家
ぬくぬくと日の出た午後だった。面白くもないテレビを聞き流しながら、狭い座敷に寝転がって外を見ていた。網戸のすぐ向こうを踏み固められただけの田舎道が横切り、そのさらに奥には実ったものが皆刈り取られた後の、広々した畑だけが広がっていた。
これは夢だなと思いながら横になっていた。枕にした薄い座布団も黒々と艶のある古い卓袱台も、小さな本箱に並ぶ背表紙たちも、横になったまますべて同時に視界に収まり、それぞれの手ざわりが瞬きするたび手のひらにくっきり思い出された。
星をぞろぞろ引き連れて、派手な色の服の人々が、後から後からまばらに歩いていた。足音も内緒話も、明るい日の下にあって影さえない静かな行進だった。
彼らはまっすぐ歩き、突然立ち止まり、あるいは向きを変え、空を仰ぎ、ふらふらとまた前へ進んだ。紙片のように風に転がり、猫の尾のように揺らめいて、綿毛のように舞い上がった。
私のひそめた息さえ聞こえるだろう距離に立って、網戸越しにこちらをぼうっと見ていく者もあった。
間にはほんの頼りないほどの空間が遮るだけだったが、決して視線は交わらなかった。彼らの目は逆光の中でもさらに暗く、それでいてその濃い暗がりの中に、どこかほかのところを見つめていることがありありとうかがえた。
こういうことはみんな、何十年も前に書かれているんですね、という識者の言葉に、まだ若い司会者が相槌を打った。危険なことは何もありません。
ちょうど近所の子どもらくらいの幼い子を引き連れて、母親らしいひとりが通り過ぎていった。ただ滑るように重みのない、深く沈み込んでいくように静かな足取りだった。
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