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山口ペイトリオッツ 挑戦の軌跡 #16

GAME1
豊田合成93-104山口
(25-21,26-20,25-30,17-40)

GAME1のスターティングファイブ、山口は前節と同じ64.井手、0.山田、11.山口、12.サンプソン、7.エヴァンス。豊田合成は17.隅廣、71.東、3.藤田、21.ビルップス、24.ウォルフィンガーとなった。

立ち上がり、山口のディフェンスがいつもより激しいように見えた。ボールマンに対して近い距離を保ち、相手のピックに対してもスイッチも使いながら自由を与えていなかった。そうしたディフェンスから走る展開で12.サンプソンや0.山田の得点が生まれていた。ただ、次第に豊田合成も山口ディフェンスに対応していった。21.ビルップスのローポストを起点に12.サンプソンを押し込んでゴール下での得点を積み重ねていった。24.ウォルフィンガーも含めて山口のセンタープレーヤーよりも強さがあるため、インサイドで押し込むオフェンスが有効だった。21.ビルップスは1Qで11得点を挙げチームを引っ張った。山口はアウトサイドからのシュートの確率が上がっていなかったが、オフェンスリバウンドでつないでいた。

豊田合成が1Qの終盤で逆転し25-21とリードを奪った。

2Qは豊田合成のオフェンスが炸裂した。1Qの21.ビルップスのインサイドでのポストプレーが効いたのか、山口ディフェンスが豊田合成のガード陣に1Qほどプレッシャーをかけているようには見えなかった。豊田合成のガード陣と21.ビルップスのピックアンドロールが効果を発揮し始めていた。その中で21.ビルップスが内外から得点を挙げ、山口を突き放していった。2Q序盤で10得点を奪い37-31とするとその後はガード陣の得点が続いた。中でも71.東が8得点の活躍を見せたのが印象的だった。山口はなかなかシュートが決まらず、ディフェンスも的を絞れない中で、0.山田のミドルやオフェンスリバウンドでつないでいく展開に。

2Qも豊田合成が山口を上回り51-41と10点差で折り返すこととなった。


3Qは山口がゾーンディフェンスを敢行したように見えた。人を意識しながらのゾーンといった感じで豊田合成を撹乱しようとしたのかもしれない。それでも豊田合成は21.ビルップスのローポストを中心にオフェンスを組み立てる意識は変わっていなかった。もちろん山口はゾーン気味なので、ゾーンの間を攻める意識はあったが、オフェンスの大枠はそれほど変わっていたわけではなかったと思う。ゾーンに変わったこともあったのか、24.ウォルフィンガーの得点も増えていった。3Qの中盤で16得点差まで開いたように豊田合成が押していたクウォーターだったことは間違いない。それでも山口は食らいつく姿勢は失っていなかった。これといったパターンではなく、その局面で必要なプレーからの得点が多かった印象である。0.山田や12.サンプソン、7.エヴァンスといった取るべき選手が得点を取り、スコアとしては76-64と12点差に開いたが、12点差で何とか乗り切ったクウォーターとなった。

4Q、ついに山口の我慢が実を結んだ。21.ビルップスのローポストにはトリプルチーム気味に圧力をかけ、ターンオーバーを誘発。24.ウォルフィンガーのポストにもダブルチームで守りシュートを落とさせることに成功。山口のディフェンスがうまくいき始めたことで山口の速い展開が火を拭く形になった。4Qの入りから0-12のランで試合をひっくり返すと、21.ビルップスの連続得点で再逆転をされた後も0-7のランで再々逆転をして見せた。ポイントは21.ビルップスをインサイドから追いやったことだった。終盤は彼のスリーポイントで追い上げられたが、豊田合成はインサイドの起点が一つなくなったことで、彼だけのオフェンスになってしまった感は否めなかった。やはり良いディフェンスから速い展開が山口のストロングポイントなのであろう。4Qは豊田合成を圧倒。3Qまでは全て豊田合成のクウォーターだったが、4Qだけで試合をひっくり返した。

最終スコアは93-104、4Qで40得点を挙げた山口がアウェイで先勝を果たした。


GAME2 
豊田合成91-94山口
(25-24,27-17,22-24,17-29)

山口先勝で迎えたGAME2、両チームともに同じスターティングファイブとなった。試合はゲームチェンジを繰り返す一進一退の攻防になった。豊田合成はGAME1と同様インサイドプレーヤーのポストプレーを起点にしつつ、この試合は17.隅廣のゲームコントロールも光っていた。彼が序盤で4得点を挙げるなどGAME1とは違うところを見せようとしていたように思う。山口は、ボールムーブが前日よりも良く見えた。特に、11.山口のドライブをきっかけに生まれた0.山田のスリーポイントは非常に形が良かった。また、GAME1でスターティングファイブにプレータイムが偏ったことが影響したのか、セカンドユニットの投入も早く、1Qで5.ミッター以外の選手がプレーしたことも印象に残った。

