腐女子の暗黒騎士


※暗黒騎士のジョブクエ50レベルまでのネタバレ
※これまでとは違って腐女子としての感想になりますのでお気をつけください。


「暗黒騎士のジョブクエはストーリーがいいからぜひやってみてほしい」
友人たちが口をそろえて言う言葉だ。
タンクには苦手意識があったが、ストーリーをおすすめされると読みたくなるのがオタクというものである。蒼天のイシュガルドが終わったあたりで、小隊頼りに手を出した。

暗黒騎士のストーリーはほとんど顔も過去もわからないフレイという男性との二人三脚で話が進んでいく。

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暗黒騎士という名にふさわしい闇の力の扱い方を覚えつつ、彼の中の闇の声を聴いて、その声が誰なのかクイズなどをさせられる。なんだか少し面倒くさい彼女みたいな男だった。 

しかし彼は突然爆弾を落としてきた。

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「受けだな…」

とても自然にその言葉が出てきて驚いた。
FF14をそういった目線で見たことはこれまで一度もなかった。いやそれは嘘だけれども。ルイゾワを失ったあとにサンクレッドが一人称を「オレ」に変えて頑張っていたという情報を聞いた時に「ここにきて受けみたいな情報出してくるな」と呟いたことはあった。しかしそれだけだ。主人公攻め派である腐女子にとって、主人公が名前を持たない自キャラであるゲームというのは正直、そういった意味では相性が悪かった。

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いやしかし、これはどう見ても受けだ。唯一と思う男がいて、その男を守れなかったのは受け。残される男は受け。私のnoteなので私の主観で受け攻めを判断させてもらうがこれは受け。
しかも話を聞いてるとほかの人のために行ってしまう相手の男、だいぶ光の男という気配がする。世界と一人を天秤にかけて世界を選んでしまう男、かなり好きな攻めの傾向だ。もっと詳しく教えてほしい。しかしそんな理想的な攻めとこれまでエオルゼアで出会った記憶がさっぱりない。フレイも救えなかったと言っているのでおそらくもう死んでしまったのだろうが、ぜひとも生きているうちに出会いたかった。ジョブクエの残り話数を考えるとフレイの過去の男までがっつりと追ってくれる気はしなかった。

やだやだ~二人きりで旅する攻めと受け、そして置いていかれる受けについて詳しく知りたい~!

腐女子の駄々をこねながら、タンクへの苦手意識も忘れ、私はその日のうちに10レベルほどあげた。どうやらフレイはリヴァイアサン討伐に参加していたらしい。全く記憶にない。どうやら理想的な攻めもそこにいたらしい。全く記憶にない。そもそもリヴァイアサンをどういう流れで討伐しなきゃいけなかったのかもうろ覚えだった。そんな理想的な攻めがいて気付かないわけがないのに。


フレイは私が人助けをするたびに不満げではあったが、ついにここで私を英雄としてあがめていいように利用する人々へキレはじめる。過去の攻めが同じように利用されてきたことに憎しみがあるのかもしれないが、私は彼の攻めじゃないのでなんだか私以上にキレている受けの男に戸惑いがあった。

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しかしなんというか…

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完全に昔の男と重ねられている。


でも怒った時に敬語が崩れる男、めちゃくちゃ受けって感じがするな…


この辺は正直フレイの受け具合に興奮していてあまり真面目に話を聞いていなかったので、気が付いたら駆け落ちに誘われていた。

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えっ?もしかして私が第二の攻め?過去の攻めの後を引き継ぐ攻め?

でも私は英雄なのでエオルゼアから離れるわけにはいかないだろう。メタなことを言えばメインストーリーもまだまだ続くし、かわいそうだがフる以外の選択肢はないように思えた。
友人にラインで相談した。

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絶好調の腐女子である。

続きが気になりすぎてその日のうちにさらに5レべほどあげた。知らない人とCF行くの怖いとか言ってレベリングルーレットをサボっている人間とは思えない。腐女子はこういう時だけ元気がいい。
駆け落ちをどう断るのだろうとワクワクしながら50レベのジョブクエに入った。 

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いつの間にか駆け落ちすることになっていた。

えっ英雄なのに駆け落ちしちゃうの?そんなことある?断らないの?マジ?やっぱり私が第二の攻め?

