは背景にたくさんの言葉が高速で流れていたことを思い出した。
ライブでお目にかかる頻度の多いオリオンだが、今回ばかりはクライマックスへの最重要ポジションともいえる位置に置かれていることからも特別を感じる。UNISON SQUARE GARDENというバンドが、タイバニファンをはじめ多くの人に知られるきっかけとなった一曲でもあり、「タイバニといえばオリオン」のイメージが定着して田淵自身オリオンを超えることはまず不可能だと思っているほど大きな存在となった一曲でもある。その前提のうえで今回挑戦し制作した「kaleido proud fiesta」とは切っても切り離せない関係だといえるだろう。
こんなにもたくさんの人に愛されている「オリオンをなぞる」がこれからもずっと大切な一曲としてそれぞれの心に残るといいなと思う。


16. kaleido proud fiesta


―かくしてまたストーリーは始まる
 
イントロとともにステージ天井からUNISON SQUARE GARDENの文字が下りてくる。星空を背景に文字が虹色に光る演出にまた込み上げてくるものがある。オリオンが始まった時点でついにカレイドがくるぞと身構えてはいたものの、「オリオンをなぞる」と「kaleido proud fiesta」の繋ぎにセトリおじさんのただならぬ意思の強さを感じて膝から崩れ落ちた。
「作品に対して「おかえり」ってファンに言ってもらうための"祝祭"ムードを作りたい」という意味が込められているこの楽曲には、ユニゾンファンもタイバニファンも聴いて分かる歌詞のリンクだけでなく、メロディーのリンクまで意識しているというのだから、田淵がこの曲に懸ける想いというのは尋常ではない。楽曲提供にあたり「(タイバニのファンに)『本当にユニゾンで良かったな』という気持ちにさせないと意味がない」といった発言からも使命感の強さが感じられる。
歌詞については語り始めるともう本当に全部になってしまうのでここでは割愛する。また別の機会にじっくり掘り下げてみたい。
 
個人的な話をすると、TIGER&BUNNY 2公開記念イベント『Precious EVE』で初披露されたkaleido proud fiestaをやっぱり思い出さずにはいられなかった。“きれいすぎて忘れられないような景色”とはまさにこのことだと、初めて見た歌詞と初めて聴いたメロディーと夢にまで見た景色を同時に体感して、一気に押し寄せた抱えきれない感情がフラッシュバックする。これからもあの光景は一生忘れられないと思うし、本当にたくさんの人の想いが詰まった曲なんだと思うと込み上げてくるものがとめどなくて、今回のツアーにおいて一番盛り上がるべき主役の曲なのに腕も上げられず終始大泣き鼻すすり地蔵であった。妖怪である。
 
―見逃さずになぞっていこう
 
このフレーズだけ目立たせるかのように照明がステージをくるくる照らしてしていたのが印象的だ。
 
—広がり続ける星空に僕らは今を誇れるか?
―その願いを叶えようか 歌えkaleido fiesta
 
ユニゾンはいつだって「今」と向き合い「今」を誇れるような活動をずっと続けてきたのではないかと思う。自分はどうだろう、「今」を誇れているだろうかと考えてみる。自分は何も持っていなくて、自信がなくて、ちっぽけな人間だと思う。ただ、大げさかもしれないが、私の人生で唯一誇れることがあるとしたらUNISON SQUARE GARDENに出会ったことだとそれだけは自信を持って言える。
空白の一瞬に貴雄がスティックを天に掲げたのが印象的だ。再び星空の中、斎藤だけにスポットライトが当たり力を込めて歌い出す。このスリーピースロックバンドが未来を切り開いていく様子をこれからも見ていたいと切に願う。


17. to the CIDER ROAD

カレイドで本編を終えてもおかしくないとは思ったが、ここで終わりにしないのがユニゾンらしいなと思った。UNISON SQUARE GARDENの文字はそのままに、水色の照明とともにイントロが流れ始めた。カレイドに続く曲としてこんなにふさわしい曲があるかというくらいぴったりで天才だと思った。
 
—相当前の過去はキレイだ? 光って至って美しい?
 おまえが容易く決め付けるなよバカ野郎
 本当は弱さは強くて 涙こそ道しるべ
 
ここの歌詞すっごく好きなんだよね…このツアーでは特にカレイドの「今」と「過去」との対比を勝手に感じて涙ぐむ。さらに「強いだけが正義ならばヒーローなんて要らないし」と近しいものも勝手に感じて涙ぐむ。
 
―さあ 次はどこへ、どこへ行こう?
 
kaleido proud fiestaで未来への期待が最高に高まってからのto the CIDER ROADは、UNISON SQUARE GARDENの新たな始まりをより一層わくわくさせた。


