バンパーについて
こんにちは、低男産業です。今回は現在のミニ四駆競技でよく使われているバンパーの種類や特徴について紹介していきたいと思います。
バンパーは車体とローラーを繋ぐ為の重要な部分ですので、ミニ四駆を始めたばかりという方は是非読んでみてください。バンパーによって様々な特性があり、それらを上手く使い分ける事によってセッティングの幅が大きく広がると思います。
①リジッドバンパー
ミニ四駆の基本的なバンパーがリジッドバンパーです。 これはギミック(可動)等は無しのバンパーの事で、固定バンパーとも呼ばれています。
リジッドバンパーの特徴としてコーナリングの際にローラーがどの方向にも逃げないので一番スムーズにコーナーを曲がる事が出来、特に連続コーナーやウェーブセクションなどの左右に切り返すコーナーを速く走りやすいという事が挙げられます。またギミックが無いので、逆に言うと一番シンプルな構造で部品点数が少ないので、マシンの重量を抑える事が出来ます。
ミニ四駆のギミックの基本的な考え方についてなのですが、ギミックを追加すると部品点数の増加と可動によるロスが起きるのでマシンは遅くなります。ギミック改造をする際は、速度が落ちる事を前提にし必要最低限を取り入れていきましょう。またいっぺんに複数のギミックを取り入れてしまうとそれぞれのギミックの効果がわかりにくくなってしまうので、1個ずつ走りの良し悪しを検証してから追加していく事をオススメします。
リジッドバンパーにも弱点があり、デジタルカーブやロッキングストレートのように横方向に強い衝撃がかかるセクションやコースの継ぎ目で減速が大きいです。JCJCと呼ばれる家庭用や常設コースで用いられる3レーンコースは、コース同士がきっちり接続されるのであまり影響は無いのですが、公認競技会で使用される5レーンコースではコース間の接続部に逆走防止用の路面段差が付けられており、どうしても上下左右に段差が出来ます。ですのでリジッドバンパーだと普通のストレートやコーナーの段差でも減速しやすく、コース接続が1箇所でもズレていれば5レーンの場合は5周ともその部分でタイムロスしてしまう事になりますので、タイムを縮めるのが難しくなります。この辺りが公認競技会の上位マシンでリジッドバンパーのマシンが少ない理由となっています。
FRPであれば安価で簡単に作る事も出来るので、ミニ四駆を始めたばかりの方はまずリジッドバンパーから始めてみましょう。
②スライドダンパー
スライドダンパーはバネの力で横方向にスライドするバンパーです。スライド機能により横方向の衝撃に強いのでコースの壁段差やデジタルカーブでの減速を少なくできるのが特徴です。今は5レーンでの競技においては必須パーツとも言われていて、特殊なセクションがある時を除き基本的にはスライドダンパーを付けるのが公認競技会では定石となっています。古くは90年代2次ブームの時期にもスライドを使用して入賞した選手もいましたが、近年では2012年頃から全国的に流行し始めたように思います。
スライドダンパーのセッティングはバネやグリスの種類を使い分けて速度や姿勢を調節する事が基本となります。タミヤから「ミニ四駆スライドダンパースプリングセット」と「ミニ四駆スライドダンパー2スプリングセット」などが発売されていて、バネは全部で4種類ありそれぞれ強弱が異なります。バネが弱いと衝撃吸収性能は良くなりますが、その分コーナリング時に深く沈みこむので、車体の横方向への動きが大きくなりタイヤの横グリップが発生し速度が落ちます。ですのでコースによって衝撃吸収に必要なバネの強さを考え、必要以上にコーナーで遅くならないようなバネを選択してセッティングするのが肝となります。
スライドダンパーで初心者の方がよく陥りがちな事として、スライド可動後にバンパーが戻らず元の位置に収まらない事があります。これは取り付け部分の締めが強い事が原因な事が多く、締めを多少緩めれば戻りが良くなります。ただし緩めすぎるとガタが出るので、ガタが出ずにきちんと元の位置に戻るように少しずつビスの締めを調節していきましょう。
前後バンパー共スライドダンパーにする場合、上級者の方は前後のバネの強さを変えてマシンの走行姿勢を調整する事もあるのですが、逆にマシンが不安定になる事もあるので初心者の方やスライドを初めて使う方はまずは前後共同じ種類のバネにしてセッティングを始める事をオススメします。