混乱と興奮の合間で動揺したが、話を進めないことには何もわからない。まさか駆け落ちしてしまうことはないだろうが、と思いつつ待ち合わせ場所に向かう。
けれど待ち合わせ場所で呼びかける私に反応したのはフレイじゃなかった。

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まって

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うそ

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行っちゃうの?

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「ひどい攻めだ~~~~~!!!!!」


めちゃくちゃにはしゃいだ声を出してしまった。
受けの気持ちを振り切って万人の光となってしまう攻め、非常に食べ覚えがある。pixivで小説を読んでいる気持ちになってびっくりするほどドキドキしてしまった。
私は自キャラでカップリングを作れるタイプの腐女子ではないが、攻めとしてあまりに理想的な行動だ。すごい。とんでもないことになってきた。私が攻めであることだけが惜しい。これが名前のある別の男だったらたぶんpixivで検索していた。
しかし、さっさと頼みごとを片付けて再び待ち合わせ場所に向かおうとする私の耳にとんでもない情報が飛び込んできた。

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や、ヤンデレ受けだ…

まずいことになった。予想よりフレイがヤンデレ受けだった。とはいっても私は英雄なのでやっぱり彼の気持ちには答えてあげることができない。一度駆け落ちを了承した手前申し訳ないが、どうにか諦めてもらうほかないだろう。なんであそこで駆け落ちしかけたんだろう。あれがまずかった。優しいがゆえのひどい攻め度をあげてしまった。最高。

辿り着いた先、友を失ってから現実を直視したくなくて一度も訪れていなかったキャンプ・ドラゴンヘッドが地獄絵図と化していた。ごめん私がひどい攻めだったばかりに…心の友にそう謝りながらフレイと対峙する。

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え?

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そんなことある????

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私が受けで私が攻め?????


あまりのことに5分ほど宙を眺めてしまった。突然手に持っていた攻めと受けを一気に奪われたかのような、いやそもそもそんなものは最初からもっていなかったことに気づいてしまった、今まで感じたことのない不思議な感覚だった。彼が私なのだとしたら、世界を選んでフレイを置いていった光の男も私ということになる。第二の攻めどころか第一の攻めも私だった。しかし受けも私だった。何を言っているのかわからない。ここには私しかいなかったのだ。攻めも受けもいないのに一人きりでずっとはしゃいでいた。そんな悲しいことがあるだろうか。私はピエロだ。
いやしかし、言われてみればそんな気配はあちこちにあった。びっくりするほどあった。確かに彼が私ならずっとともに旅をしてきただろうし、雰囲気は似ているだろうし、リヴァイアサン討伐にも参加している。英雄の私はまさに、世界のために生きてしまう光の男である。なぜ全く脳裏によぎらなかったのか不思議なくらいだ。そもそも声の主もフレイだったわけだし。まぁ受けだと思ってはしゃいでちゃんと読んでなかったせいだけど。

勘違いをさせては申し訳ないが、これはあくまで腐女子の私が顔を出したせいで感情がめちゃくちゃになってしまっただけであり、暗黒騎士のジョブクエのストーリーは非常にいい。新生エオルゼアからずっと望んでもいないおつかいを受けさせられ続けた光の戦士たちの心情に迫るストーリーだ。助けたくない人だっていた。それでも私は英雄だから助けなきゃいけない。フレイはその私の気持ちで、まさにもう一人の私だった。けれどもう脳みそが腐女子としてジョブクエを見ていてしまったので受けが私であったことを冷静に受け止められなかった。人生で自分が攻めになって同時に受けになることある?私はあります。

ストーリーが終わったあと、友人に「どうだった?」と聞かれた。受けが私だった…、という感想しか出て来なかったが、私が腐女子であることを知らない相手にそれを伝えるわけにはいかない。なんとか「何も気づけなかったから驚いた」と絞り出すと驚かれた。そりゃそうだ。伏線しかなかった。私も腐女子でなければ早い段階でフレイが自分だと気づけたと思う。こんなにも受けの行動をとる男が主人公の一部だとは思えなかった。こんなに受けみたいな喋り方するとも思っていなかったし。しかしきっとそれが私の敗因である。 生まれて初めて幻覚のカップリングに出会い、自分の腐女子としての限界と視野の狭さに触れ、暗黒騎士50以降のストーリーに続くかもしれない。

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