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Loren Auerbach with Bert Jansch / Colours Are Fading Fast

・Loren Auerbach with Bert Jansch / Colours Are Fading Fast (2016 Earth Records 3LP)

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ヤフオクで購入。3枚組ということもあってやや高額ではあったが何で貰えたのかわからない30%オフクーポンを使用して最近の新品LPくらいの値段で購入できたのでラッキーだった。届いてみると想像以上に豪華なハードブックカバー仕様の作りで買ってよかったと心底思えた。

80年代に自主レーベルからリリースされていた2枚のLPはどちらもレアで再発CDも既に廃盤で高額かつ入手難なので未発表音源を含めたこの3枚組はかなり有難いリリースである。昨年サブスクで発見しよく聴いてはいたが、羅列されたトラックを順番で聴くよりも1枚1枚を裏返したり交換したりしながら聴く方が似合うタイプの音楽なので買ってよかったと心底思えた。

全編通してLoren Auerbachのボーカルは発声が不安定で歌唱力のあるタイプでもないので本格的なフォークやトラッドが好きな人からはAmazonのレビューで星一つ付けられたり酷評されていたりするが私にとってはその不安定で儚げなボーカルが魅力でしかない。自分が10代から聴いてきたPASTELSのAGGIやHeavenlyのAmelia Fletcherなんかと通じる部分がある。そんなアマチュアリズム溢れるボーカルをBert Janschを始めとした楽器の名手たちがサポートするという絶妙なアンバランスさがLoren Auerbachが遺した音楽の根本的な魅力でありオリジナル盤がレア化している要因でもあると思う。

Loren Auerbach with Bert Janschという名義にはなっているが実質的にはプロデューサーのRichard Newmanが作曲も演奏も全面的に手掛けていてB-2ではリードボーカルをとったりしている。Bert Janschのフリーフォームでフリーキーなギタープレイに多大な魅力と才能を感じている私だがLoren Auerbach作品では徹底的に堅実なサポートに徹しているのもよい。Bert janschの提供曲D-3「is it real?」はBert Janschバージョンもあるので聴き比べるのも面白い。

未発表音源を集めたLP3もオリジナルアルバム2作にも通じる作風ではあるがシンセや派手なエフェクトを使ったギターソロ、手打ちのドラムマシンなどを使ったアレンジが奇妙なアンバランスさと未発表感を生んでいる。F-3「Man Of The World」なんかはインディーのギターポップみたいだが途中から場違いな感じのギターソロが割り込んでくる感じが新鮮ではあるがいろいろ惜しい。

Loren AuerbachとBert Janschは99年に結婚し2011年に共に癌で死去した。素晴らしい音楽を遺してくれた二人と最良の形で作品にしてくれたEarth Recordsに心から感謝する2022年の冬なんです。

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