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2023年 Jリーグ観戦メモ 〜川崎フロンターレ編〜

J1リーグ 第1節
vs横浜FM
1-2(0-1,1-1)

J1リーグの開幕戦。金Jで唯一の開催となった昨シーズン1位と2位の対戦。川崎は復帰した宮代がワントップでスタメン。後は昨シーズンのメンバーがベースとなった。横浜は前週のスーパーカップから1人を変更。右SBに松原が復帰した。

立ち上がりから激しく川崎へ襲いかかる横浜FM。川崎のボール保持に対して敵陣から激しいプレスをかけると、川崎は自陣で完全に窒息。その中でソンリョンのパスがミスになり、西村がそれを見逃さずゴールへ流し込み先制。開始4分、横浜FMが理想的な展開で先手を取った。

川崎はマルシーニョのスピードを生かして状況の打開を図るしかないように見えたが、何度か背後を取りペナルティエリアに進入できると、10分過ぎから少しずつ息ができるように。以降は川崎がボールを持って横浜FM陣内へ押し込む展開となり、遠野や宮代に決定機が訪れた。

しかし得点までは至らない川崎。横浜FMは耐える展開の中、38分コーナーキックからエウベルで追加点。効果的に得点を奪った横浜FMが2点のリードで前半を折り返した。

川崎は家長に代えて瀬川を投入。入りからペースアップを見せる。その瀬川のクロスに遠野がヘディングで合わせる決定機をはじめいくつかチャンスを作った川崎。

そのまま川崎がボールを持つ時間が長くなるが、横浜FMも自陣できっちり守備を見せ川崎にチャンスを与えない。

車屋が負傷して大南が入った後は前半から見せていた山根が中盤のエリアでボールを引き出す動きが急増。この形がシーズンがどのくらい進んだところで様になるかが序盤の注目ポイントになるであろう。

次第に横浜FMが交代選手の圧力で押し返す時間を作り始めると、一瞬の隙をついてマルコスが抜け出しジェジエウのDOGSOを誘発。

2点ビハインドで数的不利になった川崎だったが、91分に佐々木の突破からのクロスに橘田が合わせてホームチームの意地を見せた。

試合は1-2。横浜FMが貫禄の勝利で良いスタートを切った。川崎はチャンスはいくつか作ったものの、試合の入りに失敗し、自分たちでゲームをコントロールすることができず敗戦となった。


J1リーグ 第2節
vs鹿島
2-1(0-1,2-0)

ホーム開幕戦となる鹿島。勝利した京都戦からメンバー変更はなし。対照的に川崎は出場停止と負傷の影響でメンバーを4人変更。最終ラインは山根以外の3人が変わるという厳しい状態でのアウェイゲームとなった。

立ち上がりにいきなり山村のパスを知念が引っ掛けて鹿島にチャンス。川崎は左サイドバックの橘田が内に入り大南が外に出るビルドアップの形を披露した。

先制点は鹿島。鈴木のクロスに知念がヘディングで合わせてゴールとなった。川崎のセンターバック山村大南は知念を間に置いてしまい、アプローチができず、クロッサーの鈴木にも誰をアプローチをすることができず、なす術なくやられてしまった。

失点後の川崎は、鹿島の中盤を動かして背中を取る王道パターンで何度かペナルティエリアの中に進入することができていた。しかし、少しズレたところで鹿島にボールを奪われると、うまくファウルをもらわれてしまい、息継ぎのタイミングを与えてしまっていた。次第に膠着状態となり鹿島としては狙い通りの展開に持ち込むことができていたのではないだろうか。

終盤、山村にシュートのチャンスが来るなどゴールを脅かすシーンを作ったが、鹿島が1点リードで折り返すこととなった。

後半も試合の大枠は変わらず。川崎がボールを保持する展開。前半同様なかなかチャンスを作ることができない川崎を尻目にコーナーキックから決定機を作る鹿島。
川崎は痺れを切らしてシミッチに代えて佐々木を投入。これで少しずつ流れを変えた川崎だったが、少しのズレでチャンスにつながらず鹿島に息をする暇を与えてしまっていた。