18. 10% roll, 10% romance

曲が始まる前の陽気な音楽隊のようなセッションがすごくとても良かった。ハッピーエンドを思わせるようなメロディーに、終わりが近づいていることをそっと知らされてちょっと泣けてくる。本編の最後にこの曲を持ってくる計らいというか、終わり方まですべてが完璧だった。こんなの楽しいに決まってるよ。
ここから曲中の感想を書こうとしたけど、本編が終わってしまう寂しさを感じながらゴリラも、とにかく全力で楽しむゴリラだったので特にこれといった感想が思い浮かばない。ただほんとうに心から楽しかった。


19. Cheap Cheap Endroll

デーデーデーデーデ!
アンコールでMC喋るパターンかな~喋らないかな~なんて呑気に考えていたら、唐突にも程がありすぎて身体がすぐに反応できなかった。しばらく固まっていてようやくそれがCheap Cheap Endrollだと認識できた。とんでもねえBPMで駆け抜けたそれは今まで聴いた中で最速だったように思う。
登場パターンも様々だった。斎藤田淵だけ先に登場し、後から貴雄だけダッシュで着くなり始まるパターンや、最後にゆったり入場した貴雄が上着を脱ぎ、頭上へ放り投げると同時に始まるパターンもあった。
アンコール登場直後の1曲目であの熱量の狂いっぷりを表現するためか、斎藤が歌い出す度に左足を大きく振り上げて床にトンしている様子が今でも脳裏に焼き付いている。その後も間奏の斎藤のギターソロと言ったら脚折れるんかというくらい弾き倒しながらステージ前方に出てくるし、最後まで弾き切るから歌い出しギリギリになるし、岐阜公演に至っては自分のギターソロに酔いしれちゃって全然間に合わなくてマイクスタンドガッっと掴む事案が発生して大変ありがとうございました。


20. シュガーソングとビターステップ

kaleido proud fiestaのツアーに「シュガーソングとビターステップ」という曲が入っていて良かったな、そう思えるシュガーソングとビターステップだった(?)この曲に関してはライブでいつ何億回聴いても嬉しくて楽しくなってしまうのはどういうわけか。岐阜公演あたりでAメロの田淵の動きに「超元気足踏み」と名付けてからというもの、自分で笑えてきちゃって楽しくて仕方がない。
照明はUNISON SQUARE GARDENの文字がピンク・オレンジ・紫のSpringカラーになったと思ったら途中ピンク・オレンジ・緑になったりもしたようなしなかったような。最近のシュガーは間奏の照明でがらっと空気変えてやるぞ!という意気込みが感じられるような気がするが、今回は赤をベースに赤・紫・白が左から右へ高速で流れていく強そうなイメージだった。
大阪公演2日目では"someday 正論に意味がなくなっても"×2になってしまうという斎藤らしからぬ珍しい歌詞間違いが印象に残っている。そもそも歌いながらギター弾きながらエフェクター踏んでる時点で人間にできる所業ではないのだ。でもあまり揚げ足を取るのは良くないと思いつつレアだったので沸いた(ごめんなさい)(土下座)


21. 場違いハミングバード

シュガーで終わるかと思いきや、ここでこの曲をぶっ込んでくるあたりがユニゾンスクエアガーデンである。最後までMC一切なしで駆け抜けたからこそ生まれたボーナスタイム曲のような気もする。一曲でも多くというストイックな姿勢には本当に感服するのですが…MC挟んでもいいんだよ?
再び左右から大量のスモークとミラーボールを中心に放射線状に広がる照明、UNISON SQUARE GARDENの文字を緑色が、ステージセンターで荒ぶる田淵を真っ赤が照らす。
ここまで来ても田淵がまだ動く動く。走る飛ぶ。ほとんど濃い緑に変わったTシャツ、無邪気に縦横無尽に走り回る姿は元気そのもので、本当に本当に楽しそうな笑顔に思わずアンコール後はけていくのを見て泣けてきちゃったくらいだ。
ツアーは最後までユニゾンらしく、ユニゾンのライブって楽しい!!!の感情いっぱいで幕を閉じた。


おわりに

かくして始まったツアーkaleido proud fiestaは、私にとって2022年夏の思い出のすべてであり、忘れられないツアーとなった。UNISON SQUARE GARDEN、スタッフさん、チケットを譲ってくださった方、会ってくれた、見守ってくれたフォロワー、ツアーに関わるすべての人にありがとう。ツアー自体に対してここまで特別な感情を抱いたのは初めてだったので、とりとめのないクソデカ感情を思わず文字に起こしてしまったが後悔はしていない。次のツアー「fiesta in chaos」ではどんなカオスなfiestaを魅せてくれるのか、全力で楽しみにしたい。


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