スライドダンパーの難点としてバネ受け用のプレートを使う必要がある為にどうしてもローラーの位置が高くなりやすいという点があります。ローラーが高くて不安定になってしまう場合は土台を低くしてローラー位置を下げる等の工夫が必要となります。またスライドダンパーはタミヤから発売されている既成品パーツではなく、FRPやカーボンのプレートを使用して自作で作る事も出来ます。自作の場合は自分の好みの形状に作成出来るのがメリットですが、精度良くスムーズに動くように作るのが非常に難しいのである程度数をこなす必要があるでしょう。
既製品のカーボンスライドについては、チャンピオンズ特別表彰選手のRyu-1選手がnoteで作り方やセッティング方法を紹介されています。実績ある選手の作り方は参考になる部分が多く、初心者から上級者までオススメの記事です。
↓ドラゴン1選手のnote記事(スライド編)↓
③ピボットバンパー
これはバンパーの端に支点を作り、そこを中心にローラーステーが後ろ方向に逃げるような動きをするギミックのバンパーになります。ローラーが後ろに動く事により、高速でコーナーギリギリまでジャンプをしても衝撃を吸収して入りやすくなる効果があります。ねじ込むようにコースに入れる事に特化したバンパーなので、スピード重視のレーサーの方がよく使用しているイメージがあります。
コースへのねじ込みやすさ以外にもロッキングセクションが速いという特徴があり、ロッキングストレートが使用されたジャパンカップ2018ではほとんどの上位入賞マシンにピボットバンパーが取り入れられていました。またバンパーの支点の下にローラーステーを取り付けられる事により、ローラー位置を下げやすくなる事もメリットです。
現在主流なのは可動部分にローラー用のゴムリングを巻いて固定する作り方ですが、カーボンを自作してバネ式のピボットにしたり、スライドと併用してスライドピボットにする方もいます。 スライドピボットは稼働箇所が多いので扱いがとても難しく、かなり上級者向け改造であると言えます。
ピボットの難点としては19mmや17mmローラーなどの大径ローラーを付けると可動した際にタイヤに干渉してしまうので、ほとんどの場合は小径ローラーの選択肢しか無くなってしまう事です。極端に前寄りにバンパーを付ければ大径ローラーでもタイヤに干渉せずに取り付け可能ではありますが、ローラー位置を前寄りにするとそもそもの利点であるねじ込みやすさを殺してしまう事になります。タイヤへの干渉のしやすさからワイドトレッドのタイヤとも相性が悪いです。
またゴムリングで固定して作る場合、常にテンションが掛かっているので切れやすい点に注意が必要です。しばらくマシンを走らせずにしまって放置している状態でもゴムが切れている事があるのでこまめにチェックしておきましょう。
④ATバンパー&1軸アンカー
これはバンパー自体をバネで支えるように取り付ける事で上下の可動が出来るギミックでAT(オートトラック)バンパーと呼ばれています。近年とても流行している改造で、従来型の上下可動の無いバンパーではジャンプ後にコースフェンスに乗り上げてそのまま横転してしまったり、乗り上げ後のコース復帰が間に合わずコースアウトする事がとても多かったです。ATバンパーはバンパー自体が上下に動く事でコースフェンスに乗り上げた際のコース復帰率を上げる効果があります。乗り上げ後の復帰速度も速くなるので、高速化が進んでいる現在の立体ミニ四駆シーンでは必須改造になってきているかもしれません。
フロント側は基本的にはバネを2点止めにする事で横ブレを防いで作るのが一般的です。ATバンパーについてはバネのみでバンパーを支える為、支える力が弱いとローラーが上を向いてしまうアッパースラストになりやすい点に注意です。また軸部分が摩耗してしまうとすぐにガタが出てしまうのでこまめに軸部分のパーツを交換する必要もあります。
更にリア側でよく使われる「1軸アンカー」と言われる改造もあり、これはバンパー可動軸が真ん中1点のみで支えられて、理論上可動量を最も多く取る事が出来る上に部品点数削減も兼ねているというとても合理的な改造です。
1軸アンカーを流行らせたレーサーの一人である現チャンピオンズshige選手がnoteで作り方やセッティング方法を紹介されているので興味のある方は是非読んでみて下さい、とても参考になると思います。
↓shige選手のnote記事(アンカー編)↓
以上バンパーについていくつかご紹介させて頂きましたが、バンパーにも様々な特性があるのでメリット・デメリットを考えながらご自身の得意分野や走りのスタイルに合う改造をしてみて下さい(^^) 最後までお読み頂きありがとうございました。これからも低男産業noteをよろしくお願いします。
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