終盤、仲間の抜け出しを止めた山村がDOGSOで退場し、三たび10人となった川崎だったが、ここから信じられないドラマが生まれた。

89分、コーナーキックから家長のボレーを山田が押し込んで同点に追いつくと、攻め続ける川崎が山根のクロスから遠野、橘田のシュートの嵐を浴びせ荒木のハンドを誘発しPKを獲得。一度は早川に止められたものの、ラインから出ていたためにやり直しとなったPKを2度目で冷静に家長が沈めて逆転。

同じく10人となった鹿島の反撃を許さず、時間を消化した川崎がそのまま勝利。厳しい厳しい試合を大逆転でものにし、今シーズン初勝利を挙げた。

鹿島は早々に先制点を奪い、のらりくらりと川崎をいなす理想的な展開に持ち込むことができたが、痛恨の逆転負けとなった。しかし、佐野海舟は今まで見てきた通り、ボールの回収と展開力を見せていたし、常本は相変わらずの対人の強さでマルシーニョをシャットアウト。自分たちから意図的にどうやって相手を崩して点を奪うのかがポイントになりそうだが、非常に厄介なチームであることには変わりがないという印象を受けた。


J1リーグ 第3節
vs湘南
1-1(0-0,1-1)

ホーム初勝利を目指す川崎だったが、湘南の圧力を真正面から受け、入りに失敗した。

湘南の2トップ+2インサイドハーフでのプレスに苦しみ、ペナルティエリア内でボールを奪われるなど自陣に押し込まれる展開となった。

湘南としては襲いかかった立ち上がりの中で得点を奪いたかったことだっただろう。

10分を過ぎたところで川崎が自陣から前進し、家長のクロスからチャンスを作ると少しずつ試合が落ち着いていった。川崎が細かいパスで押し込む時間も増え一進一退と言える展開となった。

川崎は大島が前線で絡んだ時は得点の匂いがする崩しが生まれそうであった。宮代はシュートを何本か放つことができた。

湘南は背後への裏抜けに加え、前線に入る小野瀬がアクセント。左サイドの畑も何度もサイドを突破しクロスを上げた。

終盤は互いに決定機が。特に湘南平岡のヘディングは1点ものだった。ギリギリでソンリョンが手を出しスコアレスで前半を折り返した。

後半開始で脇坂に代えて瀬川を投入した川崎。しかし再びセンターバックにアクシデント。ジェジエウが左足を負傷し松長根を投入。松長根はプロデビュー戦はスクランブルでの出場となった。

試合はアウェイチームの先制点で動き出す。右サイドで永木が家長との1on1を制してクロスを上げると、待っていた平岡が冷静に切り返し右足でゴールネットを揺らした。

負傷の大橋に代わって出場した平岡が監督の期待に見事に応えた。

先制点を許した川崎はなかなかチャンスが作れずにいると、遠野と山田を投入したタイミングで3バックに変更。この変更によって中にポジションを取ることができるようになった瀬川が81分に同点ゴールを挙げた。

大島のパスを起点に真ん中を破ったゴールだった。大島のパスを受けた瀬川から山田へのパスが相手に当たって戻ってきた運もあったが、動きを止めなかった瀬川の見事なゴールだった。

アディショナルタイムには川崎が波状攻撃から山田の決定的なヘディングシュートが生まれたが、枠を捉えられず、試合は1-1でのドローゲームとなった。

試合全体では湘南のペースという時間が長かったように感じたが、今年の川崎は粘りの川崎。執念の粘りで勝点1を獲得した。

その粘りを生み出したのは最終ラインの大南と佐々木の奮闘だった。特に大南は自身の強みを発揮しやすい相手に対して抜群の安定感でピンチの芽を摘んでいた。


J1リーグ 第4節
vs新潟
0-1(0-1,0-0)