1Qは豊田合成が25-24と1点をリードして終えた。

2Qは豊田合成がリズムに乗る展開となった。その中で光ったのが10.柳内だった。チームオフェンスの中でうまくスペースを見つけ、パスを受けてからシュートという形が多く、インサイドのポストプレーに対し良いアクセントになっていた。2Qだけで3つのフィールドゴールを決め6得点の活躍となった。そして24.ウォルフィンガーもゴール下で存在感を発揮し、10得点の活躍でチームを引っ張った。山口は、中盤ターンオーバーを連発し豊田合成にイージーショットを決められる展開にしてしまった。最終盤に12.サンプソンのオフェンスリバウンドとフリースローで0-5の小さいランを見せたことで試合を繋いだが、2Qは27-17と10点のリードを許す形になった。

52-41のスコアで豊田合成がリードの前半となった。


3Qの出だし、山口が一気に追い上げを見せた。64.井手がオフェンスリバウンドからフリースローを1本沈めると、0.山田が2連続スティールから3得点、そして64.井手がドライブから2点を取り、0-6のランでの入りとなった。その後は、2ポゼッションから3ポゼッションの間を行ったり来たりする展開となった。豊田合成は強烈なインサイド陣と山口のゾーンに対するアウトサイドからのアプローチを使い分けるオフェンスが展開できていた。山口は7.エヴァンスのシュートタッチが良く彼を起点にしたオフェンスで得点を重ねていった。終盤、12.サンプソンや23.モーガンのペイント内からのシュートが落ちる一方で、71.東のスリーが決まり豊田合成が74-65と3ポゼッションの差をつけ、入りに失敗した3Qを乗り切った。

4Qも山口64.井手のスティールから入った。そして、64.井手のアシストから8.土居がゴール下のシュートを決めると、64.井手のプッシュからゴール下の7.エヴァンスに預け、キックアウトから再び8.土居がスリーポイントシュートを決めた。これで流れを掴んだ山口が12.サンプソンのブロックショットなどで豊田合成のオフェンスをシャットアウトし、走るバスケを展開した。中でも光ったのが64.井手だった。素速いボールプッシュで流れを作るだけではなく、そのままゴール下へのドライブからシュートを沈めて見せるなど、スコアラーとしても重要な役割を担った。オフィシャルタイムアウトに入る段階で2-16と山口が圧倒し、試合をひっくり返した。

しかし、ホームで連敗のできない豊田合成もオフィシャルタイムアウト明けに反撃を見せた。ここでもやはり21.ビルップスだった。ボールを受けると積極的にシュートを放ち3本のロングスリーを決め87-86と再逆転を果たすと、山口64.井手のユーロステップからのレイアップでの得点に対し、ポンプフェイクからゴール下でのシュート決め返し89-88のスコアに。

ゲーム最終盤でワンポゼッション差を巡る攻防となった。ここから山田がフリースローを2本決め、89-90。21.ビルップスが0.山田を相手にしたポストプレーで難なく2点を奪い91-90。

残り30秒での山口のオフェンス。タイムアウトは取らず流れのまま0.山田のゴール下へのアタックで相手ディフェンスを切り裂くと、このゲームの殊勲者64.井手がドライブからこの日20点目のシュートを決め91-92。

豊田合成はタイムアウトを取り、残り14.4秒で最後のオフェンス。こちらももちろん、選んだプレーは21.ビルップスのゴール下へのアタックだった。しかし、横から飛んできた12.サンプソンのブロックが気になったのかダンクシュートはリングに嫌われ、64.井手がリバウンドを確保。最後はゴール下へ走り込んだ12.サンプソンが井手からのパスを受けイージーショットを沈め、試合終了のブザーが鳴った。

最後はリードチェンジを繰り返す展開になったが、山口が前日に続き4Qで試合をひっくり返し連勝を飾った。


後半戦最初の試合は、非常に厳しい展開となったが、2試合とも4Qでの一気の追い上げで逆転勝利を収めた。どちらの試合も3Qまでの展開は反省点があるとは思うが、4Qでの粘りと爆発力からはこれぞ山口というバスケットを見せてもらった。スターティングファイブのプレータイムが長くなった2試合だったが、GAME1は0.山田が25得点、11.山口が20得点。GAME2は64.井手が20得点。スタメンのガード陣がチームを引っ張り12.サンプソンと7.エヴァンスに偏らないオフェンスが展開できた点が勝因だったように感じた。

シーズン開幕前の天皇杯で敗れ、開幕節で1勝1敗だった豊田合成相手にアウェイで連勝を果たすことができ、チームとしての成長を実感できるかもしれない。ただ、結果はいずれも紙一重で、内容も豊田合成が押し気味に進めていたことを考えれば、手放しで喜べる連戦ではなかったとも言えるであろう。

バイウィークまであと2節、対戦相手は前回連敗した八王子と岩手である。この2チーム相手にどのような試合を見せてくれるのか、胸を張って上位陣と戦えるぐらい成長していると言えるような内容と結果に期待したい。


*文中敬称略

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