ハチミツ二郎シングルファーザー日記 #4 じゃあ死んでやるよ！

2022年
2月1日（火）

朝、娘が学校に出る前に家を出る。
今日は福島で武藤敬司さんと街ブラロケ。
ふたり共、腰、膝が悪く、歩行困難なのでブラつかない。ブラなし。ブラなしの街ブラ。
近所に越した元妻に学校行くまでの娘の準備を頼む。

武藤さん、丸藤さんと楽しいロケ。
「武藤さん、今日は歩かせませんから！」と言った通り駐車場ではなく、店の入り口ギリギリにロケバスを付けて車のドアから一歩で店内へ。
プロレスファンの聖地のラーメン屋。
町中華みたいな、おばあちゃんがやってる店。
ロケバスの中で「オレ来たことねぇーなーココ」
プロデューサーが「でも福島で興行に来たレスラーは一度は必ず来るらしいですよプロモーションで」
大会ポスターがたくさん貼ってあり、プロモーションで来るということはおそらくここでもチケットが買えるのかな？
それでも武藤さん「でもオレ来てたら憶えてるよ」
店内へ。
武藤さんがこの店に来店した時の写真が何枚も飾ってあった。
そしてラーメンを食べる。
「あ、思い出した思い出した。ラーメン食べたら思い出したよ。この味だ」
すると店のおばあちゃんが
「武藤さんウチでラーメン食べたことないですよ」
オレが「いい加減にしろ！」とツッコむと武藤さんは下を向いて笑っていた。

夕方前に各所ロケが終わり、1時間早い新幹線で帰れることに。
19時過ぎに家に帰ったら娘はひとりで家に居た。
娘の夕食は元妻が作ってくれていた。

お土産を渡す。
ロケ先で戴いた可愛いぬいぐるみみたいなケーキ。
かわいいかわいいと言ってスマホで写真を撮っていた。

今日は12人同じクラスの子がお休みだったそう。コロナ感染も濃厚接触者も増えている。
英会話の先生も体調不良で英会話塾も休み。

娘と風呂に入って早めに寝る。

2月2日（水）

疲れていたのか、珍しく遅起き。
朝5:50、スマホのアラームで起床。
6時からリモートワーク。
もしこれが今まで通りの出社制だったらシングルファーザーは更に大変だったと思う。思うというか、確実に大変だ。
離婚後、親権は母親の方に行くことが多いが、最近は父親がリモートワーク(テレワーク)の場合、父親の方が子供と接することが出来る時間が長いので、父親が親権を取ることが過去よりは有利になったらしい。

学校は今日は13人休みだったとか、クラスの半数。

元妻の不貞相手に内容証明が届いたと元妻から連絡が来る。取り下げてほしいと。
何故取り下げなきゃいけない？

2月3日(木)

節分。

ルミネtheよしもと 2ステ。漫才。
合間にYouTube収録。

昨日のやり取りがあるのにそんな中でも元妻は恵方巻きを持って家に来ていた。

家に帰り、恵方巻きや茶碗蒸しを食べ、風呂を貸して、元妻が洗い物をしていた時「男から連絡着たか？」と聞いた。背中を向けたまま「着た」
と言っていた。
「何がしたいの？」
は？
弁護士事務所を通して法に沿って正当に損害賠償請求をしている。
「払えんのか？」と聞いたら
「私を殺したいの？」と突然逆ギレし始めた。
「死にたいと思わせたいの？」
「オレは1年間何度も死にたいと思ったよ。自分がやったことだろ」
「じゃあ死んでやるよ！」
元妻はオレを睨みつけ言った。
「死んでやるよ」
ゲームをやっていた娘がコントローラーを投げ捨て「ダメー！死んじゃダメー！」と泣き叫ぶ。
それでも元妻は「死んでやる！」とまた言った。
娘が元妻の所へ行き、腕を掴みながら「死んじゃダメー！」と引き留める。
「子供の前で死んでやるとか言うなよ！」
「ケンカしないで！ケンカするから〇〇(娘の自分の名前)嫌な思いするんだよー」
「〇〇(娘の名前)の目見て死なないって言えよ」と言っても元妻は言わない。
「死んじゃダメ！ここでくらして！」
「〇〇(娘の名前)とは一緒に居たいけどパパとは無理なの」
不貞行為重ねて育児をロクにせず家庭ぶち壊した奴が何言ってんだよ。
「早く死なないよって娘の前で言えよ」
娘は泣いている。
「〇〇(娘の自分の名前)が責任とるからふたりともなかよくここでくらして！」
「〇〇(娘の自分の名前)だって学校がんばってるんだよ！かあちゃんも仕事がんばってダディも仕事がんばって3人でここにくらして！」娘が絶叫を続ける。
「〇〇(娘の自分の名前)の人生なんなんだよ！」
「生まれて来なきゃよかった！」
9才の娘にこんなことを言わせてしまって本当に反省している。そして改めて元妻の事は許せなくなった。
離婚後も娘の希望を汲み、3人で仲良く暮らすことを目指して同居を続けていたが、男遊びがやめられず、子供にまでウソをついて男とデートを重ねていたので追い出した。相手にも妻子がいて、それは娘にとって悪影響だと思ったから、母親として相応しくないと思ったから、そういうことは完全に1人の独身女性としてやれ、娘といたいなら真面目にやれと、約束したがすぐに破ったので追い出した。
最後まで死なないよとは言わなかったので
「かあちゃんは死なないよ。また〇〇(娘の名前)に会いに来るよ」と言って娘を説得した。