昇格組の新潟と昨シーズン2位の川崎の試合。前半は新潟が川崎を上回った。全体的にボールを持つ時間は川崎の方が長かったが、4-4-2のブロックで川崎のパスがずれたところでボールを奪って効率的に攻撃に転じていた。

ロングカウンターもあればショートカウンターもあるという中で、前半22分に敵陣で奪ったボールを伊藤がペナ角からゴールに突き刺して先制を果たした。

これで4試合連続で先制点を許した川崎。この試合は右サイドから何回か崩してペナルティエリアには進入していたが、決定機と呼べるチャンスは終了間際の宮代のシュートぐらいだったか。

ボールを奪うことに関しても新潟のビルドアップが上回っており、様々な局面で新潟に後手を引く展開となっていた。

前半はホームの新潟が1点リードで折り返すこととなった。

川崎は後半開始で山村に代えて松長根を投入。

立ち上がりに右サイドの崩しから山根のシュート。そのまま新潟陣で押し込む川崎だが、新潟もカウンターという武器を発揮。一度のカウンターでシュートまで持ち込むと、流れはまた新潟に。カウンターやフリーキックで川崎のゴールを立て続けに脅かした。ただなかなか追加点が奪えない。

流れが掴めない川崎は早々にシミッチと山田を投入の非常事態。しかし、選手を代えても流れは変わらない。頼みの綱もセットプレーでもマルシーニョが決定的なヘディングシュートを放つもキーパーの正面となり、不発。

終盤はボールを持って試合を殺しにかかった新潟が、シュートまで持ち込みながら時間の消化に成功。追加点を奪うことができなかったが、川崎相手に内容の伴った試合を最後まで展開した新潟が快勝。

川崎は粘りを発揮することができず、なす術なく敗戦となってしまった。


J1リーグ 第5節
vsC大阪
0-0(0-0,0-0)

川崎のトピックは千葉から復帰の田邉であろう。緊急事態により、復帰となったが早速スタメンでの出場となった。セレッソは前節から変更なし。良い流れを継続したいといったところか。

立ち上がりは川崎がボールを持つ展開。自陣での運び出しが危ういシーンがあったものの、そこを越えれば敵陣で何度もボールを回収し、押し込むことができていた。

左サイドからの崩しでチャナティップや家長のシュートもあり、いくつかのチャンスも作った。

次第に試合は落ち着きセレッソがボールを持つ時間も長くなっていった。その中で、左サイドの山中のクロスから二度決定的なチャンスが生まれた。

互いにそれ以外のチャンスシーンはなく、川崎がマルシーニョのカウンターを発動しかけるシーンもあったが、スコアレスが妥当な前半だった。

後半が始まって10分までは膠着状態。川崎が敵陣でボールを奪取して山田がシュートを放つが、自分たちから意図したチャンスを作ることはなかなかできなかった。

中盤以降、川崎がボールを持ち、セレッソがカウンターを狙う展開になり、セレッソに大きな決定機が一つ。川崎にもゴールを狙えるチャンスが何度かあったが、得点は入らず。両者にとって妥当なドローゲームとなった。

川崎は攻撃の終わり方が未だ見えず。困って上げるクロスではなかなか得点は奪えないだろう。セレッソは昨シーズンからの継続で着実な試合運びが印象的だった。アウェイということもあってかスローな展開で試合を膠着させることに成功した。


ルヴァン杯 GS第2節
vs湘南
0-0(0-0,0-0)