元妻が帰り、娘とリビングに戻ったら娘がやっていたMinecraftのゲーム画面に、

死んでしまった　

と書いてあった。
ゲーム画面を見るオレと娘
「あ、死んじゃった」
「かあちゃん死ななかったけどゲームは死んじゃったね」と言ったら娘は声を出して笑った。

そのあとはすぐ、死んでしまったMinecraftをやり直す。ひとりで喋りながらゲーム。
「誰と喋ってんの？」
「ダディ」
目は泣き腫らしていたけど、機嫌はすぐに治った。

娘は今日は「ダディが出て行って！」とは言わなかった。
昨日、ゆっくり丁寧に何も悪いことをしていないかあちゃんをダディが追い出したワケじゃないんだよ、ということを丁寧に言葉を選びながら説明した。
「うわきしたの？」と娘が言ってきてびっくりした。浮気なんて言葉を知っているのか。
何も説明してないけど、子供は色々と敏感に感じ取っている。
元妻は一向に反省の色がないので、やっぱりオレが大切に大切に娘を育てていかなければいけない。

今日みたいになるならもう元妻と娘は会わせない方がいいかな？
でも、
それでも娘は母親に会いたがるだろうな。
母親を好きじゃない子供なんて居ないだろうし。
悩む。

死にはしないだろうけど、一応寝る前に娘のスマホから元妻に電話をさせた。出なかった。
「かあちゃんもう寝たのかな？」娘は言った。
娘の電話に出ないのは少しだけ気になったが、ホントに死ぬ奴は「死んでやるよ！」とは言わないだろうと思い、寝た。

2月4日（金）

娘は昨日あんなことがあったのに今朝は元気よく「行ってきまーす！」と手を振って学校に行った。母親が居なくなってから初めて。
嬉しかった。

学校から帰ってきても「今日給食ぜんぶ食べた。おいしかった！3日れんぞく給食ぜんぶ食べた」
と教えてくれた。
給食おいしくないから学校行きたくないって言ってなかった？
これも成長か？

学校行く前に「きょうおいしいごはん作ってねー！」と言っていたから、透析から帰ってきてカレーを作る。甘口のカレーは娘が生まれてから作るようになって、子供の時以来食べているが、甘口は甘口で美味しいんだよな。
本当は辛いの食べたいけど、家カレーはもうしばらく甘口になりそうだ。

「ダディお腹すいた」と言うので5時半にカレーライスを食べる。
「おいしい！」と言っておかわりをしていた。
「あしたもたべたい」
「大丈夫。カレーはだいたい2日分作るから」

夕方にメシ喰って、7時前にオレは疲れて寝てしまう。
娘が電気を消して隣に来ようとした時に目が覚める。21:20。娘が寝る時間にしては随分早い。
洗い物してないしゴミ捨てもやらないといけないからオレは入れ替わりで起きる。
テレビでやっていた『ゴーストバスターズ』を観ていたら娘も起きてゴーストバスターズを観る。

「ダディ、小学生の頃、これ観に行きたかったけど、観に行かせてもらえなかったんだ。E.T.ってやつもジョーズも。まだ小さいからって。だからダディは自分の子供が生まれたら映画全部見せてやろうと思ってたから〇○(娘の名前)には2才の時から観たい映画全部観せてきたんだよ」
娘は2才の頃から映画館で寝ないで最後まで映画を観る体力(集中力)があった。しまじろうの映画もディズニー映画もスターウォーズも観たいと言った映画は全部観せてきた。

「マシュマロマンデカかったなー」
とか言いながら寝る。

2月5日（土）

AM4:45 起床。
風呂に入り、洗濯物を畳み、チャーシューを作る。昨日から仕込んでおいた豚肉を冷蔵庫から出して。
今日は娘に味噌ラーメンを作ってあげる約束をしている。昨日のカレーと今日のチャーシューに使えるように豚肉のブロックを買っておいた。
あと煮玉子。娘はゆで玉子食べないからこれはオレの。

ゲームをやったり『旅サラダ』を観たりしながら娘が起きるのを待つ。

今日はオレは夕方、渋谷の♾ドームでライヴ。
『モーレツ!東京ダイナマイト道場』

夕方だから1人で留守番でもよかったけど、昨日、元妻から娘に「昨日電話してくれたでしょ？」と電話が掛かってきた時に「あした来るの？」と娘に聞かせた。
「行けないと思うよ」と言ったらしく、娘に「ダディ、来ていいの？」と聞かれたので、手で丸を作った。「ダディいいってさ」
ということで留守中は元妻に見てもらう。
もう会わすのやめようとも思ったけど、
昨日娘が「この家はわたしの家なんですからね、わたしが責任をもってやりますから」と言っていたので。
「何を？」
とは聞いたけど。
きっと3人でまた仲良く暮らしたいと言うんだろうと思って。
元妻が改心しない限りオレは受け入れることは出来ないが、娘にとって母親はひとりしかいない。
だから娘が会いたいというのであれば会えるようにはしようかな、と。
複雑だけど、娘にとってはオレたちの離婚は大人だけの都合でしかないから。

2月6日(日)

今日は二郎会の三遊亭とむと群馬で営業。とむが落語の営業に東京ダイナマイトをくっ付けてくれた。
コロナ禍以降、落語界も大変みたいだけど、こうして仲間が助け合ってくれることに感謝だ。

群馬には娘も連れて行けるようスタンバイはしていたが、元妻が留守中を見てくれるということでそっちにする。

朝4時起床。
娘の寝顔を眺める。
スヤスヤ寝てるけど、娘の「3人でなかよくくらす」という幸せを取り上げてしまったことをいつも反省する。
娘には幸せになってもらいたい。
1人で育てていると、時には怒らないといけない時もあって、怒ると「こわい」と言われるけど、それでも怒らないとオレの娘だから調子乗りっ放しになるし。
新しいお母さんは嫌だと言うし、1人で目一杯、育てるしかない。

9時、とむが車で迎えに来る。
娘はその前に起きていた。

群馬で寄席。
ながめ余興場。昔ながらの演芸場。

群馬に来たので寄席前はプロレスラー浜亮太選手のちゃんこうどん屋 どすこいうどん浜ちゃん で昼メシ。
突然の訪問に驚く浜ちゃん。
浜ちゃんの作るうどんも浜ちゃんが揚げる天ぷらも美味しかった。
とむと浜ちゃんも顔見知りだった。

最寄駅で松田さんを拾って会場へ。
昔ながらの寄席。
一部大須演芸場を彷彿させる。
家みたいな作りで2階までの細い木の階段を登ってストーブが炊かれた和室の部屋へ。
ここが我々の楽屋。

我々の出番。
落語家の人たちだらけの中の漫才ひと組。こういう場合我々はしっかりウケて帰ってくる。
前後と色が違うから緩急が付けやすい。

終わって松田さんを駅に送りオレととむはまた車で東京へ帰る。
帰りは浜ちゃんの店のその隣のこれまたプロレスラーMAZADA選手のステーキ屋 ステーキまさやん で夜メシ。昼はやってなかったから。
MAZADA選手とはオレがメキシコでライセンスを取った時に現地でタッグを組んで試合をした間柄。
メキシコでは毎日皆んなでテキーラ飲んでメシ喰った。
ステーキまさやんとても美味しい店でした。
オレが1番好きなステーキ屋超えるかも、と思ったくらい。

20時帰宅。
元妻はフードを被り、下を向きながら出て行く。
オレが帰って来た途端。
そして数分後LINEで

〇〇(娘の名前)のことはこれからも自分の出来ることはやります。
でも、二郎とは顔を合わせたくありません。
なので帰宅する前に〇〇にその旨、伝えてもらって
その前にわたしは帰るので。
気持ちの整理がつくまでそうしてもらいたいです　

自分のことを棚に上げてのこの発言。不貞行為に対するちゃんとした謝罪は今まで1度も無し。
まず、顔を合わせたくないとか言う前に、謝罪をして欲しい。オレと娘を裏切り続けたことを。
顔を合わせたくないのはオレだ。
オレは娘の為に家に入れてるだけだ。

だけど娘は今日かあちゃんとたくさん遊んで楽しかったんだと、話してくれた。
寝る時「そろそろかあちゃんと寝たい」と娘が言った。
少し黙っている間が耐えきれず
空気を察知した娘が聞いて来た。
「ダディ次いつ遠くへ行くお仕事？」
「来週は遠くへ行くお仕事はないよ」
「いつ手術するの？」
元妻がダディが手術する時は、ずっと居られるよと言っていたからだ。
「………早く手術して欲しいの？」
「ちがうちがう、いつするのかなぁと思って」
娘が気を使っている……。
悲しかった。
気を使いながらじゃないとかあちゃんと会いたいと言えない雰囲気になっていることを察知していることが。

不貞行為以外にも、不真面目な言動があって、会わせたくない気持ちもあるけど、かあちゃんに会いたいという娘の希望を奪い取るワケにもいかない。

元妻が真面目になって改心してくれればいいんだけど。
元に戻ってくれればいいだけなんだけど。

苦悩は続く。