3月の間で2度の対戦となったこのカード。メンバー構成を見ても、両チームともにリーグ戦と同じような位置付けで臨んだゲームとなった。

前半はどちらのペースとも言い難い内容だった。ともに自分たちのペースの中で意図的にチャンスを作るというよりは、流れの中で生まれたチャンスが多かったように感じた。

序盤は川崎が長いボールを使ったマルシーニョの抜け出しや敵陣でのボール奪取からのショートカウンターで惜しいシュートを放つシーンが多かった。

中盤以降は川崎の自陣でのパスミスから湘南がいくつかのチャンスを作りシュートを放った。

しかし、互いにスコアを動かすことはできず、0-0での折り返しとなった。

後半も膠着状態が続いた。前半に比べれば川崎がボールを持つ時間が長かったように思うが、決定的なチャンスというものはそれほど多くはなかった。右サイドのクロスにマルシーニョが合わせる決定的なチャンスは一つあったが、富居のビックセーブがこれを凌いだ。

湘南もカウンターから終盤にビックチャンスを作ったが、シュートは枠の外。

交代選手の投入でも互いに流れに大きな変化はなく、スコアレスのまま試合終了となった。

川崎にとっては3月最後の試合も厳しい内容となった。ここからどのように立て直しを図るのか、非常に重要な局面を迎えているように感じる。


J1リーグ 第6節
vs札幌
4-3(3-2,1-1)

前半からこの両チームの戦いらしく壮絶な撃ち合いとなった。

先手を取ったのは札幌。セットプレーの流れから金子が右サイドを突破してクロス。クロスに岡村が合わせて先制点を挙げた。

対する川崎は4-4-2の右サイドに位置する山田の背後への抜け出しに、札幌の守備陣が対応を誤り宮代がこぼれ球を押し込んで同点。

その後も札幌が勝ち越し点を挙げると前半のうちに川崎が逆転し、2-3の前半となった。

川崎は札幌のオールコートマンツーマンに苦しみながらもサイドから斜めに入ってくる山田の抜け出しからチャンスを作り、その少ないチャンスで効率良く得点を挙げていった。

後半になると川崎がペースを掴み、敵陣でのプレー機会を増やしていった。しかし、得点を取ったのは札幌。セットプレーから後半に投入されたキムゴンヒが見事なヘディングシュートを決めた。

その後、試合はオープンになり、両チームともにプレーの正確性に欠き、チャンスを得点機会に繋げることができていなかった。交代選手も投入しながら何とか状況の打開を図っていると、田邉のクロスに瀬川が合わせ、川崎が勝ち越し。

ダミアンと小林もペナルティエリアにいた中で、一番手前の瀬川がうまくフリーになった。

最後は小林が負傷で10人になりながら耐えた川崎が今シーズン2勝目を挙げた。


J1リーグ 第7節
vsG大阪
0-2(0-1,0-1)

ポヤトス新体制のガンバはリーグ戦ここまで3分3敗と勝利がない。同じく苦しむ川崎との対戦となった。

4-3-3のガンバと4-2-3-1の川崎という図式。互いに保持から作りたい意図が見える中、ボールを持つ時間が長かったのは川崎だった。短いパスがライン間に入り、右サイドを中心に深い位置までの進入ができていた。

しかし、最後の崩しのアイデアと精度に欠き、ゴールの期待感があるフィニッシュがなかなかできなかった。

ガンバも左サイドの黒川とアラーノの期待感はあったものの、ペースを掴んでいるとは言い難い展開だった。

その中で、ガンバがアンカーのラヴィからライン間で待つダワンにパスが通り、そこからのクロスで決定的なチャンスを作ると、その流れのコーナーキックからダワンが先制点を挙げた。

前半はこのままガンバの1点リードで終わった。

後半に臨むにあたりメンバー変更は特に見られなかったが、川崎はミスが多くペースを掴めず。すると、ガンバがアラーノのミドルシュートで追加点を挙げた。この得点もライン間でダワンが受けてからの展開だった。

その後はカウンターの対応で車屋が2枚目のイエローで退場。終盤には田邉が負傷し、最終的に9人で戦うこととなった川崎。何とかガンバの追加点を防ぎ、2-0のまま試合を終わらせることができた。

ガンバは嬉しい今シーズンのリーグ戦初勝利。川崎は札幌戦の勝利とルヴァン浦和戦の流れを継続することができず、妥当な敗戦を喫した。

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